箱雑記ブログ

色々まとめています

インテレクチュアル・プロパティ

しずる池田さん名義のライブ。だいぶ今更ではありますが、期待以上にどうかしていたライブに仕上がっていたことが嬉しくてならないので、ざっくり流れと感想を。




・オープニングパフォーマンス『池田脳を喰らう』
・MC田所さんと松橋さん。回答者席に福田さん、つよしさん、根建さん。MCの傍らに座っている池田さん。“Mr.ブレイン”池田様、と呼ばれる。
・MCによると、池田様が3名を直々にこの宴に指名したとのこと。
・オープニングパフォーマンスが『池田脳を喰らう』というタイトルであることが知らされる。
根建「ルミネ(舞台)って飲食禁止って聞いたんですが、脳はいいんですか?」
松橋「池田様は、OKです!」
・今回の主旨説明。
3つの物語が用意されている。その物語の正しい結末も決まっている。物語の正しい結末にたどり着くための項目を、与えられた選択肢の中から選ぶ。ポイントの高い者には池田様からご褒美があるとか。
・以降、物語を演じる役割として関町さんと児玉さんがその都度登場する。


1.恋愛〜初デート〜
彼氏(関町さん)と彼女(児玉さん)の初デートの他愛も無いやりとり。
選択問題:「今日どこに行く?」→結末「やっぱり、だーいすき!」
選択肢は以下。
(1)富士サファリパーク
(2)ユニバーサルスタジオジャパン
(3)とどのつまり


・(3)の謎の選択肢に当然ざわざわする回答者たち。ちなみに正解は1つとは限らないらしい。
・福田さんと根建さんは(1)、つよしさんは(2)を選択。
松橋「池田様を甘く見ない方がいい」
思わせぶりすぎる言動の多い松橋さんに、お前達は何者なんだと当然の問いかけが。
松橋「我々はいつも池田様と一緒です」


・答え合わせ。
ちなみに答え合わせにいく際、MC二人があわせ技で、田所「インテレクチュアル」松橋「プロパティ」と言う。あまりにもスムーズに発声されたため客席爆笑、回答者は騒ぐ。
(2)しっかり聞き取れない女にイライラして酷い目に合わせる
→彼氏の言うことがなぜか聞き取れない彼女。イライラが頂点に達した彼氏が彼女を乱暴に袖に引きずり込む、暗転。→バッドプロパティ。
(1)正解。グッドプロパティ。
(3)彼女を目の前にして彼氏のタガが外れる
→とどつまり、彼女とエッチがしたい彼氏。彼女のあまりの可愛らしさに彼氏の性的なタガが外れる。その場で襲い掛かり嫌がる彼女を無理やり…暗転。→バッドプロパティ。
福田「とどのつまり、こえー!!」
・ちなみに正解の場合はグッドプロパティ、不正解の場合はバッドプロパティ、といわれます。


2.不良同士の決闘
不良同士が決闘をする。不良二人がほぼ相打ち状態になり、不良A(関町)がもう一人の不良B(児玉)に手を差し伸べながら言う。
選択問題:「お前とやりあって思ったんだ」→結末:二人で肩を組んで去っていく
選択肢は以下。
(1)この龍と組めばおもしれえ事が出来るんじゃねえかってな
(2)こいつの拳なら、うるせえ奴らの口がふさげるんじゃねえかってな
(3)やわらかくておいしいね


・やはり(3)の謎の選択肢に当然ざわざわする回答者たち。
・さまざまな考察がなされる中、福田さんは不良Bの最後の技がアッパーだったことに着目し、あれを龍と表現したのでは?と読む。
・つよしさんが(2)、福田さんが(1)、根建さんがあえて(3)を選ぶ。ある程度の裏切りがあってもおかしくないんじゃないかという空気が生まれている。


・答え合わせ。
(1)正解。グッドプロパティ。福田さんの考察がドンピシャとなる。
(2)セリフが相手に伝わらずイチャイチャしてしまう
→児玉さんに拳で口ふさげないよ、的な解釈をされ、説明をする関町さん、説明されて恥ずかしがる児玉さん、最終的に二人でままきゃっきゃして引っ込む。→バッドプロパティ
(3)やわらかくておいしかった
→やわらかくておいしいね、と言いながら、関町さんが児玉さんの首筋に噛み付く。噛み付かれた児玉さん絶命、暗転。→バッドプロパティ。


