箱雑記ブログ

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ずしゃる

今の形になってから初めての、同じ事務所の後輩コント師*1を招いてのずしゃる、本当に面白かったです。ネタもトークも企画も荒削りながらパワー溢れる面白さで大いに笑いました。
以下感想です。ネタについては若干ネタバレ気味なところもあるのでご注意ください。

ゲスト:シソンヌ/ニューヨーク

(※コントのタイトルの一部は便宜上つけたもので、正確なものではありません。)
・しずるコント:屁
・しずるコント:指輪を捨てる
・しずるでトーク
・ゲストコント
  ニューヨーク:自衛隊の休日
  シソンヌ:プレゼン
・ゲストとトーク
・企画「キャラクター創作大喜利


今年に入ってコント師をゲストに呼んでトークや企画を行っていく形になってから、ゲストが吉本芸人さんのみとなったのは初めてでしたが、そんなことは小さいことでしかないと思えるほどに、4月のずしゃるも抜群に面白かったです。今までの他の事務所の芸人さんだからこその化学反応ではなく、同じ事務所の後輩芸人とで作り上げるライブは、当然のことかもしれませんが今でとなんら遜色なく、隅々まで面白くて笑いっぱなしでした。
コントにまつわる企画が毎回用意されてますが、いつも違う企画を新たに持ってきて、それが毎回面白いということの凄味についてじっくり考えたくなるくらい、今回もがっちがちに面白かったです。勿論企画に参加される芸人さんの力があってこそ面白くなるというのは大前提として、それにしても企画が、コント愛を前提にコント的な要素をしっかり入れ込んだものが毎回出てくること、それがどれもこれもちゃんと面白く笑えるものに仕上がることが本当にすごい。この場でしか見られない(かもしれない)のが勿体無いくらいです。ただ、ずしゃるの企画はどれもエチュード要素が強いものが多いので、本当に力があったり先を読むアンテナが鋭かったりやり切れるメンタルを持ってたりする芸人さんでないとここまでの勝算は無いのかもしれないな、というのも、ちょっと考えたりします。だからこそ、力のあるゲストあっての企画、なのかもしれないなーと。しずるやスタッフさんも、きっとそこは強く考えてるのだろうな、という想像。

1月からのずしゃるの何が凄いのかと問われたとしたら、「2時間の中でゲストの芸人さんを含めた出演者皆さんの魅力を山ほど受け取ることができる」ことを挙げたいです。4回見て4回とも、ゲストさん全員をそれまでよりもずっと好きになっていきます。よく知っている芸人さんでも新鮮な一面が見られたり、詳しくは知らない芸人さんはあんな魅力にこんな魅力まで!となって、最終的に皆さんのことを大好きになってしまいます。1回2回じゃない、4回見て4回そうなのだから、もっと言うと去年までのコント師を呼んでのずしゃるも含めたらもっと多くの回を見て、そのどれもで出ていた皆さんの魅力に気付かされているのだから、並大抵のことじゃないと思いますし、そういう見せ方を作る側が意識しているのだろうな、とも思って嬉しくなります。
今まではよく知っている気心の知れた他の事務所の芸人さんを呼んでいたので、魅力を引き出すにしろ企画を一緒に作り上げるにしろ、ある程度の目処みたいなものが掴みやすかったのではないかな、と思うのですが、今回はシソンヌはともかくニューヨークはしずるもちゃんと絡むのは初、という話もしていて、きっと今までとは少し勝手も違うかな、と勝手ながら想像してまして。それでも結局、ニューヨークというコンビの恐るべき面白さを目の当たりにして大笑いすることが出来たのだから、これは本当にすごいことだな、と。ということは、ゲストとホストの関係性に関わらず、ゲストの魅力を存分に引き出すように強く意識されて、ずしゃるというライブが作られているということなのかな、と想像します。招く側が招いた芸人さんに対して敬意がなくては、こういう理念でライブは作れないんじゃないかなあ。
そりゃあこれだけ面白くなるはずだよ!となりました。そのうち、芸人さんが呼ばれたらファンが問答無用に嬉しくなるライブになってくれたりするんじゃないかと、そんな大それた期待が現実味を持ってできることが嬉しいです。何よりそういうライブを作っているのがしずるというコンビであることが嬉しいです。

