箱雑記ブログ

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トップリード単独ライブ『THREE DECKER』

前回から1年足らずのスパンでお目見えのトップリード単独ライブがもう本当に気持ちがいいほど面白くて面白くて面白さのあまり闇雲に駆け出したい気持ちになったので、駆け出す気持ちを文字にして身勝手な感想を書きに来ました。
あくまで地に足のついた日常と、地に足のついた日常だからこそ起こりうるかもしれないドラマと、驚きというよりときめきを覚えてしまう仕掛けと、 そういう全部が積み重なっての幸福と、もちろん気持ちのよい笑いとが、泣きたいほど素敵なバランスで詰め込まれているのがトップリードの単独ライブだと改めて感じました。すごいことだ。
以下ネタバレ気味の感想となっていまして、個々のコントは今後ライブで披露されていくのではないかと思われますのでご注意ください。




※最初と最後のコントのタイトルは便宜上つけたもので、それ以外もメモも取っていないので正確なものではありません。きっとそのうち新妻さんのサイトに公表されると信じてる。

プロローグ
[VTR]オープニングVTR
「邪魔」
[VTR]三層甲板艦
「デートの前に」
[VTR]三階建てバス
「気まずい空気」
[VTR]三部作(トイ・ストーリー
「羊」
[VTR]三階建てマンション
「お見合い」
[VTR]三段式説教壇
「スリですか?」
[VTR]三人のデッカーさん
「腹痛」
[VTR]三人組の路上バンド
「聞いて欲しいんだ」
[VTR]エンディングVTR
エピローグ


プロローグからブリッジ映像を通じてエピローグに至る根っこのお話が今回もとてもとても良くて、馬鹿馬鹿しく笑っちゃうように見せておいてちゃんと最後の最後に胸がぎゅっとなるような着地点を用意してくれてるのが、本当にたまらないのです。そうして見終わった後に客席で私が手にしているきらきら輝く爽快感というのは、やっぱりトップリードの単独だからこそ得られるものだと強く思わざるを得ないです。
プロローグから大なり小なりの伏線がちりばめられていて、それをただ淡々と回収するだけじゃないところが好きです。回収の仕方に人が出るというか心意気が出るというか。面白くやさしくあたたかくエピローグの最後の最後に向かって重なっていくなんてことないエピソードの数々が、どれほどの思い(いっそ執念か)でもって描かれて紡がれていったのかと思うと、作り手としてのトップリードを好きでいられないわけがない。
どのコントも、あくまで誰にでも起こりそうな日常の一部が舞台設定であること、決して大仰にもならずわざとらしくもならないこと、そうならないのに確かにそこに見ている側が揺さぶられるドラマがあること、という、トップリードというコンビが生み出す世界の大いなる魅力がこれでもかと詰め込まれた単独だったなーと思います。
前回の単独もそうでした、日常だからこそ起こりうるドラマ、という何気なさが本当に好きです。出てくる人たちそれぞれを見ていて感じる奥行きがとんでもない。「デートの前に」なんて、あの二人のここまでとこれからが勝手に頭に浮かぶくらいの奥行き。作っている側が、人が好きなんだろうな、と思います。もっと言うと、自分以外の人の人生をないがしろにできない人達なんだろうなと。私にはありふれているように思えるものが、この人達にとっては全部珠玉のお話でありコントであるためのまっさらな舞台に見えるんだろうと思うと、その視界がいっそ羨ましいなーって思ってしまうなあ。羨ましいって何だという話ですけど、でも本当に羨ましいって思っちゃったんだからしょうがない。新妻さんが、毎月の事務所ライブで新ネタをつくり、5556ライブでユニットコントをつくり、単独で新ネタをつくり、はたから見ているだけでもとてつもない数のコントをとてつもないスパンで作り続けることができるのは、そういう何でもない日常の全てがあの人にとってはものを作るための題材として存在して、無限の可能性を秘めているものとして眺めることのできる視点故なのかな、と。


トップリードの単独を見るのは二回目でしたが、今回は本当に最初から最後までびっくりするくらいずっと笑ってました。面白いのと楽しいのと可愛いのと幸せなのとがごたまぜになった笑いで、本当にずっとバカみたいに笑ってました、なんだこの楽しすぎる時間!て。
じっくりといろんなことを考えていろんな感情を抱えて笑う情報量多めのコントも本当に好きなんですけど、今回の単独は特にどのコントももっと直情的に面白い!という笑いをたくさん見させてくれたように勝手に思ってます。こっちが先を予想したりするわくわく感も当然残されているけれど、それ以上にすごくシンプルにわーって笑えるコントばかり。それが全編通しての底抜けに明るくて前向きな空気を加速させてたような印象です。「邪魔」の最初から最後まで笑いが途切れない感じとか、「気まずい空気」の後半の和賀さんフルスロットルぶりとか、「スリですか?」の全体的ににじみ出るお茶目な馬鹿馬鹿しさとか、まさに。
ただそれだけじゃなくて、それぞれのコントに本当に丁寧に且つ執拗にこちらを驚かせてくれる仕掛けが施されていることが本当にすごい。そしてその仕掛けでさえコントの肝にはならずあくまで部品の一部として使われているというところがさらにすごい。「デートの前に」も「お見合い」も、わー!と思える驚きを見てる側に与えてわくわくさせてくれて、でもそれ一辺倒にならないで、そこからもうひとつお話としてコントが発展する。それが本当にすごい。
シンプルな面白さと、驚かせてくれる仕掛けや伏線と、お話としての心地よさとの、恐るべきバランスに目が回る思いです。あのバランス感覚は何だろう。庶民的で身近な視野と、大局を眺める俯瞰の視野とが混在しているような、とても親しみがあるのによーく眺めてるととんでもないことをやってのけてるんじゃないかな?と感じられるこのバランスは、個人的にはちょっとすごいことだと思います。変にコントを逸脱していかない芯の強靭さと、どこまでも広がっていけるお話としての羽ばたきが同じだけ内包されてるように見えてぞくぞくします。多分トップリードはつきつめてやろうと思えばどちらも出来るんじゃないかと。そういうキャパの広さを感じさせてくれるなあ、と。
伏線を回収したりお話として盛り上がるみたいなオシャレな感じに偏らず頼らない加減が絶妙で、どんなにきちんと仕掛けを披露してもどんなにいいお話になっても、最終的にはそういうものを軽やかに笑いで着地させてくれる様が好きで好きでしょうがない。あくまでも笑いを生み出すコントであろうする矜持とか哲学とかそういうものを感じられる気がしています。