・途中でプレイヤー二人が噛んだりしたのを指摘する回答者達。
MC二人は、あれはホログラムでありあらかじめプログラムされているものであるが、たまにシステムのエラーが起こるといったような説明をする。
・色々と怖くて騒然となる回答者達。いよいよ最後の3問目へ。
福田「やめるって選択もあるんですか?」
田所「やめるのもいいですが、その場合人間をやめていただきます」
MCのブレなさ半端ない。


3.刑事
現場に行かせて欲しいと本部長(児玉さん)に訴える部下(関町さん)。
「仲間が撃たれたのに通常業務なんてできません!」と部下は本部長に訴える。
選択問題:「関町!」→結末:部下が倒れており、本部が部下を抱きかかえ、名前を呼び続けるが部下は事切れる。
選択肢は以下。
(1)お前は通常業務をしろ!命令だ!
(2)俺はもう部下を失いたくないんだ
(3)拳銃だ…絶対生きて帰れ
(4)おしりなら、とうの昔に割れている。どうだ?愉快だろ?
(5)ぬ〜め、ぬめ


・選択肢が増えた上に謎の選択肢が2つに増えていいることにやはりざわざわする回答者たち。
・正解が1つではないとのことから、そろそろ謎の選択肢から正解が出るのではないかと深いところを読み出す福田さん。
・大混乱するつよしさん。悩みに悩んで回答を選択。
・つよしさんが(1)、福田さんが(4)、根建さんが(3)を選択。


・答え合わせ。
(2)正解。
→本部長の心配をよそに、部下は絶対に大丈夫だと言い張る。その情熱に本部長は折れ、二人で現場に向かう。到着すると、すでにテロリスト集団『赤い雪』の事件は解決したようだった。現場の状況を見てもう大丈夫だと笑顔になった部下。その瞬間銃声がして部下が倒れる。本部長が部下を抱きかかえる。「関町!関町ーーー!!」→グッドプロパティ。


あまりにも脚本がしっかりしている上に、ホログラム二人の芝居が度を越えて素晴らしいため、関町さんが撃たれた瞬間に回答者席の全員が立ち上がり、上司と一緒に「関町ー!!」と叫ぶという事態に。
つよし「池ちゃんマジー??」


(4)時にはふざけてみたい本部長のチョケが引き金になって本部長が射殺される
→突然「おしりなら、とうの昔に割れている。どうだ?愉快だろ?」と言い出した本部長を不審に思った部下、「本部長はそんなことを言うはずがない!」と言い出し、銃を取り出して突きつける。「やめろ関町!」といいながら近づいてきた本部長を部下はその銃で撃つ。何者だったのかと関町は死体の懐の免許証を探ると、そこには児玉の名前が。「本部長…本部長ーーー!!」暗転→バッドプロパティ。


(3)正解。
→「拳銃だ…絶対生きて帰れ」と言いながら、本部長が銃を部下に渡そうとしたところ、誤って銃で部下を撃ってしまう。倒れた部下を抱きかかえながら「関町!関町ーーー!!」→グッドプロパティ。


(5)部下が本部長の犬になりぬめぬめダンスを踊らされる
→「ぬ〜め、ぬめ」と言い出した本部長を訝しげに見る部下。「今はぬめぬめなんてやっている場合じゃないでしょう!」と言うと、本部長の様子がおかしくなる。
本部長が「ビデオをばら撒いてもいいのか?」と言い出す。以前本部長の家に部下が飲みに来た時、二人が裸でぬ〜めぬめと言いながらぬめぬめダンスを踊ったことがあり、それがビデオにおさめられているらしい。
「あのビデオにはあなたの顔もうつっている!」と言うも、「かまわん。むしろ、たまらん」*1と言い出す本部長。「わたしや変態でね」と笑う本部長におびえる部下。
「あんたの狙いはなんだ」と聞かれ、「コントロール」と答える本部長。どんな状況においても自分の命令を聞く犬が欲しいのだと語る。だから早くぬめぬめダンスを踊れと異様な笑顔で部下に迫る本部長。
極限の状況から何かが壊れてしまったように、とうとう本部長の言われるままにぬめぬめダンスを踊りだす部下。うつろな表情でぬ〜めぬめと言いながら踊り笑う。勝ち誇ったように笑って同じくぬめぬめダンスを踊る本部長。もはや自分の意思などないかのように、本部長の言いなりになる部下。二人してぬめぬめダンスを踊りながらはけていく。→バッドプロパティ。