しずるは単独を半月後に控えての新ネタ2本、村上さんが「ストイックでしょ?」「自分で言っちゃうんですよねえ」と自画自賛でしたが、でも確かにご本人が言わなかったらきっと誰かが言わずにいられないバイタリティだと思います。だからご自分で言わなくてもいいのにー(笑)
1本目はおならにまつわるたちの悪いヤンキーと普通の人の、それはもう不条理極まりないコント。屁が出るという事だけに端を発するどうしようもない馬鹿馬鹿しさくだらなさなのに、どうしてそれがああも不条理でぶっとんだ流れになっちゃうんだろう!馬鹿馬鹿しさと不条理加減があまりにもアンバランスで、これはそうそう味わうことのできない空気だなあと。村上さん扮する普通の人の戸惑いに感情移入するしかできないコント、色んな意味で唯一無二だと思います。
2本目は打って変わってお話要素の強い長尺コントで、振り幅ぶっ壊れてるな!と。いつものことですが今月はいつにも増してとんでもない振り幅のコント2本で、これこそしずるのライブにおける醍醐味だなあと思います。作り手が違うからこそジャンルやテイストが良い意味で定まらないのが本当に刺激的です。2本目のコントそのものも、導入からしてわくわくする流れで、これはもう絶対に面白くなるやつだと思っていたら、予想を超える展開が用意されていて、ちょっといい話にもなり、でも変に湿っぽくならずにちょっと間抜けながらお洒落なオチに至るという。全編大好きなコントだったのでたまらなかったです。単独前にこんな面白い長尺コントを引っ張り出してくるのだから、今のしずるは底知れないなあ。

ゲスト2組のコントも、尺制限の無い膨大な面白さで最高だった!
ニューヨークは先日の単独ライブで見た自衛隊の休日のコント。これ単独のコントの中でも1、2を争うくらい好きなネタだったので、ルミネで見られてすごく嬉しかったです。ニューヨークのネタに執拗に練りこまれる絶妙な悪意の数々は、どれを取っても本当に酷くて面白いなあ。そもそも自衛官が休日になると、という視点の見事さでもうこのコントは色々と勝ちだよね、と。いろんなものを斜めに見ながらニヤニヤしているようなコントで楽しい楽しい。「自分服好きやなあ」というひとことにねじ込まれる膨大な悪意の情報量たるや(笑)全編通して嶋佐さんの表情が本当に楽しい。そして屋敷さんのフレーズが持つ暴力的なパワーったらないです最高です。
シソンヌはプレゼンのコント!Pi-phoneの方のやつです、見るの単独以来!ずしゃるは尺関係ないよ、ルミネはモニターもあるよ、プレゼンのコント出来るよーと脳内で念じていたので、コント始まった瞬間嬉しさでどうにかなりそうでした。全編大いなる下ネタコントですけど、それをあの舞台演出とあのプレゼンクオリティとあのコント芝居力でもって完全に行き過ぎた完成度と共に最後まで一切緩まず駆け抜けてのけるシソンヌは素晴らしいどころの話じゃないです、もう圧巻でしかない。多分、同じことを考える人は他にいても、本当にジョブス的に英語を駆使してあのディテールを仕上げる執念はシソンヌだけのもの、天才通り越して変態としか思えない(笑)ホンモノに近い完成度だからこそあのどうしようもなさが際立つんですけど、それを本当に実現しちゃうところが感動的、そして芸術的な変態!恐ろしい質と量の英語を駆使してひどい下ネタを繰り出すじろうさんも、その横で絶品の呆れ顔を見せてくれる忍さんも、なんせ極上であります。

