箱雑記ブログ

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囲碁将棋の発表会

一日5公演に分けて、過去のネタから賞レースネタから好きなネタまでを一日かけて見せてくれる囲碁将棋のライブが、コンセプトの時点で極上なのはもう分かりきっていて、それでも極上だったと声を大にして言いたいくらいの夢のライブだったので、自分の記憶を残したいがために出てきました。
以下感想です。ネタバレは極力控えていますが、気になる方はご注意ください。

(※タイトルは便宜上つけたもので、正確なものではありません。)
12時〜 4年目までのネタと回想
 合コン/ワイン/お札/模様替え/ズルい女/その日から読む本/ポテ価
14時〜 8年目までのネタと回想
 嵐と涙そうそう/バランス症候群/流行語/はたらくくるま/おすそわけ/ATM
16時〜 賞レースでやったネタと回想
 隣の女子大生/J-WALK/エノモトさん/理想の結婚相手/心理テスト/夢/真似/モテない理由
18時〜 作家・今井太郎が作ってくれたネタと新ネタ回想
 暗記/数字/ホラー映画/アンラッキーナンバー/定食屋/さん付け(新ネタ)
20時〜 僕らが好きなネタを時間の限りに見てください
 昨日見た夢の話/宝くじ1等の確率/ロード/モテる仕草/殉職/物件探し/古い人/グルメリポーター

台風が近づく中であいにくの雨模様にも関わらず、さらに最初の公演が12時という早い時間であったにも関わらず、席がほぼほぼ埋まっていると思しき大宮の劇場の熱量に、感激しつつもそりゃそうだよね、となりました。
Twitterジューシーズの松橋さんが、このライブについて「前から思ってた囲碁将棋の漫才ずっと観てたいって願望が5時間ライブで少し叶うよ」と言っていて*1、もう本当にまさにこのとおり、願望だったり夢だったりしたライブが現実になって享受できるなんて、こんなありがたい話はないわけで、そりゃ昼間から夜まで席埋まりますそりゃそうです。

見てて思ったのは、囲碁将棋の漫才は時期も年代も流行も選ばずに見られるということ。ずっと思っていることですが、過去に作られた漫才からいっぺんに30本以上の漫才を見続けても、古いとかの違和感を覚えることがほとんどないのが凄いです。1年目に作ったという合コンの漫才こそ、あの囲碁将棋も1年目のときは1年目らしい題材で漫才を作ってたんだな、と思ったりしましたけど、漫才の内容そのものは時代や流行に左右されない内容でとても面白かったので。ましてやはたらくくるまやポテ価の色あせなさは目を見張るばかりです。3年目で作ったネタも最近のネタも、時代のギャップはそれほど感じないのが見事だなあと。
それでも、THE MANZAIの決勝で披露されたネタあわせサボったの漫才が披露されなかったのは、出てくる固有名詞の方の状況だとか、いいともが終わってしまったとか、そういう部分によるところが大きいという話をしていて、それも興味深く。
時代を選ばず披露される漫才を意識して作られているのかは分かりませんけど、らしさを求めて題材を選んだ時点で、流行とかとは一線を画すものになっていくのかもしれないな、と、これは完全に予想です。
まあ、その分世代を選ぶからどっこいどっこいなのか。囲碁将棋は囲碁将棋の世代を真っ直ぐ撃ちぬく漫才を見せ続けてるな、というのも、少しですが思いました。その漫才も、結局一回り下の友人たちも同じように笑わせるのだから、もう本当に魅力がえげつない。

当然どの時間もひたすら面白い漫才を見て笑うばかりの時間でしたけど、3公演目の「賞レースでやったネタと回想」の1時間が全部ひっくるめてどえらい時間だったのが忘れられないです。
賞レースを勝ち上がるためのネタなので当然のようにその年その年で1、2を争うようなネタなわけで、ましてや囲碁将棋の勝負ネタなのだからそれはもうとんでもないものばかりです。緻密なのに大胆不敵で華のあるネタの数々が、賞レースの時間とテンポで矢継ぎ早に繰り出される時間は、ちょっともう夢のようでした。ひとつひとつが感嘆感動通り越して呆然とする勢いの見事なネタなのに、そんなネタばかりがこれでもかと披露されるあの時間は、ひたすら極上でした。とんでもない時間だったなあと、今思い出してもぼんやりしてしまうくらい。隣の女子大生と理想の結婚相手と夢とモテない理由が一度に見られるライブって!なんだそれ!です。反則だって言いたくなるくらいの筆舌に尽くしがたい素晴らしさでした。
これだけのレベルのどうかしてるくらい面白いネタを、毎年必ず生み出しているのかと、それを実感するだけでもゾッとするような、そういう時間でした。