(1)通常業務をする。
→「お前は通常業務をしろ!命令だ!」「はい!」→バッドプロパティ。


・モストインテレクチュアルプロパチャーの発表。
同点だったが、より池田様の脳に近いということで福田さんが選ばれる。
商品は、池田様との晩餐会。福田さんは拒否したいと言い出す。
MCより、以前同じように晩餐会に選ばれたのに拒否をした人物=杉本さんの現在の映像があるとのこと。


・杉本さんの映像。
定点カメラのよう。監視カメラの視界にも思える。非常に画質は悪い。
何かの建物の窓から外を見ている男。パジャマ姿である模様。そこに看護師らしき女性がやってきて、男に話しかける。
「杉本さん、部屋に戻りましょう」と言われても、まったく反応しない男。
「まだ池田さんという人のことが」と看護師が言い出した途端、男は絶叫しながら頭を抱えてしゃがみこむ。看護師は驚いて医師を呼びに行く。その間もずっと男は絶叫しつづけている。


・映像を見た回答者一同、なんだか唖然。
つよし「結構冷静装ってるけど、頭ん中ぐちゃぐちゃやで」
福田さんは拒否することを諦めて、用意された席につく。なぜかロープで拘束される福田さん。
MCより、これより池田様との晩餐会を楽しんでください、と言われ、一度暗転。
・拘束された福田さんとその前にスポットライトがあたる。そこには冒頭の池田様が喰らっていた脳が。
池田様がスプーンで脳をすくい、福田さんに食べさせる。
福田「なんだよこれー!!」
池田様はゆっくりと客席を見回して、一言、「次はお前だ」。
そのまま幕が閉まる。



池田さんのブログでの告知っぷりや普段の言動諸々から考えて、こんなのだったらいいなーと思っていた期待どおりのものが出てきてもう狂喜でした。なんだったらコントの数に関しては期待以上でした。3つの器で11のコント…感無量。
また場を仕切る二人やホログラム二人は当たり前のように池田さんの作る世界をよーく分かっている同期の皆々様であるだけに、その布陣にまったく隙を見出せませんでした。
特にホログラム二人の素晴らしさったら。「刑事」センテンスにおける(2)のまともにドラマチックな内容を演じる際の完成度。もちろん話の筋の真っ向勝負ぶりや「赤い雪」等の無駄なディテールが完成度の大きな理由ではあると思うのですが、それと同じくらいに演じる二人の熱といいリズムといい空気といい、文句の付け所が見つかりません。部下が撃たれた瞬間、客席もああ!って感じになりましたけど、あの回答者一同さえもいっせいに立ち上がって「せきまちぃぃー!!」となって、会場が一体になってドラマにめり込んだのは、あの二人の力量に他ならないかと。もう一体になりすぎて逆に面白かったくらい。
仕切る二人の、コントに入る際の「インテレクチュアル」「プロパティ」のジングル以外での一定のテンションや揺るがない挙動の数々がこれまた素晴らしい。池田様をあがめる言葉を口にしつつ、態度が熱狂的ではないところが逆に狂信ぶりを感じてしまった、のはまあこちらが乗っかりすぎかもしれませんが(笑)、それにしてもよかったなあ。たまに台詞などがブレる演じ手二人について、ホログラムだがたまにバグが発生する、みたいなことを説明したのも仕切りの二人。ホログラム、という単語がここであっさり出てくるあたり、池田さんの世界を共有しきっちゃってんだなーという感想しか出てきません(笑)


