箱雑記ブログ

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神保町花月「ハッピーな片想い」

千秋楽を見終わって、千秋楽含めて見た公演についての感想と、気になるところを。長いです。



・初日と千秋楽では、吉田さんの演技が全然違った。合間に見たときに感じたことですが、確実にいい風に吹っ切れていく様子が見えて、それがとてもいいなあ、と。
前半はまだ、あまり遊べない役だというのもあったのか、ぴしっと締める演技で見せてくれていたのですが、後半を見に行くとだいぶ・・・壊れてきていた(笑)手を食べてみたり、ネクタイ噛んで悔しがってみたり。常盤のキャラが壊れるとお話そのものが歪んじゃうかな、と思っていたけれど、そこらへんはやりすぎないあたりが吉田さんは卒が無い(笑)


・阿部さん扮する小池は物語のキーマンでしたが、出番も台詞もあまり多くない印象だったけれど、インパクトは十分。最後の最後の長台詞、千秋楽は相当に気持ちの入った演技になっていて、表情も台詞もものすごく記憶に残ってます。阿部さん良かったなあ。
あと、初日からずっと気になっていたのが、あのスローな動き(笑)オタクが動きスローって印象はあまりなかったので、あれは阿部さんなりの行ききったオタクの役作りなのかどうなのか。
公演後半から、たもっちゃんの楽屋のシーンにみうらじゅん登場で相当笑いました。大さんとのシーンでの小ネタだったので、あれはハリウッドクラブのたくらみだったのね、と今思うとまた笑えます。


・遠山さん扮する飯島の最後の台詞は、初日に見たときにはただ強く叫んでいる、という印象だったのが、次に見に行ったら、どこか悔しさとかやるせなさとかやりきれなさをはらんだ口調になっていて、それが非常に印象的でした。初回に見たときは飯島がなぜ不純パーティなんてやってるのかな?なんてことはあまり考えようと思わなかったのだけれど、あの最後の叫びに何かしらの意味を見出した瞬間、見えざるドラマが生まれたような気がして、ああこれはすごくいいな、と思いました。あそこの演技は千秋楽が一番くるものがありました。


・それ関連で。あのシーンの飯島の台詞に「浮気に不倫、ホモにレズ、なんでも盛り上がっちゃって」(すみません台詞うろ覚え)というのがあったのが、初回から気になってまして、恋愛法は浮気や不倫だけじゃなくて、同性愛も取り締まってる法律なのだろうか、と。
さすがにそれはないかなーそうだとするとかなり矛盾の多い法律になっちゃうよなーと思ったのですが(浮気じゃなくてちゃんと付き合ってても同性愛なら罪になるのか?とか)、飯島が最後のシーンで泣きそうになりながら「恋愛に法律なんて必要ない」と叫んでいるのを見ていて、やっぱり恋愛法では同性愛はご法度なのかな、と。そう考えると飯島の行動にもつじつまが合うし、飯島が危険を犯してまで法に反する集会を開いていた理由としてもしっくりくるんですよね。
そう考えると、飯島というキャラは切ないキャラなのかもなあ・・・としみじみ思ったりしました。恋愛法そのものに恨みのある人物像、というのは、このお話ではかなり魅力的。それを、ストーリーに頼らない場所で表現してくれた(と私が勝手に思っている)遠山さんも、魅力的でした。


・魅力的といえばたもっちゃんで、私はそもそも初回見たときからあのアイドルキャラが大好きで、衣装が可愛いのも手伝ってお気に入りでした。普通の女の子が神経すり減らしてアイドルを演じて、楽屋に押しかけた小池にもきちんと対応して、「ファンは大切にしなきゃいけない」と言っている、そんな彼女が最終的に不純パーティの会場にいた、というのはなかなかやるせない・・・。
あれは、マネージャー飯島が参加させてたのかな、と最初は思ったのですが、中盤であれだけ「プライベートには気をつけてちょうだい」「男は駄目よ」と散々言っていた(オカマなのでこの口調)飯島が、不純パーティなんてリスクの高い場所に秘蔵っ子を参加させるとは考えにくいので、あれはたもっちゃんが自分で足を運んだのかな、と。
休みが欲しい、普通に恋だってしたい、という彼女と、ファンは大事にしなきゃいけない、結婚なんてしないで一生みんなの恋人なんだよ、という彼女の、心の矛盾が爆発しての行動なのか、マネージャーに対してのあてつけもしくは復讐なのか分からないけれど、そんなところなのかな、と勝手に解釈しました。
アイドル且つ、等身大の女の子、という実は難しそうな役どころを、大貫さんはばっちりこなしていて、素敵だなあと、大好きになってしまいました。ライブシーンの歌のときのダンスのふりと笑顔の可愛さがいいんだー。飯島じゃないけど「いい!」って言いたくなるくらい。


・恋愛法の矛盾については、そういえば劇中で吉村さん扮する常盤父も語ってたんですよね、飽きたらちゃんと離婚してまた結婚すればちゃんと不純な恋愛ができる、とか。もうちょっと、恋愛法が矛盾をはらんでることとか、今後改正の余地があることとか、盛り込んでくれたらまた違ったお話になったのかも。そうしたらまた飯島のキャラや主張にも深みが出たかなあ。
でも時間の都合上話が広げられないんだろうな、とも思うし、そもそも片想いが主題の明るいお芝居という舞台だったんだろうから、そこを深く掘り下げることもなかったんだろうな。


