箱雑記ブログ

色々まとめています

POISON吉田が5人と漫才

今回も面白かった5人と漫才の感想のつもりでしたが、感想以外のことも書きたくて、よく分からない記事になってます。


確か前回の5人と漫才について、稀に見る好循環なライブだということをこのブログに書いたと思います。吉田さんの漫才愛と漫才師愛、そこから生まれるリスペクトにあふれた5本のネタ(しかもこの日限りでしか見られないネタ)、それを受け止めるゲストの皆様の心意気、それ故に作られたネタを最高の形で客側に提供してくれるところまで、本当にプラスにプラスが掛けられて、今回も溢れんばかりの多幸感に満たされた90分でした。

MCの坂本さんが今回のオープニングで、「最初はお祭りだったんですよ、普段見られない組み合わせで漫才が観られる、くらいの」「それが今や、裏の空気はほぼ賞レース」と語っていて、勿論笑って聞いていたのですが、でも本当に最初はそんな感じだったかもしれない。少なくとも私の場合、1回目を見るまではそうだったかもしれないです。
それが、1回目の5人と漫才が本当に面白くて、普段漫才をやらないニブンノゴ!宮地さんだからこそのツッコミの面白さを目撃できたり、普段よく見るタモンズ安部さんのフラを普段とは違った場でも存分に且つ強力に味わえたり、何より先輩で売れっ子の麒麟川島さんが、シアターブラッツのような狭い地下の劇場で、後輩のライブで後輩の書いたネタを、120パーセントの力でやってみせて爆笑をかっさらっていったのを見たときに、ああこれ凄いライブになった、と思ったのを今でも鮮明に覚えてます。トリで出てきた川島さんと吉田さんの、積んでるエンジン全然違う!と思わされる圧巻の漫才。
その上で、ライブ後に川島さんがこんなツイートを。

川島明 @akira5423
ライブ終了。ポイズン吉田と漫才した。僕を含む五人は今夜だけみんな吉田の相方だったわけだがみんな一番ウケたいので楽屋から賞レースぐらいほどよい緊張感があってめっちゃええライブでした。結果全員おもろかったなー。ありがとう吉田。また会おう吉田。
https://twitter.com/akira5423/status/193320939616874496

川島明 @akira5423
あんなにみんな神経と力を注いだのに打ち上げがないというのも吉田らしくて良い。後輩が勇気を出して呼んでくれたライブで得るものは多かった。
というわけでこれを見てる後輩の方には遠慮なく誰でもライブに呼んで欲しい。
実験台として全力を尽くさせてもらいます。
https://twitter.com/akira5423/status/193356551384342529

川島さんがこんな風に語ったことで、これを見た人にとって5人と漫才というライブの地位、というと言葉がいやらしいけれど、これがどれほど良いものなのか、みたいなライブの位置づけがしっかり決まったんじゃないかと思っています。上手く言えなくてもどかしいですが。私はこれを見たときに、ライブを見ていたイチ客として涙が出るほど嬉しかったのです。こんな風に語ることが出来る川島さんも、川島さんにここまで言わせた吉田さんも、どちらも凄い。
この時点で「賞レースぐらいの緊張感」と語られているから、やっぱり1回目が披露されてからライブの性質はずっと変わらないのだと思います。最初からずっと、「凄い人たちが凄い漫才をその場限りで本気で見せてくれる凄いライブ」であるのだなあと。

そうやって、主催であり作り手である吉田さんの、5人と漫才というライブでやっていることや心意気はおそらく1回目から大きく変わることはなく、勿論技術や発想は進歩しながら、大きな挑戦や刺激を経て、8回目にしてルミネ満席、9回目にしてNGK開催に至ったということが、どれほど凄いことか、なんて野暮なことを想像してしまいます。本当に凄い。さっきから凄いしか書いてない。
でも年数でいったら2年でNGK、と聞くとだいぶ早い!という気もします。→訂正、4年でした。最初の開催が2012年でした。大変失礼しました。何故間違えたのか。息の長いイベントです。
4年でシアターブラッツ(キャパ140)から殿堂なんばグランド花月(キャパ約900)。ゲストの皆様の力も、まったくブレることなく異様な質の高さの漫才を作り続けてきた吉田さんの力も、どちらも欠けることが無いからここまで大きなライブになったのは大前提として。