囲碁将棋好きとしたら4公演目と5公演目は興味津々で楽しみすぎる公演でしたが、これがまた期待以上の楽しさ。
4公演目は囲碁将棋の単独に2回目からずっと付いているという作家の今井太郎さんが作ったネタの時間で、新ネタまであった、すごすぎる。その新ネタがまた面白くて嬉しくなったのですが、個人的にはとても好きなネタであるところのアンラッキーナンバーと定食屋のネタが今井さん作だと知って、すごいな!と。
勿論作家さんのネタを囲碁将棋が囲碁将棋らしさと共に見せてくれてるから面白い部分もあると思うのですが、単純にこのネタ面白い!と思っていたネタが作家さん案のものだと思うと、なんてかっこいいんだろうという気分になります。
トークでの囲碁将棋二人と今井さん双方のお話が聞けたのも、とんでもなく貴重な時間でありがたく。囲碁将棋は今井さんが作ったネタをそのままやりたいし、今井さんは囲碁将棋に変えてやってほしいし、という平行線の話、ものすごくいい話だと思いましたし、MCをやっていた望月さんに「どっちが優しい?」と聞かれて「お父さんとお母さんどっちが好きかと聞かれるのと同じ」と答えていた今井さんがあんまり素敵でときめきました。

5公演目の囲碁将棋が好きなネタを見られる時間は、3公演目とは違う感じで脳が喜びっぱなしでした。
昨日見た夢の話は絶対入ると思ってたし、麻雀が関わるネタが間違いなく入ると思ってたら案の定だし、かと思えばロードが入ってきてそうくるか!と思ったり、最近の新ネタであるところの物件探しや古い人のネタが出てくるに至っては、もうたまらないな!という気分でした。好きなネタ、でつい最近のネタが入ってくるって、ものすごくいいなあ。

5公演を締めくくる、好きなネタの最後がグルメリポーターだったのも、確かこのネタってシチサンか何かでお客さんからボケとか設定を募って作ったネタだったんじゃないかな、と思い、狙ってのことじゃないのかもしれないですけど、粋だなあ、となりました。
お二人の好きなネタって、ボケ一個で押し切る大振りなネタだったり、山ほど時間使っておいてバカなの!ってボケで回収したり、麻雀だったり麻雀だったりするものが入っていて、妙に嬉しくなりました。賞レースにも普段のレギュラーライブにもなかなか出しにくそうなそういうネタが大好きだったりもするので。

1公演目と2公演目の、過去のネタが見られる時間帯も最高でした。この期に及んで知らないネタが見られるなんて。しかも昔のネタ。
個人的には、ポテ価のネタに再会できただけでもこのライブに足を運んだ甲斐がありました。囲碁将棋を追いかけないとダメなんじゃないかな、と思わせてくれたきっかけのネタで、大好きだったので。まだ4年目くらいの囲碁将棋が、平日のブラッツで若い女子のお客さんの多い客席に向かって、このネタを放り込んでややウケで、個人的には最高に面白くて笑っていたけれど、いやそりゃそうだよ!となって、囲碁将棋のことが大好きになったネタです。その大好きが、こんなところまで続いてきたのだから、本当におかしな話です。
ちなみに、2公演目の最後におすそわけ→ATM、という大喜利合戦みたいな暴れん坊なネタがコンボで披露されたのが、最高に気が狂っててこれまた大好きでした。

そういえば、夢のネタのツカミで鮭児を入れてくれてたり、ATMで横浜大洋銀行が変わらずあってくれたりしたのが、個人的にとーっても嬉しいポイントでした。
あと、これは本当に超個人的な話ですが、この日の長丁場のために炊きたてご飯でおにぎりを作って持っていったので、流行語の漫才で「おにぎりこさえたから持ってきなさい」を聞いたときに勝手にいっこのっけて笑いました。感謝しかない。

このライブの全てに、ゆったり感二人とエリヤン橘さんとえんにち望月さんが何かしらの形で参加して関わっていたことが、無性に嬉しかったことも書き留めておきたい気がします。
ネタ後のトークでは囲碁将棋二人の話を聞きつつも9期のノリを忘れない中村さんの平場の面白さったら素敵すぎましたし、相変わらず橘さんの反射速度や立ち回りのスマートな美しさに惚れ惚れしてしまったし、望月さんのわちゃわちゃな愛され具合とコメントの的確さのギャップにずっとニコニコしてしまったし、エンディング出てきて誰にも弄られないまま淡々とオリジナルソング?をギターをかき鳴らして歌う江崎さんのハートの強さが面白すぎました。
こういう場に集う同期の輪にじんわりしたものを感じてしまうのは、見ているこちらの一方的な思い入れにすぎませんが、いいものを見ているなあと心から思ったのも事実です。

帰りの電車の中で、そういえばあのネタやってない、このネタも入ってなかった、と考えることが出来るのも、恐ろしいアベレージを叩きだす囲碁将棋のネタだからこそ、かもしれません。ぱっと考えただけで、医者と患者もそれが大事も北方領土も六大学もミスチルも遠足のおやつもチアも怖い話も銭湯にタオルも、今回のライブの中では披露されてないわけですから。

多分きっとこんな機会は次あるかどうかも分からないし、そもそも本当にこんなライブが実現されたことがまず凄いことだと思うので、やってくれて嬉しかったですし、逃さずに済んでよかったと、本当にそれしかありません。
もしかしたら一番ぐっと来たのは、5公演を全て終わってのエンディングでも、集大成を披露した、みたいな大仰な様子が一切なかったことかもしれません。今まではこんな感じでした、次からもまた色々やりますよ、くらいの、さらっとしていて変な重みのない終わり方だったのがとても好きでした。このライブを、そのくらいの軽やかな心意気でやっている感じが、ニクイなあと。
本当に良い一日でした。全部面白かったです。