コントが全部好きでした。全部トップリードらしいバランスで溢れてるのに、振り幅も抜群にあるのが本当に楽しい。「羊」の全編夢だから何でもアリ!という力強い馬鹿馬鹿しさとか、「気まずい空気」の後半の和賀さんのブチ切れ具合が圧巻の面白さだとか、そういう力技もあれば、「デートの前に」「腹痛」みたいなトップリード好きにしてみたら嬉しくなっちゃうようなコントもあれば、「邪魔」や「スリですか?」みたいな構成そのものを凝りに凝ってくれるコントまである。挙句飛び道具と言ってもいいような「お見合い」の面白さたるや。初日のエンドトークで新妻さんが、「お見合い」のコントは18歳でしたか?のころに作ったネタなんですよーと言っていたのを聞いて戦慄が走りました。コンセプトのブレなさが恐ろしい…驚きと笑いとキュートさと、全部が盛りだくさんのコントを、あの人達はもうずっと前から作っているんですね。
「聞いて欲しいんだ」を見ていて、まさにいらないキャラがいないというコントだったので、改めて人が好きな人達なんだな、と。架空のコントの中でも誰かが不幸になるのは嫌なんだろうな、と思ってたまらない気分になりました。
そういう混じりっけなしの性善説に溢れたコントが、全部笑いにつながるということがどれだけすごいことか。多分ですけどものすごく難しいことをやってるんじゃないのかなと思います。一緒に見ていた人が、「お笑いで、あえていい話をやろうとしているところがすごい」と言っていて、もう首が痛くなるくらい頷きました。いい話が面白い、というコントは、きっとやっている側は挑戦としてやっているのではなく、コントは幸せなものでなくてはならないという哲学みたいなものが下地にあるんじゃないのかな、というのはすごく勝手な深読みですけども。
だからこそ全てを見終わった後にとんでもない爽快感とか多幸感でいっぱいになれるわけで、これは何よりも得がたいトップリードというコンビの強みであると思い知りました。やろうと思って出来ることじゃないもの、でも彼らはそれをやれているんだから、強み以外の何物でもない、はず。


もちろんお二人の個々の演じ手スキルの高さとか、キャラクターの妙とかも見ていてわくわくするもので、たとえば「デートの前に」の最後の最後で 「心臓止まりそうだよ」と言った直後に新妻さんを振り返る和賀さんの表情とリアクションだとか、「お見合い」での新妻さんのアレ*1の仕上がり具合とか、細かい部分でも見所が多すぎる。二人のいろんな面が見られる単独でもあったなーと。私は動き回って汗をかく新妻さんと、怒る和賀さんを見るのが心の底から大好きなので、そういう意味でも見ていて幸せでした。
映像も相変わらず楽しくて楽しくて。どれも大好きですが、和賀さんがレゴを作る様とそれを新妻さんに壊された瞬間の人殺しの目と、トイ・ストーリー3を見て大号泣する新妻さんが、私にとっての珠玉です。新妻さんの大号泣は本当に素晴らしい、あんなに人が号泣してることであんなに爆笑できるんだからこんなに幸せな号泣もないです。どんなことも行き過ぎると漏れなく面白くなる…。


結局のところ、トップリードの単独ライブを見終わった後に客席で享受できる多幸感を思い知れ!と天に向かって叫びたかっただけなのです。大笑いも出来る、痺れるような驚きも感じられる、そうして最後に何もかもが楽しくなれるよ、と。
今回、彼らのことを何も知らない身内をこの単独ライブに誘いまして、事前にひとつだけ、「絶対に嫌な気持ちにならないライブをする人達」とだけ話したのですが、見終わったあとどうだったか聞いた私に向かって「嫌な気持ちにならないどころの話じゃない」と断言したことが嬉しくて舞い上がるかと思いました。伝わった!と思ってちょっと泣きそうになった(笑)
「嫌な気持ちにならないどころの話じゃない、爽快感がものすごい」と。その上で「本当に面白かった!」と。何も知らない人が、トップリードの単独を見て、こんな風に思うことそのものが、トップリードの単独ライブが生み出して放つものの力がどれだけすごいかって話になりませんかね!どうですかね!


もっと色々と書きたい気持ちはあるんですけど例によってきりがないのとどうしてもうまく言葉に置き換えられないものもあって、ひとまずここまでにしておきます。
次もその次もずっと楽しみですし見るたびにきっとずっと幸せです。

*1:ネタバレになるので詳細は省きます。