箱雑記ブログ

色々まとめています

神保町花月『ソビエト』

ノブシコブシ班の神保町花月、千秋楽行ってきました。以下ネタバレ気味に感想。
ファンダンゴTVでの放送があるかもしれませんので、そちらでご覧になるのをお待ちになっていらっしゃる場合はご注意ください。



とっても面白かったです。お芝居というより長編コント。脚本が福田さんだという先入観もあったかもしれませんが、所見での印象は「ジョビジョバみたい」でした。密室での長編コントというくくりで、ジョビジョバ大ピンチっぽいなーと。もともと福田さんの書くシチュエーションコメディ、ということで、こんな感じなのかなーと事前に予想していた通りの内容でした。だから戸惑いもなく見れた。かと言って退屈することなどはなく、どうなるどうなると展開をわくわくしながら見ることが出来まして、本当に楽しかった。ぐいぐい楽しめるポップでおバカで素敵な内容でした。
演者さんが全員きっちり上手くて、隙の無い布陣だな!というのも強かったかと。穴がないというのはすごいことです。


まずセットが全体を白基調にしてのものだったのが妙に新鮮でした。照明効果もところどころだけ、音もほとんど使われてなくて、そのシンプルさがまたあざとくもかっこいい。全てのセットと衣装と小道具が、白と黒のモノトーンなのですね。電話や張り紙はもちろん、手帳やノートやMENUやボールペン?やバッグやバットとボールもそうだし、果ては突然落ちてくる謎のタライまでもが白で、全部が全部モノトーンで徹底していたのに気付いてやるなーとしみじみ思ったものです。
吉村さんの黒の和服姿はちょっとずるいなあ。どうしてあの人、あんなにああいう格好が似合うんだろう。あと、五明さんの着ていた白いニットのベスト、胸のワンポイントもちゃんと黒で、本当に徹底してモノトーンでした。


展開を見ていて大雑把には何も気にならなかったのですが、というか後半の怒涛の展開が楽しくて楽しくて最終的に細かいことを全部忘れてしまえたというのが正直なところなのですが(笑)、改めて思い返してみて気になる点はいくつか。
宮ノ下さんが眠らされて、倉庫で起きて、表の5人の会話を聞いて、してやったり顔で勝手口を出て行く、という最後の「消えた死体」の謎の正体ですが、宮ノ下さんはなぜ倉庫にいたのが自分だとみんなに言わなかったのか。しめしめと思って外に出て行って、散々他の5人を翻弄したのだから、最後に実は、って言ってもよかったのにね、とか。消えた死体が自分のことだと気付かなかったってことはさすがにないと思うのですが。どうなのかなあ。
それと同時に、どうして警察側は「誰も死んでいない」と断言できたのか。血痕がイノシシのものだと分かったからかな。でもそうだとしても、人が一人居なくなった事実は変わらないんだよなあ。ここらへん、私が馬鹿で記憶力が弱すぎるために気付けてない点が色々あったりするのかな、と思うと少々恥ずかしいのですが、それはこうだからじゃないか、みたいなものがあったらぜひ教えていただきたいです。
そういえば、ソビエトって結局どういう意味だったのか、作中では判明しませんでしたが。初日では、最後の最後の吉村さんの台詞に「ソビエト」というひとことがあったのですが、千秋楽ではなくなってました。どちらも良い終わり方なのですが、初日のが意味ありげだった分何だったのかな、というのが気になったりしました。単純に店の名前とかかな。


メインの6人は、6人とも等しく出番があって、誰かが突出することなくものすごくちゃんと演じていて、そのバランスが気持ちよかったです。
やっぱり一番キャラのふり幅があったのはピクニックさん演じる亀井で、戦争全般が趣味、と分かってからのあの人の挙動は相当面白かったです。戦闘シーン(というのもアレですが。笑)での士官ぶりも可笑しくて可笑しくて。そういえば佐久間を宮ノ下と間違えてじゃれつくシーンから、すでに壊れていたのですねあの人は(笑)ピン芸人さんなので、誰かとずっと絡んでいるというだけで新鮮でした。
徳井さんは相変わらず、本当に細かいところまで神経の行き届いた演技を見せてくれてて、徳井さんだけを見ていても十分楽しめるくらい、と言ってしまうのは大袈裟か。宮ノ下が初めてばら撒きクイズの名前を出したときも、ちゃんとばら撒きクイズに心当たりがあって、でもあれは・・・みたいな表情をしっかりしてたりするところが妙に気になって見てました。あと、飛島のわりと無礼講なキャラクターが妙にハマっていたというのもあるかな(笑)なんでこんなに上手いなーと思うんだろう、と考えてみたのですが、ひとつひとつの表情とか動作とかに、異様な説得力があるからかな、と。様になるというべきか、隙がないというべきか。ポイズン班のときからずっと、なかなか徳井さんのお芝居を見てて感じる印象に対して「これ」という単語が見つからなくて、今現在ものすごくもどかしいです。しかしツッコミでフル回転の徳井さんというのも、見ていて刺激的。
同じくらい上手いなーと思うのが五明さんで、前回の「ハッピーな片想い」でも演じていた、「少々小者だけど憎めないおじさん」的キャラクターが抜群。ああいう小技のきいた役が出来るって、抜群に器用だってことなんだろうなーとしみじみ思いました。しかし大きいし舞台映えするなあ。
遠山さんは、失敗パーマで情けなさも炸裂しているという、ある意味素敵なキャラ(笑)遠山さんのお芝居って、ものすごく自然なところと、がっと大袈裟に見せるところとの落差がすごく気持ちいい。死体を見たときのうわーという顔とか、なぜかすごく好きでした。落差といえば、刑事として戻ってきてからのびしっとした感じは、ちょっと惚れ惚れするくらいしゅっとしてるなーと思ったのですが。ああいうのも出来るあたり、遠山さんのポテンシャルってまだまだ先がありそう。
大さんは、今回二役の大車輪の活躍。どちらもものすごく大さんなのですが、どちらも明らかに違った味があって素敵。散々宮ノ下がぎゃいぎゃい騒いで出て行ったあとで、静かな佇まいで入ってくる佐久間はかなりのインパクトでした。役柄的にも、大さんの魅力大爆発、と私は勝手に思ってるのですが、どうでしょうか。
吉村さんは、結構癖のある役柄で・・・と思ったのですが、今回は全員癖がありましたか(笑)改めて思いましたが、舞台の上での吉村さんの華って凄まじい。あればっかりは、訓練でどうにかできるものではないような気がして、吉村さんの武器ってすごいんだな、と実感です。あと、私は吉村さんのお芝居に関して、これくらい出来るのは当たり前!と思って見ている点があるな、と今回見てて思いました。明らかに見る目のハードルが高いと我ながら思った(笑)デタラメな推理のシーンも好きだったし、戦闘シーンの馬鹿馬鹿しい負傷演技も良かったなあ。


そんなところでしょうか。とにかく特別難しいこともなく、何かをじんわり感じさせるわけでもなく、ただひたすらエンタテイメントに徹した、とことん楽しいだけの舞台!というその潔さが大好きでした。何も残らない感じが(笑)だからと言って、6人のつながりが殺伐としたままで終わるわけでもない、みたいなところも好きでした。
ちなみに、何回か見に行きましたが、千秋楽が一番良かったな、と。何がという具体的なところはぱっとは思いつけないんですが(強いて言うなら遠山さんがすごくよかった印象)
何か忘れていることがあるような気がしますが、思い出したら追記するということで。