箱雑記ブログ

色々まとめています

O 〜produced by ABE TOMONORI〜

前回の『ちゃんこ番』が異次元への入り口のようなとんでもないライブだったので(よくも悪くも)、今回はどうなることかと本気で何も予想がつかずに、ライブ前にすでにぐるぐるとなった状態で望んだ私なのですが。
ライブの最初に、何やらちょっとかっこよさげな映像で、スーツ姿らしい舞台裏のポイズン二人の姿(顔は見えない)がスクリーンに映されて、まだ幕の上がっていないステージには38マイク、という「最初はびしっと漫才かな?」と単純に髣髴とさせるようなところで映像が途切れ、幕が開いたとたんに、前回『ちゃんこ番』でのあの異次元問題作コント(布団を叩いて同じ団地の“千葉さん”の噂話を延々し続ける。『ちゃんこ番』の際は30分程度)と同じセットに同じ格好で布団を叩く二人が出てきて、前回のときと同じ会話をし始めたのを見た瞬間、もう大爆笑でした。
そうくるか!という、もう完全に意表を付かれてしまいまして。今回何をするにしてもまたあんなことやられたらと思うと怖いなーなんてふざけ半分で言っていたところだったから余計に、もう、本当にやられた!と思って、めちゃくちゃ笑いました。信じられない。何考えてるんだろう。ポイズンも、GOサインを出したスタッフさんも!(笑)
そこからは、なんだかいろんなことがどうでもよくなってしまって、もうやりたいことやったらいいよ!みたいな気分になってしまい、ともかく楽しんでまいりました。笑った笑った。
 

以下は全て個人的な感想ですが、私はポイズンの漫才には毎回変な期待をしているので(『カド番』での九九漫才が強烈過ぎたのかもしれない)、割と及第点が高めに設定されているらしく、今回見せてもらった2本の漫才(野球教室は、私はあれを漫才とは認めません(笑)コントだよコント)に関しては、大満足!というラインではなかったような、そうでもないような。
今思い返してみると、2本目の虫嫌いの漫才は、やっぱり面白かったなあと思ったりはするのですが。オチとかね、どうしようもなくて(笑)

コントがとにかく、時間を追うごとに狂っていく様が顕著で笑いました。
ラソンのコントは、この日のコントの中では一番分かりやすかったような気がするのですが、それにしてもまずもって設定が奇天烈だし、展開がね、ある意味単純なのかも知れないのだけれど、根っこがやっぱりおかしいと思う。
ちょっとリズムが悪いように感じられたのは、単純にポイズンが生粋のコント師ではないからかな、と考えますがどうだろう。あのコント、多分普段からコントを生業としている人がやったら、もうちょっとリズムが違うかもしれないなーと。
あのいびつなリズムも、ポイズンの味だとは思いますが(笑)要するにコントっぽいコントを演じるにはそれほどコントをやり慣れてない、というような印象。

それは美容院のコントでも思ったことで、間がなんとなくしっくりこない気がするのはなんだろうなーと見てる間に何度も思うのだけれど、コントスキルの問題と思えばなんとなく納得できるのでした。いや、わざとやってるのかもしれないのでそこらへんは完全に個人的感想でしかないんですけど。
美容院のコントについては、とりあえずあのオブジェ(正式名称を知りたい。床屋さんに必ず置いてあるトリコロールのくるくる回るやつ)の中に、人(吉田さん)が入ろうとし始めた時点で、負けた気分に(笑)どうりであのオブジェがあんな気になるつくりになってたわけだよ。
舞台上では、一人はトリコロールの筒の中に入ってくるくると回り、一人は舞台上のお客さん役の人(スタッフさんだったのかな?)の髪を本当にバリカンで刈っていく、そんな世界。
もうこのあたりになってくると、POISON GIRL BANDの単独は何が起きてもおかしくないというおかしな緊迫感が出てきて、挙句私は阿部さんの髪も切られるんじゃないかと本気で考えました。杞憂でよかった。今の阿部さんの坊主姿は、見る前にちょっと心構えの時間をいただきたい(笑)

