箱雑記ブログ

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レ・ミゼラブル

レミゼ好きのお友達と、橋本さとしさん好きのお友達にくっついて、人生初レミゼ、行ってきました。堪能したー!凄く素敵でした。
以下は目も当てられないほどのレミゼ初心者の、非常に的を外した感想。



私が足を運んだのは6/10(日)のマチネ。橋本さとしさんのバルジャン。帝国劇場も初でした。生オケというだけでもうお得な気がしてしょうがない!


とりあえず、レミゼ初心者の私は、役者云々以前の、ストーリーを追うことと、キャラクターを追うことに集中してました。そのため、この初めて見たレミゼキャストの印象が、私のレミゼ観として根付くことになると思います。お友達曰く、はずれの無い良いキャストの日だったそうなので、とても恵まれた初レミゼになったのでは。


ミュージカルの経験も耐性も無い私なのですが、最初びっくりしたのが、本当にん短い台詞も全部歌いあげているということ。会話が全部歌なのです。「違う」とか「許せ」とかそういう感じの一言ですら、節をつけて歌うのですね。それに面食らいました。ただ、思ってたよりもずっとずっとしっくり見ていることが出来たのは、やっぱり本当だったら不自然であるはずの「節をつけて会話する」ということにすら、説得力を持たせられる役者さんが演じているからなんだろうな、と思いました。面食らったのは本当に最初の最初だけで、後はもうすっと物語に入っていけましたから。演出とかもあるのかもしれないけど。ミュージカルならではの演出、とか、やっぱりあるのかなー。


あと、改めてレ・ミゼラブルというお話が良い話なのだな、という実感もありました。過去の名作ってやっぱり凄い。若い男女の恋の光と影とかも好きだし、学生の闘争の強い信念とか無常さとか、そういうのもすごく良い。血の繋がらない子供を命をかけて幸せにしようとして、それどころかその娘の恋人を救おうとする主人公の生き様は凄みがあるし、そのくせちっとも綺麗事じゃない、重量感のある行動になっているところもとても好みです。初期衝動とかバックグラウンドがしっかりしているから、説得力があるんだろうなあ。
ジャン・バルジャンという人物がこんなに魅力的だということは、原作も読んでいない私としては、このミュージカルを見るまでは分からないままだったはず。


バルジャンという人はあんなにかっこいいのか!と思ったのですが、あれはどうやらバルジャンというよりさとしさんがかっこいいってことらしいです。本当にかっこよかったもんなあ。一部の若い頃のしゅっとした感じ、惚れ惚れです。お友達が「バルジャンとしてはちょっと若い」(年齢じゃなくて、役の作り方)と言ってましたが、確かに確かに。ああ、そういえば、以前カリカトークで林さんが、お芝居で40代だか50代だかのおじさんの役で稽古をしているが、年を取った人の役を作るのが大変だという話をしていた気がする。確かに30歳の人は20歳を経験しているから、若い役作りはやりやすいかもしれないけど、40歳50歳は経験してないんだもんなあ。そりゃ難しいよなあ。


あと、私が見に行ったキャストだから、なのかもしれませんが、マリウスがとってもとっても素敵でときめきました。今年からの新しいマリウス役の方(山崎育三郎さん)だったそうなのですが、もうね、すごく王子様なんですよ!(笑)気高いとかそういう意味じゃなくて、品があるんです。いかにもストイックで真面目で、繊細であるが故に現状に憤りを感じて闘争に身を投じて行く、若さゆえの危うさとか真っ直ぐさできらきらしてて、とても素敵でした。ずっと「王子様だー王子様がいるー」と思いながら見てました。マリウスは元はいいところのうちの子らしいので(友人に教えてもらった)なるほどなーと納得。そりゃあ、エポニーヌは報われないのに恋焦がれっぱなしになるし、コゼットも一目ぼれしちゃうよなあーって(笑)


キャラクターとして一番好きなのは、やっぱりエポニーヌでした。一番感情移入できる。一番人間臭いというか。バルジャンもマリウスも見知らぬ他人や大衆のために命をかける人だし、コゼットはいかにも可憐な聖女って感じだし、ジャベールも我が身をかえりみずバルジャンを追いかける人だし、みんな魅力的だけど、ちょっと離れたところから見て素敵だなあ、と思う感じ。でもエポニーヌだけは、振り向いて欲しいのに振り向いてもらえない切なさとか、それでも好きな人の頼みは断れないところとか、彼女の気持ちがすごく身近でリアルに感じ取れるキャラクターなので、一発でお気に入りになりました。あと、エポニーヌのソロ「On My Own」(友人に教えてもらった)がとってもとっても素敵だったのと、死に際のシーンの歌の歌詞が大好きだったのとで、もう釘付け。役者さん(坂本真綾)のパワーもあるのかな。見てて最初に泣いたのが、エポニーヌの最期のシーンでした。


