箱雑記ブログ

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POISON GIRL BAND 60分漫才

単独や漫才トークは見てきても、ポイズンの漫才のみのライブってそういえば見たことなかった、というかやってなかったのか。
60分漫才と言いながら実質75分前後ぶっ通しの彼らの漫才ライブが本当にすごかったので久々にブログを書きにきました。以下ネタバレもありつつ感想。




すっと出てきて全部終わったらすっと帰ってエンドトークも無し。時間が押しまくってたからかもしれませんが、それにしてもその漫才以外に何もないシンプルさがちょっとかっこよくさえ思えました。それくらい全編面白すぎました。ルミネでの単独も万博も漫才トークも吉田トークも見てきたけど、個人的な感覚としてはおそらく今まで見てきたポイズン名義のライブで一番と思ったかもしれない。こんなに図抜けて濃度が凄い60分漫才は初めて経験しまして、それがポイズンだということが本当に嬉しい。本当に圧巻のぶっ飛んだ漫才ライブでした。
面白さの価値観は人それぞれであることは大前提として、それにしてもあんなに自分が笑っていない時間のないライブも珍しいなーと改めて思い返しても思います。多分あの日の漫才が全部よく分からないという人もたくさんいるのは間違いないんですけど、私みたいなもんにとってはあんな75分は他では絶対に見られないよ、と思ってしまいます。この分かる人だけが大いに分かる感がいいのか悪いのかは分かりませんが。
開始15分ですでに笑いすぎて臓腑が疲労を覚えて、終盤はもうずっと笑いながら「すごいわーすごいよー」とそればっかり考えてました。本当にすごかった。どこまでも面白かったです。ずっと見ていられるなーと。あと3時間くらい見たかった。


流れとしては、背が高い→煙草→駄菓子→携帯電話。ネタのスタート地点がこれらであるだけで、漫才が進めば進むほどテーマから潔いほどかけ離れていく様が凄まじい。煙草と携帯電話は特にその傾向が強くて、携帯電話に至っては漫才の終わりの方になると最初何がスタートだったかリアルに忘れて思い出すのが大変だった。終わった直後は「粉」しか出てこないという。


すごく面白いなーと思ったのは、背が高いから駄菓子の漫才までは、吉田さんは徹底して阿部さんの振る舞いに対して部外者というか第三者というか、とにかく阿部さんの繰り広げる世界には一切同調しない形で根っこから理解しませんよという形で関わっていたのに、携帯電話のネタに入った途端に人が変わったみたいに阿部さんの世界に同調した上で賛否をあわせていくスタンスになっていたこと。最初から意図してのことなのか、その場のノリなのか、別に何も意味はないのかは分からないんですけど、どちらにしても色は違ってでもポイズンの漫才としては抜群に面白いものが出てくるというのが今回本当に興味深く面白い!と思ったことでした。吉田さんはどっちにもなれるんですね、それでどちらでもちゃんとらしさが出せるという。
なので携帯電話のネタに関しては、阿部さんに大枠ではのっかる形で吉田さんがやり取りをするので、それまでの漫才と比べてネタのリズムが違うし話が早いことこの上なかったのも面白く。最後の漫才はそれこそマラソンのネタとか車を運転するネタに近い、常識の大前提すぎて見ているこちら側には意外になってしまうことをやり取りしていく確認作業のような漫才だったかもしれない。でもそれが恐ろしく面白かったです。携帯電話で粉で「俺達五人は」となってからっとあげられちゃう。何がなんだか!ずっとあさっての方向に転がりっぱなしで止まらない漫才にずっと、すごいぞ何だこれは、と思いっぱなし。


背が高い、と言い出す漫才は、高さの比較として持ち出すものがことごとくぶっ飛んでて法則性が無いようであるようでやっぱり無い、ような、その按配が絶妙でした。スポーツのくだりも好きだったけど、手帳が出てきた時にもう参ったと思ったなあ。
煙草も超展開としつこさの繰り返しが本当に阿呆ほど面白くてたまらなかった。どこまでが本筋なのかまったく分からないのですが、「吉田さんがファミレスで隣の席の人たちの煙草の煙が嫌だった」と言いたいだけのくだりを、阿部さんが途方も無い勢いで広げに広げて最終的に「ファミレスで掘り師が吉田さんの背中に刺青彫りながら店員を呼ぶボタンを奪う」まで行ききったので、異次元に吹っ飛ばされたのかと思うぶっ飛び方。阿部さんの文字通りの悪ふざけが突き抜け過ぎててずっと面白い。
駄菓子はもう、ランキングの作り方がそこかしこに落とし穴作ってあってこれも本当に面白かった!流れはごく単純なんですけど、当然ながらそれだけで終わらないどころかランキング内でさらにどうでもいいランキングがねじ込まれたり、視点そのものをひっくり返されたりして、その起伏の大きすぎる揺さぶられ方がいっそ気持ちがいいくらい。あれだけ振り回しておいての1位が、今までだと物凄くややウケなことが多かった印象なんですけど、このネタに関して言えば諸々をねじ伏せてちゃんとそれまでを上回ってくれたので本当に笑いました。しかしこれ、詳細書けないから何がなにやら分かりませんね。


阿部さん側にのっかっていく漫才も、久々に見るなあ!という形でとっても好きなんですけど、そうじゃない前半の漫才も、吉田さんの振る舞いにわざとらしさがゼロで、それが物凄く好きです。
あと、阿部さんが脱線(なのかどうかも見ている側には判別がつかない)するたびに吉田さんが心の底から嫌そうな顔をして「もういい、いらない」と延々嫌がっていたのが、ネタとはまた別の部分で面白すぎました。漫才中にあんなに嫌そうな顔するってあるんですね。それに対して阿部さんが一切悪いと思っていないあのふざけた様子で「怒ってんの?」と何度も聞くのが本当にひどい(笑)絶対逆効果だと思うんですけど…阿部さんもきっと分かってると思うんですけど…と思って見ているこちらも可笑しくてならなかったです。
2004年当時の単独(カド番)で、九九を言うだけの漫才を30分くらいやってた時に、似たような光景を見たなーと思い出して見てました。吉田さんが「俺がしろって言ってるんだからしろ。しーろ!」ってイライラしながら阿部さんに言ってたのが忘れられないんですけど、何年後かに同じルミネで同じようなポイズンを見るとは…ある意味感慨深いです。あくまである意味ですが。


何がどう面白いのかをうまく言語化できないのがすごくもどかしいんですけど、とにかく隙間なくずっと面白くて笑ってました。終わった時には相当消耗してたはずなんですけど、すごいもの見たぞ!という興奮がそれを上回ってました。他の場面で見られるかどうかは如何せん長尺にも程があるために不安ですが、どのネタもどこかでもう一度見たいです。
ずっと凄いなーと思いながら見るばっかりでした。馬鹿のひとつ覚えのようでだいぶ頭の悪い感想ですが、ひたすらすごいライブでした。自分が感じた凄みの片鱗さえもうまく言葉に置き換えられないのが非常にもどかしいのですが、とりあえずすごかったということだけ残しておこうという心意気を買ってください。