箱雑記ブログ

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NODA・MAP番外公演『THE BEE』(日本バージョン)

日本バージョン再び。プレリザーブを始めて最大の恩恵をいただきました。最前列ってすごい。以下感想、ネタバレあり。



最前列、ものすごくよく見えてしまうところと、まったく見えないところとが半々くらい。上からじゃないと見えない場所があったりするし、野田さんの影に隠れてしまって秋山さんの迫真の表情が見えなかったり。
その分、三面鏡を眺める井戸の完全におかしな表情を目の当たりに出来たり、イドのダンスが凄まじく躍動感を伴って感じられたり、オゴロの妻が銃を突きつけられたときに本気で胸が細かく震えていておびえているのが分かったり、秋山さんが至近距離の目の前にきて、勢いよく振り返って舞台奥に向かう際にものすごく良い香りがしたり(笑)でした。秋山さん、本当にいい香りがした・・・びっくりした(笑)


あと、蜂の音、最後以外の2箇所、あれ、どうやって音出してるのかな、と1回目はずっと不思議だったんですけど、秋山さんが口で音出してたんですね。これも最前列じゃないと分からなかったこと。逆に、後ろの席だとそのあたりがものすごく曖昧で、音の発信源が分からない分、本当に蜂の存在がどこにあってどう動いているのかとか、役者さんの仕草や視線でしか分からなくて、でも音はそこじゃないどこかから聴こえてる、という気持ち悪い状況が生まれているのだな、と思って不思議でした。


最前列で見る野田さんのイドは、それはもう凄まじくて凄まじくて、見ていて底冷えするほどの狂気でした。蜂を銃で撃った後の、三面鏡ごしに銃を持ったオゴロの妻を見る時の表情はもう人という感じがしませんでした。怪物みたいな。
最後の最後、オゴロの妻も息子も息絶えた朝に起き出して、いつものように顔を洗って、身だしなみを整えて、席について食事をとろうとするときのイドは、それまでとはまたまったく違う恐ろしく静かな、やつれた狂気を湛えていて、こちらは見ていて呆然とするしかない。
原作を読んでから見ることが出来たのですが、思いのほか台詞などが忠実に描かれていることに驚きました。原作では、最後の最後までイドは自分がまともであると信じていて、二人が息絶えた後にオゴロと電話で話をするとき、オゴロの様子に自分の方がまともであると優越感を感じるのですが、あのシーンを外側から描いた途端に、イドがこうなっているのかと思うと、なんともいえないどろどろした嫌なものを感じました。このような報復合戦を繰り返す者はまともなわけがないということだろうか。


結局、ロンドンバージョンのチケットも確保してしまったのは必然としか言い様がないです。やっぱり本家本元を見ないと。楽しみです。