箱雑記ブログ

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神保町花月「ハッピーな片思い」

劇場のこけら落としに足を運ぶのは人生初の経験。噂のピータンな建物に行ってきました。
内容には過剰に期待せず、でもフォービーズの方が作ったお話だからそれなりに楽しめるんだろうな、とも思いつつ、新しい劇場をきょろきょろと観察しつつ。神保町花月はE列からが段差でした。思っていた以上に小さな箱。傾斜はあまりないけれど、劇場そのものが小さい上に舞台はちゃんと高い場所に作られているので、後ろで見る分にはそれほどストレスもなく。
以下、まだ公演中につき、内容には触れない方向で簡単な感想を。


POISON GIRL BAND/佐久間一行/平成ノブシコブシ/グランジ/タカダ・コーポレーション/オバアチャン/天才子役橘/武内由紀子



「ハッピーな片思い」というタイトルに恥じない、メジャーポップで楽しいお芝居でした。本当にフォービーズを見た時と同じ感想。それなりに地に足の着いた無理のないお話。
設定そのものもそれほどぶっとんだ感もなく。あれは突き詰めたらきっと矛盾も一杯出てくるんだろうけど、ノリは図書館戦争と変わらないな、という感じ。全体通して凄くマンガっぽい。良い意味で。はっきりメジャーポップに徹した感があるところが良いです。
全てのキャラクターがそれぞれイキイキしてるなあ、というのは「Lovely☆佐渡衛門」を見たときも思ったけれど、今回もまさに。ちゃんといらないキャラがひとりも居ない、というのが素敵です。お話を作られたのはフォービーズの演出担当の方だと思ったのですが、フォービーズって一貫してそういうカラーがあるんだろうな。


特筆すべきは衣装です。衣装がもう、本当に目が喜ぶ感じで楽しいったらなかったです。ちょっとばっかりパラレルな世界が舞台だったのですが、衣装のいい感じにかっとんだカラーリングとかデザインが、その世界特有の職業を上手いこと表してて、しかもどれもこれもみんなとても似合っていて、抜群。
徳井さんの衣装と五明さんの衣装、あと大貫さん扮するアイドルの衣装がお見事でした。私は長いコートとかずるずるしてるのが好きなのかもしれない(笑)徳井さんのショールのような黒のコートもよかったし、五明さんのすごい色の長いコートも五明さんの体格で着こなしてくれるとかっこいいんだ!(袖が足りてなかったけど。笑)アイドルちゃんのスカートも最高。ひらひらしてて可愛い可愛い。
吉田さんの、形はシンプルだけど素材と色がちょっと奇抜なスーツとか、さっくんのちょっとウェスタンめいた服装も素敵でした。武内さんの衣装はある程度スタイルよくないと着こなせないよな、とか。あ、忘れちゃならない、遠山さんのぎらぎらのスーツ(笑)襟のスパンコール?ラメ?が照明に反射して眩しいったらなかった(笑)


とりあえず、U-1以来久々に舞台でお芝居らしきことをしているノブシコブシを見て、この人らは本当にこういうのやらせると抜群に映えるんだな!と思い知らされました。潜在能力をひしひしと感じさせてくれるような。吉村さんのあの舞台での華って何なんだろうなあ。目を惹かれずにおれないのです。声もよく通るいい声だし、素材として本当に見ててわくわくする人だ。徳井さんは徳井さんで、あの人は本当に細かいところまできっちり作り上げてやりきる人だなあ、と。キャラに破綻がないというか、揺ぎ無いというか。妙に印象に残るんですよね。立ち姿も何気に絵になるし。あの手の妙な衣装を違和感なく着こなせる変な素材のよさも楽しい。


グランジはというと、ユニットコントやガッツでも思い知らされてきたことですが、ここにきて改めて、五明さんの上手さを再認識。脇に出てくる役で、それほど比重の大きい役割を振られているわけじゃないのだけれど、とにかく存在感があって、とにかく上手い。ああいう、「ちょっといい加減で器もあんまり大きそうじゃないけど、何故か部下にも慕われて何となくまとめ役になれる愛嬌のあるおじさん」みたいな役を、ああも絶妙に演じられるってのが、個人的には相当衝撃です。見終わったあと、上手いなあすごいなあとずっと言ってました。ただでさえ大きいので舞台栄えするし。
遠山さんは、役が美味しいわオカマ似合うわ神経質なマネージャータイプがぴったりだわで、もうずるいったらなかった(笑)オカマ口調にこれほど違和感のない人は他にいないと思うので、キャスティングが素晴らしいというほかない(笑)それをきっちりグランジらしいテンションでやりきってくれるから、見ごたえもばっちり。
大さんは、怪しいだけの役をやらせたらピカイチだと思った(笑)善良には見えない、ただただ怪しいいやぁな役は大さんのためにあるようなものです。出番そのものは少ないはずなのに、記憶にこびりついている(笑)変な色のスーツがまた良く似合うんだー。
このお芝居って役者あて書きだったりするんでしょうか。だとしたら、本当に出演者のことをよく知っている人が作ったんだろうな、と思わざるを得ない(笑)


さっくんはお芝居でもなごみ役。結構美味しいところを持っていったりして、ほのぼのしちゃいます。出演者の中では一番先輩のはずなのに、ちょっと頼りない下っ端役が似合っちゃうあたりもさっくんならでは。
タカダコーポレーションの大貫さんは、可愛い可愛いと思っていたけれど、アイドル役をばっちりやりきっているのを見て本当に可愛い人なんだな!と思いました。そりゃガッツでは使えないわ(笑)*1不思議ちゃんアイドルしてるときは徹底して不思議ちゃんで、素の場面は普通の可愛い女の子で共感してみたり。
おやきくんとオバアチャンのくろやなぎさんのオタクは、妙にリアルかつ言っていることがものすごくちゃんとオタクしていて、これまた全然違和感なかった(笑)オバアチャンの赤枝さんは、お兄さんいい加減な感じが程よくていい感じ。天才子役の橘さんはおきゃんなキャラでキュートだった。
役者組から参戦の武内さんは、さすがの貫禄。エリートで心に傷があるけど強気ではすっぱ、みたいな美人役がぴったり。


座長のポイズンはというと、吉田さんがわりとまともなピュアでシャイでお堅い男の子という普通の青年らしい役柄で、対する阿部さんは全キャラ中最もぶっとんだ役柄という、極端な仕上がり(笑)阿部さんは、台詞もそれほど多くなくて、出番もすごく多いわけじゃないけれど、一番インパクトあるビジュアルで、一番インパクトあるキャラクターで、一番おいしいところを持っていって、一番いい台詞を話す、とにかくおいしい役でした。見た目は最高潮に気持ち悪いんだけど(笑)あまりにも濃いキャラなだけに、阿部さんは完全に吹っ切って役に入ってる感じで、違和感がなかったのがまた・・・(笑)
吉田さんは逆に、あんまり普通のそれっぽい男子の役だけに、やりきるというよりどこか照れを感じさせる(笑)その感じがまた、ちょっと浮世離れした職業に合ってるといえば合ってるのかもしれないなあ。モノローグの雰囲気とかが妙に新鮮でくすぐったい。あと、普段スーツとか着ない人なので、衣装もとても新鮮でした。


そんなところでしょうか。
また後ほど見に行く予定なので、そのときにどんな風になっているのか楽しみです。内容についての感想も、終わった後くらいに語りたくなるかな。

*1:押見さん曰く、ガッツの女優は美人は使わない、とのこと。