・徳井さん扮する細江というキャラクターがまた、素晴らしく魅力的で!私、最後の方で、常盤が早乙女さんに告白しちゃって、雅さんとか大森くんとかとわちゃわちゃしてるとき、一人がっくり項垂れる細江が大好きでした。分かりにくいながらも、全編通して確実に早乙女さんへの好意をそこかしこに見せてくれる徳井さんの演技の細やかさが非常に好みでした。あれはいい!(笑)
千秋楽、前の方の席で見ることが出来たので、徳井さんの繊細な演技の数々を目の当たりにできて、いいわーとしみじみ。最初の居酒屋のシーンで、常盤が職務質問してきます、と言うところ、雅さんが「早乙女ちゃんの歓迎会だしいいよ」みたいなことを言うと、細江は一瞬にっこり笑ってうんうんと頷くのですが、常盤がすぐさまそれを否定して職質かけようとすると、一瞬でまた困ったなあ、みたいな顔をするのです。いいなあー素敵だなあーと嬉しくなってしまった。
あと、私が細江の出てるシーンで大好きだったのが、最初の恋愛法について説明する長台詞。台詞回しが自然で且つインテリっぽくて、見事!基本的に滑舌がよくない感じの喋り方でどきどきするんですけど(笑)台詞回しそのものは抜群に好きなんだよなあ。
そういえば、私はU-1グランプリでも、イメクラの店員役の徳井さんが一番好きでした。徳井さんがああいう台詞をつらつらつらーと話して細かく抑揚つけたり表情つけたりする演技が好きなのかも(笑)最近気付いたんですけど、私抑揚フェチらしいんです。なんだそれ。


・徳井さんが細かく演技を作ってくる感じも好きでしたが、五明さんの役柄そのものを大きく一つどかんと説得力持って作り上げて演じてくれる感じも大好きでした。初日の感想にも書いたのですが、ああいう、どこか頼りなくて器も小さいけど憎めないおじさん、みたいな、かっこいい!みたいじゃない小物キャラを魅力的に演じられるってすごいなあ、と思ってしまうのです。西村雅彦氏とかユースケサンタマリアみたいなね(笑)雅さん、大好きですから私。


・そんな雅さんと、回を追うごとにアドリブ合戦でわちゃわちゃしていた佐久間さん扮する大森ちゃんも、とても素敵だったー。大森ちゃんは、さっくんにしか出来ない何とも言えない魅力があったような気がする。田舎の子らしいちょっとしたなまりとかにほのぼの。細江と同期ってことでの対比のシーンが頭にしかなかったのがもったいないなーと。キャラ付けが絶妙だっただけに。だから、最後の最後のシーンで、細江が「雅さん、今夜は付き合ってもらいますよ」って言ったときに、大森ちゃんが「ほそえー!」って嬉しそうに飛びつくところがすごく好きでした。なんだか可愛らしい。本当は一番先輩なのに(笑)


・大さん扮する黒澤は、回を追うごとに台詞が大さんになっていく様が可笑しかった(笑)どんどん言いやすい感じにしていってるのかな、と思ったのですが、それにしても、出番的にはそれほど多い印象じゃないのに、キャラの濃さが素晴らしい(笑)何やっててもあの胡散臭さが抜群で、ずるいくらい。
あと、たもっちゃんの楽屋での飯島との会話では、過去に飯島との因縁があって、飯島に憎悪を持っている、という話だったので、そこらへんの事情が未だに気になってみたり(笑)黒澤の話しぶりだと、アイドルだけじゃなくてミュージシャンや映画なんかもプロデュースしていたようで、飯島は相当敏腕だったのね。


・畔柳さんとおやきさんのオタク組は毎度いいアクセントで。たもっちゃんへの誕生日プレゼントがアドリブになっていたようで、そこのやり取りが楽しかったり。千秋楽では、このアドリブで畔柳さんが2打席三振かましてましたが(笑)
不純パーティでのおやきさんの仮面ならぬ白塗りは、初日ではああじゃなかったんで、後半見てみてびっくりでしたよ(笑)
幼稚園生のまちこちゃんは本当にほっそりして小さくて華奢で可愛かったー。おませな女の子らしさも十分で。


・武内さんは、さすが女優さんの貫禄。ともすれば芸人さんが芸人さんらしい暴走ぶりを見せる中で、きっちり芯の通ったお芝居を毎回見せてくれて、さすがだなーと。勝負どころが分かってるというか。あの衣装が似合ってしまうスタイルといい、気持ちの良い気の強さといい、酔っ払いぶりといい、魅力的でした。


・赤枝さん扮する兄貴も、結構印象に残ってます。そういえば、常盤父とのバトルが可笑しかったなあ。私が見に行ったときは、兄貴は常盤父に舞台の下に落とされて、最前列の開いてる席に座らされていた(笑)千秋楽こそさらっと流してましたが、中盤の時期はここで相当時間食ってたと見た。
兄貴と常盤の居酒屋での会話も面白かった。後半から常盤のお母さんは外国人(セルビア・モンテネグロ。旧ユーゴスラビア)でハーフだったんだね、みたいな話だったのに、千秋楽では常盤父もセルビア・モンテネグロ人だとかいう話になって、常盤はセルビア・モンテネグロ人になってしまっていた(笑)時間をかけて大いに動揺していた常盤に笑ったなあ。


そんなところでしょうか。また思い出したら書きます。
ちなみに千秋楽のアナウンスは、阿部さんと大さんでした。大さんの口調は普通に聴いてても可笑しい。


今度はポイズンが座長でなく、脇を変なキャラに扮して固めたのも見てみたいし、グランジ座長も見てみたい。あべさくで座長なんて素敵だと思うんですけどね。