ここらへんから、狂いぶりに加速がついていくんですね。
漫才のはずがアフロモンキーズのユニフォームで出てきた吉田さんの野球教室に。
ごめんなさい、これ、笑いっぱなしでした。あんなもんがなんであんなに笑えるのか分からない(笑)昔からスポーツネタ(特にサッカーと野球)に弱い傾向があるにはあるのですが。
野球を教えてるはずの吉田さんが、お手本として素振りをしたはずなのに素振りが終わった瞬間は自分のフォームとスタンス(足のポジション)をじっくり確認したりして、教えられている側のことが完全に頭から抜けている様子がもう可笑しくて。生徒(阿部さん)、ほったらかし。やりたいだけじゃん!という自分勝手ぶり。
完全に放置されている阿部さんの途方にくれた様子。「漫才やるんじゃなかったのかよ・・・」と空ろな阿部さん。
その阿部さんの「俺どうすりゃいいんだよ」に対しての吉田さんの、「選挙出りゃいいじゃん」という投げやりにも程がある返し(笑)選挙ってすっとび過ぎだよ。
そんな中阿部さんが一度だけ食いついた時のセリフが「おれ中畑の方がいいな」。
最終的についていけなくなった阿部さんが吉田さんを残してのろのろとひっこんでしまい、舞台上一人で走塁のレクチャーを続ける吉田さん。
面白すぎたなあ。
千鳥大悟の、大喜利ライブDVDにおける「山本大悟選手」あるいは麒麟・千鳥の二笑流TVの「大悟イズム」に完全に通じるものを感じましたが、果たして同志はいるでしょうか(笑)

この後のニュース速報のコントが、純粋な新作としては一番好きだったかも。
舞台上ではひたすら先生(吉田)と生徒(阿部)が授業をしているだけ。
ただし、随時地震速報及びニュース速報が入り、モニタには速報の内容が写される。
で、それだけが数回続くだけでも異様なのに、内容は「東京湾ゴジラが出た」。
さらに、そのニュースを見たルミネの楽屋にいた(と思しき)後輩芸人の「やばいよ」「逃げないと」と騒ぎ出す声が漏れてくる。「ポイズンさんに知らせないと!」「いいよあんなの」「あいつら居なくなれば上の枠がひとつあくんだぞ!」(誰だこれ言ったの。笑)と騒いで騒いで、とうとうゴジラ新宿上陸!となった瞬間のあのオチ。
しかけだけ見てたらなんてことない、くだらないのひとことなんだけど、たまらなく好きでした。なんてどうでもよくて無茶苦茶な(笑)
思うに、ポイズンのコントは、ちゃんと起承転結をつけたりストーリーをつけたりしない、そもそも構成なんてものが存在しないような原始的な内容を、どうしようもなく意外で破天荒な見せ方にしてぽんと乱暴に目の前においてもらったものの方が、らしいというか、しっくりきます。
要するにコントらしい器だと、ポイズンてもてあますのかも。本当に個人的な感想なのですが、コントの演技とかもしっくりこないし(笑)でもこのコントみたいな構成もへったくれもない原始的なコントだと、違和感もないし、むちゃくちゃさも際立っていいなーと。
素材はいいんだからそれを生かせってことなのかな。色々味付けすると逆にらしさがなくなっていくのだとしたら、なんとも(笑)