しずる二人のトークは沖縄国際映画祭やテレビ収録の話など。沖縄国際映画祭でモデルの方とランウェイを歩くお仕事があると知った際の、池田さんの「え、女と歩くの?」というはすに構えた中学生並みの発言について嬉々として説明する村上さんの嬉しそうな顔ったらなかったです。 池田さんがどうしても考えがネガティブ、モデルの方は俺なんかと歩きたくないだろうなと思ってしまうから、その上に立ちたいがための発言だとのこと。池田さんの面倒くささに対しての、村上さんの「生きづらそうだなー。俺みたいにもっとあっけらかんと生きた方がいいんじゃない?」という言い分もさすがだし、それに対して「それは嫌だよ」と言い切る池田さんもさすがです。
池田さんのまゆげが太いという話から、村上さんが池田さんの顔を「平」という字になぞらえるのが楽しかったり。
それから、池田さんがポジティブノートをやめた代わりに、ネガティブな状況をしずる二人でコントでもって乗りきる台本を作っている、という話がたまらなかったです。ネガティブないじられ方をしたときに、それを逆手にとったミニコントを披露して笑いに変えるというもののようで、その一部をちらりとやって見せてくれたのですが、すごく具体的に想像できるやりとりだったのが楽しくて。何より、池田さんのそこのネガティブを乗りきるのにしずるとして村上さんを巻き込もうというその着地点が、もう何しろたまらないじゃないですか。
爆報フライデーの収録での話がとっても興味深く。放送にはなかなかのらないようですが、爆笑問題のお二人に保っつぁんキャラを逐一振ってもらったりして、実際池田さんもそれに答えたりしているそうで、本当にありがたいと。爆笑問題のお二人に対する感謝の言葉がたくさん出てきてほっこり。見えない場所のお仕事の中でも日々やることやってるんだな、という話が、特に気負った感じでもなく出てくる今のしずるの雰囲気はとってもいいなーと思います。

ゲストを交えてのトークは、忍さんを中心にしたファッションにまつわるエピソードとか。特に忍さんがこの日履いていた13万円の靴にまつわるしずると忍さんの話が珠玉。 忍さんが以前購入した限定モノの帽子があり、その帽子にはバックルがついていてカッコ良いものだったそうですが、楽屋でのノリの中で村上さんがその帽子を床にたたきつける→バックルが割れてしまう、という事件があったそう。それで、責任を感じた村上さんが、忍さんがその時一番ほしいもの=13万円の靴を、半額出資してあげた、ということだそうで。忍さんいわく、絶対にくっつかないであろう壊れたバックルを「これ直るかも」と往生際の悪かった村上さんと、壊れたバックルの代わりにその場にあった差し入れのスコーンを帽子にあしらおうとする池田さんが双方酷かったと(笑)
ニューヨークのパーソナルデータを私はまったく知らなかったので、NSCで出会ったコンビであるとか、そういう基本情報も聞けてありがたかったです。 さらに、この日のニューヨークのコントが、服が好きな人が出てくるネタで、実は忍さんに相談して出てくるアイテムの価格とかを決めたりしたネタだと。知らなかったのでそうなんだ!となりました。こういう話が出てくるからゲストのトーク面白い!組み合わせの妙も味方して、意外な話がたくさん聞けたのが嬉しかったなあ。

そして企画「キャラクター創作大喜利」の面白さ!あらかじめ回答の書かれたフリップを選び、その回答に合ったキャラクターを自分で作り上げて、エチュード的に大喜利企画を演じていく、という、大喜利に乗っかったコント企画でした。回答にあわせてキャラを作り回答し、しばらくしたら今度はそのキャラクターに沿って自分で答えを考えて回答する、というもの。ちょっと想像しただけでも難しそうだなあと思ったのですが、いざやってみたら参加した5人(村上さんはMC)が全員見事な面白さで!もう素晴らしかったです。
忍さんはオネエキャラ→ラー小柴(ルー大柴さん的なキャラ)という2種類で。トークの場と同じくフレーズがキレキレでずっと面白かったなあ。なぜかオネエ的なフレーズが「背負い投げー」「羽交い絞めー」と格闘技に寄ってるのが妙に楽しく。 たまにヒム子@ゴッドタンが混線してましたけど(笑)
じろうさんは一貫してひとつのキャラ。ずっと他動で飛び跳ねながらフリップを書いたり、意味不明なことを言いながら何故かはしゃいでいるという、どこからどう見ても「やばい変な大人」だったのですが、後でご本人は「バカな子供」のつもりだったと知って一同が驚愕するという(笑)忍さんが「お前子供下手すぎるよ!」と言っていたのが忘れられない。どちらにしろキャラの作りこみ方がさすがでしかなく、話していないところでもずっと他動で跳ねっぱなし、しかもそれを全編で貫き通す芯の強さもあり。じろうさんのコント師としての魅力は留まるところを知らないなあ。
屋敷さんは一番キャラを渡り歩いた方で、 86歳のおじいさん→ルイ13世(瞬時に断念)→超真面目な人、というラインナップ。苦戦しているようにも見えたけど、結果を求めてガンガンにキャラに挑戦していくバイタリティに見ているだけでわくわくするし、空気が異様に前向きで面白かったなあ。
嶋佐さんもじろうさんと同じくバカなヤンキーキャラを一貫して作り上げていたんですが、このヤンキーぶりがもうずっと面白くて全員の注目の的で(笑)最終的に相方の屋敷さんが「ただの変な相方やもん」と言ってらしたのが全てだなあと。「バカだからわかんねえ!」等の回答を作り出してバカなヤンキーらしいバカなポーズを繰り出し、もう笑って笑って大変でした。最初危なっかしいように見えたのに、結局最後までキャラを突き通して、何か言うたびに笑いが起きるところまで持っていくパワーとメンタルに脱帽です。
池田さんは似非外国人→ゾンビ、という流れ。外国人はだいぶ苦戦されていましたが十分面白く、ゾンビ(フリップも血で染まった演出がされていたりする)に至ってはとんでもない完成度のキャラクターが最初から出てきて、池田さんこういうの得意すぎるよ!と大笑いしました。今さっきそこで作ったにしては、ゾンビのゾンビたるゾンビぶりが板に付きまくっていて、こういうときの池田さんは本当に恐ろしいな!と。
企画、今月も本当に抜群の仕上がりでした。ずっと面白かった!