歌といえば、「On My Own」と、バルジャンの「彼を帰して」(これも友人に以下略)がとにかく好きだったなあ。シーンが好きというのもある。愛しい人のことを思って切実な気持ちを歌う歌が好きなのかも。「彼を帰して」の繊細な祈りの歌はすごくいいなあと思った。
あと、メロディラインがめちゃくちゃ好きだったのが、ファンテーヌの死に際とかコゼットのところでよくかかる曲のメロディ。あれ、超好みだった!もう一回ちゃんと聞きたいー。お芝居と歌を楽しむ、という気持ちは持っていってたんですけど、曲を楽しむというところに頭が回らずに見に行ったら、曲がどれも良くてやられたーと思いました。小さいコゼットの歌も素敵だった。


小さいといえば、ガブローシュ役の少年が本当にちゃんと演技をしている!という感じで度肝を抜かれました。段取りとか台詞をそのまま、みたいな印象がほとんどなくて、きちんと理解して、気持ちを入れてこなしてる!って思って衝撃。びっくりでした。おかげでガブローシュもお気に入り。もともと美味しい役ですし。


ジャベールは重厚なキャラクターなのですね。渋くて重みがあってかっこいい。それだけに最期のシーンは鬼気迫るものがあるなあと。葛藤とか混乱とか色々と、難しい役どころなのだなあとしみじみ。セーヌ川に身を投げる、の演出がああくるのか、というのは予想外でしたが(笑)


コゼットは、私が見たコゼット役(辛島小恵さん)の歌がすんごい上手でうわーとなりました。高音がきれい!ハイトーンのクリアボイスが好きなので、いいなーと思いました。そういえばマリウスもとても綺麗なクリアボイスで、おおーと思ってましたが、パンフレット見たらお二人とも声楽出身でいらした。納得。


テナルディエ夫妻が素晴らしくて、もう大興奮。友人もイチオシのお二人だったそうなのですが、あの二人こそ本当に本当に上手い人がやらないと駄目な役だよね、というのは、ミュージカルもバレエも一緒だなあ、と実感しました。ロットバルトやドン・キホーテやジゼルの母親がぼろぼろだったら目も当てられないもの。テクニックだけではどうにもならないものを支える役って本当に大事だなあ、と再認識です。
悪党の凄みを保ちながら、どこか憎めなさもあって、でもおどけながら深い闇も垣間見せてくれたりして、本当に良かったです。


ラスト、バルジャンの最期でそりゃもう泣きました。舞台見て泣いたの久々。最近生で何かを見て泣いてないなあと思った(笑い泣きはたまにあるけど)
しかし、ストーリーも展開も結末も分かってて、それで泣かせてくれるってすごいことだ!感激しました。
カーテンコールでは、さとしさんがえらい勢いではしゃいでいて、おじいさんの格好してるのに可愛いと思ってしまった(笑)


で、こうやって見てみると、レミゼにリピーターが多い理由が分かります。自分で見てみて、あれがよかったこれがよかったと思うと同時に、キャストがいくつもあると、別の人のあれこれもやっぱり見てみたくなるんですよね。キャストによってどのくらい違いが出てくるのか、という興味はもちろんだし、ミュージカルという特性上、演技だけじゃなくて歌の好みやそれらのバランスとかも気にならざるを得ないし、何より、まだ見ぬキャストに私の理想のバルジャンが、エポニーヌが、マリウスが、いるんじゃないのか、と考えたら、なんかいてもたってもいられなくなるような気がするのが、分かるんだー(笑)
もちろん、キャストが何ヶ月かの間にどのくらい化けるだろう、みたいなところも気になるのは当然だし、なるほどなあ、これは見に行っちゃうよなあ、と思いました。私ももう一回くらい、見てみたい。他のマリウスは王子様なのか否かだけでも確かめたい(笑)


余談ですが、2003年時に山本耕史氏がマリウス役で出ていたというのは知ってたんですが、いざこうしてレミゼを見てみると、あれをあの人がやってたのか!と思って見られなかった自分が悔しくてなりませんでした。あんなひたむきで可愛くて一目ぼれしてコゼットにめろめろで、しかもスーツ!みたいな役をやってたんだ・・・見たかったー(笑)
ただ、あの人実はすごく背が高くてマッチョだから、私が見た山崎さんのマリウスよりもだいぶ逞しい感じだったんじゃないのかな、とか、歌声は意外と太くて低めだからさらに印象が違いそうだな、とか、そういえばバルジャンはマリウスを抱えて逃げるシーンがあったけど、あの大きくてがっちりしたマリウスを担ぎ上げなきゃならなかったバルジャン役の皆様はかなり大変だったろうな、とか、色々想像して考えました(笑)


あと、見ている間一度くらいは「ジャンバルジャン、がんばるじゃん、ふんばるじゃん」とか思い出すかと思ったんですけど、それどころじゃなかったです。よかったよかった(笑)そういえばこれを見るまでは、私の中のレミゼのあらすじって読書対決のアレでした。それもどうなの。


とにもかくにも、結論としては、「今年中にもう一回見に行きたい!」です。