回答席の御三方も、この御三方でよかった!と思えました。池田様派閥との温度差があればあるだけこの舞台の中身の奇矯さや異常さが際立つので、特につよしさんの本当に最初から最後まで乗っかることもできなければ没頭することもできずにずっと訳がわからないまま振り回されている様は最高でした。つよしさんがいてくれたから、あの場がいっそうおかしなものだと思えました。池田様派閥のあの空気に耐性ありそうな同期の根建さんとも、なんだかんだで企画に乗っかりつつ自分のポジション確立しちゃえる福田さんとも違う、お二人には出せない絶対の外部の普通人ポジション、つよしさん最高に適任だったなあ!
もちろん耐性あるからこそ面白ワード続出の根建さんは、そもそもが戸惑ったり混乱したりする様が面白い方なのでこれまた楽しかったし、福田さんだからこそ謎の選択肢の裏を読んだりするアクティブな動きで会場を沸かせてくれたり最後の最後に晩餐に選ばれてあれだけの正解リアクションを残してのけたんだろうなーとも思うわけで、結局回答席にも隙はなかったのだなーと思います。


そして何より最後にひとつしか台詞がなかった池田さんの作るコントの数々は、それはもうぶっ飛んでるわ歪だわ、唐突だわ乱雑だわ、怖いわグロいわ、そのくせ一貫して流れているごくシンプルな「どうかしちゃってる」具合はブレないわで、思い切り堪能しました。許されるならDVDにしていただいて延々繰り返しリピートしたいです。
やっぱり「ぬ〜め、ぬめ」とか「やわらかくておいしいね」とか、それこそオープニングの池田脳を喰らうだとか、あのあたりは圧巻です。圧倒的に怖くて気持ち悪くて最高です。「ぬ〜め、ぬめ」は児玉さんが倒錯した空気が抜群に似合うあたりとか、関町さんの恐慌ぶりがお家芸ってくらいに完璧なのとかも含めてなので、演じ手の妙も当然あるはずですが、にしても脚本なぞってみたらもうたまらないです色々と。人を狂わせて支配するとかね…それが笑いになるとかね…とか思ってるだけならまだしも、その手段がぬめぬめダンスという字面だけ見たらすごい脱力感だし実際見てみても本当に脚色なしのぬめぬめダンスでそれ以上でも以下でもないというところもどうかしてるし、でもそのぬめぬめダンスと、狂喜+支配というエッセンスが組み合わさってあれだけの磁場が生まれるとかね!とにかく情報量が多いわ狂気の種類が多いわグロいわで、いいもの見ました本当に。
池田さんが猟奇的な発想にたどり着くとどうしても支配する・支配される、みたいな話になりがちなのも興味深いなあ。コントロールしたい欲みたいなのあるんだなーと改めて思います。それをすごく危険な方向に向けて発砲するからああいうコントになるのかなあ。言われてみればしずるの最初も相方を支配するつもりだったみたいなこと言ってましたし。まあ全部妄想です。
ただ、ぶっ飛んだコント以外のコントも、それぞれ絶妙にズレてる具合が素敵だったので、それもあってもう一回見たいなーとか思います。あと前述の真っ向勝負な刑事の脚本とかも、唐突だという点があるからこそ池田さん!てなりますけど、それにしてもよく出来てるなーと思ったものです。


そんな感じで私は本当に面白かったし大満足だったのですが、だからと言って見た人がみんな面白がれるライブだったかというと絶対に!そんなはずはなく!だって脳みそ喰らってるんですからありえません。テレビに出ちゃ行けない人の作ったコントですから本当だったら駄目なライブです。お好きな方にはたまらないんだろうなと思います。


9本もコント作ることはやはりしんどいらしく、もうやりたくないみたいなことを耳にしましたけれども、ほとぼりが冷めた頃にまたぽろっとやっていただきたいなーと思いました。ルミネであんな空気作るライブなんてそうそうありませんから、たまにはいいじゃない、と無責任に思った次第です。

*1:この言い回しがぞわぞわするほど池田さんらしい。