ルミネを満席にした今回の5人と漫才も、5本ともそれぞれの相方さんのコンビの色がしっかり出つつ、相方が吉田さんであるが故にコンビとは違った魅力の発露があって、その上で今まで気付かなかったそれぞれの魅力に触れられるような、好循環の極みのようなライブでした。
例えば小沢さんとの漫才は、どちらかというと形はスピードワゴンの漫才に近くて、でもツッコミ役が強烈な存在感の井戸田さんではなく吉田さんだったので、むしろ小沢さんの奇妙な魅力が際立つような漫才になっていたのが、まさにこのライブの醍醐味だなあとしみじみ思いました。かっちりやる場というよりは楽しんだもの勝ち、くらいのノリを小沢さんから感じて楽しかったなあ。パイプ椅子片手に出てきて、驚く吉田さんに「1・座る、2・片付ける、3・見て見ぬフリをする」と選択肢を与える自由な暴走ぶり、この場だからこそのレアな振る舞いだったんじゃないかと。最後の最後、へんてこな話し方でスナックのママ役をやるというおかしなことをさせられた吉田さんに小沢節を聞かせた瞬間の、あまーい!を一度振っておいてからの「甘くない、頭のおかしいカップルができただけ」と切り捨てる吉田さんのツッコミに撃ち抜かれたのでした。なんという俯瞰のツッコミ。
小杉さんの場合は小沢さんとは反対で、ご本人もネタ後のトークで話してましたが「後輩が作ってくれたネタをちゃんとやらなくては」というスタンスが垣間見えるような漫才。この場合は小杉さんのやることがシンプルな分台本の面白さがダイレクトに伝わってきたりするから凄い。ましてやネタは5人と漫才でたまに見るパターンのもので、同じ話を何週もするごとに全て違うボケに摩り替わっていくという、どちらかというとポイズンの漫才を彷彿とさせるタイプのものだったから、余計にそう感じたのかも。その中で、特別何も難しいことをしていない、ひねったり付け足したりすることのないように見える小杉さんのツッコミが、それだけで抜群に面白いのが本当に凄いです。多分、遊びまくることもできたんだろうな、とネタ後のトークで改めてボケに対して台本の外からつっこみまくる小杉さんを見て思ったのですが、それをしなくても面白いっていう凄味が圧巻。ここ、ほぼちゃんと話したことがないという小杉さんと吉田さんの関係性が違ってきたら、また小杉さんの漫才ぶりが変わってくる可能性ありそうだな、と思いました。だからこそ、NGKでの5人と漫才に小杉さんの出演が決まったとしたら、そういう変化が見届けられるかもしれないわけで、ここにきてライブな新たな見所の可能性が出てくるのが楽しすぎます。
そもそも5人と漫才で、今まで参加したゲストが再度出演する(かもしれない)ことが今までなかったことなので、9回目の新たな試みの多さにはわくわくしかできないです。
(そんなことを言ってたら、NGKに小杉さんの出演決まってた!大変だ!)

今回の5人と漫才、小沢さんもですが橋本さんの遊びっぷりも面白すぎました。そもそも橋本さんのはしゃぎようは終始微笑ましかったのですが、漫才の中でもずっとはしゃいだ勢いでずっと止まらずつっこんでて凄かったです。本番の勢いであそこまでやれるのだから橋本さんのポテンシャルは恐ろしい。吉田さんも「最初のツッコミ(台本では)あんなに長くなかった」と言っていたから、きっと本編でも相当がつがつとアレンジを放り込んでいたのだろうなと想像します。本当に楽しそうで楽しそうで、漫才のあとのトークでも、橋本さんの相好があんなにゆるゆるに崩れる様ってあまり記憶にない。以前の東京シュール5の大阪公演の際に銀シャリが二人で話していたポイズンへの憧れトーク以来、こんなところにもポイズン憧れ芸人さんが、と思っていたのですが、5人と漫才に及んだ橋本さんがあまりにも楽しそうで嬉しそうで、こっちまで嬉しくなってしまう始末。
トップバッターの嶋佐さんが素晴らしくて!ニューヨークの漫才でも感じる、嶋佐さんの不穏さとかちょっとヤバい人っぷりがこれでもかと発揮されていて、嶋佐さんの輝きっぷりに惚れ惚れ。見ている限り相当緊張しているように見えたんですけど、ずっと面白いしゆるぎなくて、凄い人だな!と。若手版も含めて、今までのゲストでは一番下の芸歴だったと思うのですが(鬼越トマホーク坂井さんと同じ)物怖じしないし本当にかっこよかったです。ネタはどちらかというとニューヨークのよく見るフォーマットに近くて、違和感なく見られたので、これを作れちゃう人も凄い。
一番新鮮だったのは椿鬼奴さんとの漫才だったかもしれない。そもそも鬼奴さんが漫才をやるという時点で新鮮なのは当たり前なのだけど、ネタ中ずっと無理のないマイペースさでほどよく吉田さんを振り回しているように見えて、勿論関係性の良さは折り紙つきだとは分かっていますが、それにしてもとても面白く楽しかったです。本当に、何を言ってもやっても面白い鬼奴さんだし、その面白さをピンポイントで出せるネタにも感嘆しきりです。ネタ後のトークだと、どうやら鬼奴さんが知らぬうちに台本に無いことを話していた時間もあるとかなんとか。そりゃ楽しいはずだよー。

こうやって書いてみると、今回の5人と漫才は、割と自由にあれこれぶっこんでくるゲストさんがいつもより多めだったのかなと思いました。どっしり笑える感じよりも、出たとこ勝負のわくわくが強かった印象なのは、このゲストのバランスが要因だったのかも。ゲストによってカラーが出るのも、回数を続けてくれるからこそ。
とにもかくにも、8回目を数えた5人と漫才が満席となったこと、その次のNGK公演に繋がったこととで、私の中では大きなポイントの回だったな、ということになりました。初の大阪公演、楽しみだなあ!きっと東京での公演とは色が変わってくるだろうし、何より漫才の殿堂での開催ですから!ライブの中身も主催がやっていることもかなり本気で真面目な漫才ライブではありますが、その場限りの相方とその場限りのネタをするというコンセプトは、王道というにはクセが強いと思うので、それがNGKで開催、ということの意味とか価値とか、その手のことを4月5日まで思う存分考えたいと思います。
勿論、いつもの「どんな相方さんとの漫才が観たいか」トークも友人各位と死ぬほど繰り広げますし、なんだったらすでに散々やってますし!そして今日(2/17)早々とゲストが発表されて、それはもう楽しみでしかないです。しかも、7人!7人と漫才!どうなってんの!