箱雑記ブログ

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それでも僕はやってない

新宿にて、映画好きの友達と見てきました。映画館満員。
以下、若干ネタバレがあると思われます。


かなりいや相当面白かったです。内容的には非常に地味でシンプルで、且つ現実的。娯楽映画というよりは、ちょっとしたドキュメント映画に近いような作りでした。結局あの映画の中に出てきた痴漢冤罪に関する裁判で、無罪となったものは一つとしてないんですよね。そのリアリティがちょっと恐ろしくて、じっくりと面白く見られる。
裁判官も所詮は人間、毎日多くの事件の裁判を担当して、毎日嘘吐きと体面しているのだから、騙されまいと必死なんだ、という弁護士の台詞がすごく重みを伴うような映画でした。冤罪で訴えられた人が必ずしも正当な判決を受けることが出来ない、その根源的な理由が映画の中にいくつも散りばめられていて、そのどれもに納得せざるを得ず、それだけに、実際に何もやっていないのにやったとされてしまう人がたくさんいるこの現状のやるせなさは何事だろうかと。
ラストシーンを見て、結局その人が有罪か無罪かを真実判断できるのはその本人だけなのだという、至極根本的なことに今更気付かされました。それにしても、本当に無罪なのにああして有罪判決を受けた人にとっては、裁判に無縁で過ごしている人が抱く裁判官への神聖なイメージは二度と持てないんだろうなあ。裁判官という存在は人の何倍も勉強が出来て何倍も努力と苦労を重ねて裁判官になっておいて、結局は本当に無罪の人間を有罪にするのか、なんてことを思ったりしないのだろうか。
人ひとりの人生がこんなにあっさり狂ってしまうものかと、ちょっと呆然としながら見てしまいました。有罪を認めた人があっさり開放されて、冤罪を訴える人がはるかに重いものを背負っちゃうんだから、本当に恐ろしい。
というわけで、すごく面白かったです。加瀬亮は本当に良いなあ。