箱雑記ブログ

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オカマーズ7

劇団乙女少年団第10回公演『オカマーズ7』を見てきました。
初日も行きまして、当初チケットが売り切れてどうしようかと思っていた最終日も、後から追加されたチケットを確保できまして、見届けてまいりました。

オトメメン好きの私にとって、久々のゴエさん参戦、しかも林さんとメガネコラボ実現(『ガーベラ』時は林さんは参加してなかったんですよね)、さらに阿部さん参戦ときたら、楽しみでしょうがなかったわけです。
その上、前田ししょうの芸人最後のお仕事。色々気持ちは錯綜したものです。

そんな節目のオトメメンは、相変わらず家城さんの作り出すおかしな世界観、とびきり奇天烈な展開、どんどん増えていくオカマたち(笑)
相変わらずふしだらで猥雑な世界の中で、いつものオトメメンとはちょっと違う、前田さんを軸に動いていく直球ドストレートのメインストーリーが重なって、最後は号泣。前田さんの現状と明らかにシンクロしていくラストの怒涛のセリフ攻勢は凄まじいパワーで、出演者全員に演技を超えた感情の発露が見えました。

正直、いつものオトメメンのような感じではなく、直球で泣かせるシーンがあって、見る人が見たらお涙頂戴の感動的な場面。私はあからさまに泣かせる展開はそれほど好みではないのだけれど、この場面では役者の感情は客や舞台ではなく、前田さんに向かっていて、前田さんも演技を超えて(というかもう全編前田さんは演技じゃなくて本物の前田ししょうだった)それを受け止めている、というのが分かるわけです。
だから、「泣かせの演出」というあざとさを感じることはなく、ただただ前田さんと、彼を惜しむ人たちの、その思いに涙した、というところでした。
今回のお話は前田さんありきで、前田さんありきとなると、家城さんもやっぱり直球になっちゃうんだな、という感じ。私にとっては番外編という言葉が頭をよぎりつつも、いつものオトメメンとは別の意味で、今回の公演も心に残る大事な公演になりました。いつもとはまったく違った余韻を未だに引きずってます。

初日の阿部さんを見て、他のオカマたちに比べて明らかにふっきれてないなあ、硬いなあという印象で、照れがあるのかどうなのかは分からないけれど、良くも悪くも阿部さんらしいなーと思ったものですが。
最終日では、見違えるほどふっきれたオカマぶりを目の当たりにして、当初「阿部さんには過剰に期待しない方が・・・」などと自分に予防線をはっていた私にとっては、驚きと一緒に大満足!という気分。
やっぱり生の舞台は演者を成長させるんだなあ、と思って、そんな様子を目の当たりに出来たことが嬉しかったり。
そして、前田さんへの肝心のシーンで、阿部さんのあのセリフは、阿部さんのやれる範囲で最高に阿部ちゃんらしい、いいセリフだったなあとしみじみ思って、家城さんの作家ぶりに惚れ惚れしたものです。無理もさせず、絶妙の力のいれ具合。

竹永さんは普通にドラッグクイーンが様になっててよかった(笑)
素に近い絶叫で前田さんを送り出すシーンも素晴らしい。これまた竹永さんらしくて。「なかろうかー」が頭から離れない。
デッカチャンはどこまでも愛らしく、そういえばプーちゃん絡みの伏線は素晴らしかったなあ。複数回見て分かることだけれど、冒頭で前田さんに「こどもいるの?」と聴くのもプーちゃんだし。泣かすなあ。

熊谷さんのキャラが大好きでした。前回の乙女公演ではそれほど役に入ってる!と思った記憶がなかったけれど、今回はちょっと素晴らしかったなあ。もしかしたらオカマスターさまが今回で一番好きだったかも!
すっごくオカマらしいんですよ。みんながオカマになろうと奮闘している様を気だるげに眺めている様は、オカマになろうとしている人たちとは一線を画した、ベテランのオカマの風情がちゃんとあったのが凄い。
カマスターさまのお店だったら、私も通いたい(笑)

それにしてもゴエさんは素晴らしいなあ。
毅然としたエリート軍人と、セクシーな大人のオカマぶりと、最終形態ベルサイユ風オカマと(笑)最高に楽しかった!ゴエさんだけ見てても十分楽しめちゃうくらい、ゴエさん素敵すぎました(笑)
オカマ演技に隙がない。絶妙のオカマデフォルメ感と、無言で佇む際もしっとりとしなをつける芸の細やかさ。赤ブラが目に眩しかった・・・。あのチラリズムは見事。
終始メリハリがあって、最後のシーンでは声を枯らして「敬礼!」の号令。
またマリーアントワネットぶりが似合うんだ!よくもゴエさんにあんな衣装って思いついたなー家城さんは。いつもそんなこと考えてたりするんだろうか(笑)

オカマ完成度は、ゴエさんと、やっぱりカリカご両人が突出していたように見えましたがどうだろう(笑)
林さんは、ディテールまでもが最高です。家城さんがやっぱり相方さんのことよーく分かってるというのもあると思うんですけど、「メガネにチェーン」とか「ホットパンツ(トランクス?)の上からストッキング」とか、そういう少しずつ増えていくアイテムがひとつひとつ秀逸で、挙句「軍人スタイルオカマ、ベレー帽付き」のおめかしぶりは、他を寄せ付けない完成度。一度見てても爆笑できる文句の付けようのない似合いぶり!そしてゴエさんの赤ブラチラリズム以上に、スカートのスリット具合が絶妙だったことも記述しておきます(笑)(どこを見ているんだ私は)
最後まで頑なに「大嫌いだからね」とつっぱる林さんは、他の役者が絶叫したりして鼓舞して送り出す中、お芝居の流れを崩すことのない一定のテンションを保っていて、この人がいてよかったなあとしみじみ思ったものです。
作・演出である家城さんがクールな立ち振る舞いであることは必須ですけれど、林さんも、ともすれば前田さんの現実につられてヒートアップしそうになる空気を、ちゃんと芝居でクールダウンできる役者ぶりが最高に頼もしい。

前田さんは最終日、ずっと泣き声でセリフを言ってました。何度も深呼吸をして、いち出演者としての役割を真っ当しなくてはいけないという必死さで涙をこらえる様子がとっても男前だった。
そしてお芝居後は、芸人さんらしくしめっぽさを一切見せずに「サンキューエブリバディ!」と言い放って爆笑を取る。
最後までかっこいい芸人さんでした。本当にお疲れ様でした。

ちなみに日曜昼の前田ししょうライブも行ってきました。
久々に山本さんを生で見た。相変わらず瞬発力と決断力と突破力の素晴らしいツッコミ芸人ぶりで惚れ直しました。やっぱりもっと見たいなあ!
この日引退という芸人さん相手に、ボディにパンチでつっこむという荒業も見られました。山本さんらしいなあ(笑)
前田さんが、「初めて年齢関係なく後輩として接してくれた芸人さんだった」と言っていたのを聞いて、サブミッションズがゲストに来た時のチャイマトークを思い出しました。そのときもまったく同じことを前田さん言ってたなあ。その頃からずっと仲良しだったんですね。
カリカや山本さん、「前田チルドレン」という後輩芸人さん、同期のガリットチュウと佐久間さん、VTRで激励の言葉をミニコントを交えて言っていた先輩方、元相方のブータン大統領こと北条さん。そしてVTR中熱い言葉で前田さんを送り出したバッファロー吾郎の木村さん。
このメンバーだけで、前田さんの愛されぶりが分かるってものです。
新しい仕事はアパレル関係だそうで(笑)そこでも前田さん旋風をまきおこしてほしいです。