最後のコントは、前置きとして、2005年4月に行われた「一夜限りのユニットコント」における吉田作の超問題作ユニットコントをメンバーを若干変えて再現、との表示がモニタに。
これを見た瞬間に、声を上げそうになりました。噂には聞いていたんです、吉田さんがとんでもないコント作って全員が暴れ倒したらしい、というのは。
なんだか凄まじい様相を呈していたらしく、行けばよかった!と心底思いましたが、何しろその日は私、新しい職場初日でどう足掻いても無理だったのでした(おかげさまで日時も悔しさもよく覚えている。笑)
で、そのユニットコントは何かといえば、全員が白Tシャツにブリーフ、網タイツの格好で、ホワイトボードに何かを書き付けて叫びながら全員に指示を送る吉田さんに、全員が体育会系ノリで答え、開始のホイッスル(があったかどうかも覚えていない。凄まじすぎて)と同時に、ステージ上にあった物という物(ホワイトボード、漫画雑誌(少年誌サイズ)、いっと缶、シンバル、ヘルメット、その他諸々)を使って全員が暴れ倒す、というだけの、本当にただ暴れてやりたい放題やっているだけのコント。コント・・・なのかどうかも私には判断つきません。
メンバーには、POISON GIRL BANDの他に、平成ノブシコブシグランジ佐藤・五明、こりゃめでてーな、ゆったり感、でしたか。
とりあえず舞台上がとんでもないことになっているのを遠目から見るだけでも爆笑だったのですが、中でも吉村・徳井のノブシコブシ二人はちょっと狂い方が尋常じゃなかった。徳井さんが雑誌の紙をひたすら口に突っ込み続けて自分を痛めつけているのに対して、吉村さんはいっと缶を手に舞台を走りまくって全員の頭を次々に殴りつけ(またこれが容赦ないんだ)、ジャイアンツマークのヘルメットを手にとって客に向かって「ジャイアンツ!」「ジャイアンツ!」とただ喚き、舞台から客席に乱入し・・・もう、とんでもない(笑)
あと、グランジのどちらか(ごめんなさい固体認識が出来なかった・・・それどころじゃなかった)が、ヘルメットかぶって無表情でシンバルをただただ叩いてる様子もすごかった(笑)
吉田さんはといえば、雑誌をちぎろうとしてちぎれず、袖から飴を持ってきて客席に撒き散らし、舞台の真ん中でTシャツを破こうとして非力故に破けず、最終的に巨大風船(もちろん膨らまし中)を持ってきて客席に向けたりして悲鳴をくらってました。
阿部さんはといえば、ホワイトボードの後ろあたりでうつろにうろうろしたり、グランジ+こりゃめでてーな大江さん(かな?)の騎馬に担がれて、客席通路を行進したりしてました。
いやあ・・・みんな狂ってる。頭おかしかった。すごい時間でした。でもあれを考えて実際に実行に移してさらにリメイクまでして再演した吉田さんが一番おかしいかもしれません。恐るべし。
2時間で最も狂った時間でした。もはや自分が何に笑っているのか全然分からなくなるくらい。これはこれで、異次元に連れて行かれたような気分でした(笑)
これ見ることができただけでもこの日ルミネに居た甲斐がありました。

やっぱりポイズンがコントをやるなら、ニュース速報なりユニットコントなりの、あのわけの分からない頭のおかしさが、基本でありらしさかな、と認識することにしました。いわゆる一般的なコントたる定義をちょっと(ちょっと・・・?)外したものの方が面白いなーと。構造ごと破壊する感じの。
ちゃんとしたことやると、出来ない部分が目立つというか(笑)ちゃんとやってると逆に何か、もぞもぞしますね、見てて。おさまりが悪い感じ。完全に起承転結をぶち壊したものの方が形になるというのは・・・いや、本当に、どうかと思うのだけれど(笑)
そんな彼らのテイストが嫌いじゃない(むしろ好き)なのも、事実です。そりゃもう。

『ちゃんこ番』よりもはるかにお客さんに優しい、歩み寄りの見えたライブだけれど、媚びてる感じではなくて、それがちゃんとある程度彼らのやりたいことをやりつつの結果であるように思えたことが収穫。
前回『ちゃんこ番』を見て、やっぱり「やりたいこと」と「伝えること」とのバランスって本当に難しくて、見ている側としては、彼らがやりたいことを思う存分やって欲しいと思う反面、ちゃんと笑わせても欲しいという葛藤があって、でもそれは、作る側の方が万倍悩んでいるはずの部分なので、そこらへんの折り合いがなんとなくついていたかな(少なくとも前回よりは)というのは、見ている側としても嬉しかったのでした。
何より、コント面白かったので!漫才は・・・もうちょっとだったかな、と思いつつも、なんだかんだと面白かったので。きっと作りこんでいってくれたら変わってくれるであろう余地も見えた気がするので。もうそこは、多少の閉塞感は承知の上で、なんとか突っ切って欲しいな。
いろんな意味で、ほっとしたというか(笑)そんなライブでした。いや、よーく笑いました。まず頭から爆笑しましたから。

というわけで、とりあえずだらだら書いてみたら半分レポ的な中身になってしまった上にずいぶんと長いことになったので畳みました。
たまにはこんな風に語るのもありかな、ということで、自分を甘やかしてみました。
思い出したら追記する(というか覚書にする)ということで。
次回が楽しみだなー。今年もいろんな意味でPOISON GIRL BANDからは目が離せません(笑)