以下はトークと企画について覚えているところだけの箇条書き。

・忍さんは、村上さんによると「シソンヌという劇団に客演で呼ばれている」ということらしい。じろうさんこそがシソンヌそのものであると(笑)
・この日のニューヨークのネタは忍さんに意見を求めて作られているという話を聞いて、池田さんが「お前の私服はニューヨークのボケってことだよ」(笑)
・シソンヌのネタ直後に客席に向かって深々と頭を下げる村上さん。先輩として後輩に代わって下すぎるネタについてお詫びを。村上「シソンヌはしずるの客をなんだと思ってるんだ!」(笑)
・ゲスト2組のネタを振り返る一同。
村上「久しぶりにヨシモトの芸人呼んだけど、吉本の芸人下品だね」
忍「片や悪口片や下ネタですからねー」
・ニューヨークは東京NSC15期生。同期にはデニスやマテンロウ横澤夏子ちゃんに西村ヒロチョがいる、豊作の期だと。ヒロチョさんが今本当に人気がある、という話が。
嶋佐「ヒロチョの出待ち、マイケル・ジャクソンみたいですよ」
村上「マイケル・ジャクソンの出待ち見たことないだろ」
屋敷「マイケル・ジャクソンが無限大ホールでライブやったらあのくらいです」
なにこのやりとり(笑)
・忍さんが、池田さんのことを嘘つき呼ばわりする中で、「出が盗賊だからしょうがない」と言い出すのが最高でした。盗賊!
・出待ちの話。忍さんは本当に出待ちがいないと。
忍「好きな芸人だれ?って聞かれてシソンヌって言うと『こいつやべえ』ってなるらしくて」(笑)
・最後、しずる10周年としてしずるのロゴを作りました、と。そのロゴを見て、SとZはあるけどLが見当たらないことについて、
村上「Lはみなさんの心の中にあるLOVEで」
忍「……うるせえーーーーーー」(笑)


そんなところです。本当に面白かった!毎月面白かった面白かったと言い続けてると嘘っぽくなってしまってる気がしますが、本当に面白いのです。
少し前までは、しずるが頭になってこんな風にコンセプトがかっちりと仕上がっていて且つ充実したライブが見られるなんて、あまり考えられなかったと思うのです。是非見たいという気持ちはありましたが、そこまで望むのは難しいかな、と恥ずかしながら考えていたところがあります。でも実際今こうして見られてるんだなーと思うと、本当にうれしいやら感激するやら。
ここまでのしずるの積み重ねが、コントという要素に力を借りて、ずっとこんなのが見られたらいいなと思っていたものを現実として見せてくれているということが、つくづく凄いことだと思うし僥倖であるなあと思います。
5月は単独ライブがあるためずしゃるはお休みとのこと。単独ライブが楽しみでしょうがないです。

*1:ニューヨークをコント師と括ってしまうのは少し乱暴な気もしますが。