箱雑記ブログ

色々まとめています

POISON吉田が5人と漫才

3回目となったPOISON吉田が5人と漫才、ルミネで19時開演、吉本以外の事務所の先輩も参加でルミネの客席がしっかり埋まるという状況でした。これがもう本当に本当に面白かったので!我慢できずに書き残します。
以下はそれぞれの漫才のネタについて盛大にネタバレしています。今後お披露目されるタイミングもあまり無いとは思うのですが、念のためお気をつけください。




素晴らしく面白いライブでした。あれだけルミネが埋まる中で、あれだけ豪華なゲストを迎えて、あれだけの面白いライブを、吉田さんメインで見せてくれたということが、とにかく嬉しくて面白くてたまらなかったです。
当然ながら参加された漫才のお相手の皆様はもう当たり前に面白くて、吉田さんが作ってきた漫才も面白くて、どちらが欠けても成り立たない面白さで満ちていたなあと思います。しかもその面白さが、このライブでしか見られない組み合わせとこのライブのためのネタという、その場限りの刹那的な魅力まで携えて、見ている私を撃ち抜いてくれました。なんて贅沢で眩しいライブだろうなーと、見ながら何度も思いました。
とにかくひとつひとつの漫才が、その人達がやっているからこその面白さで溢れていることが素晴らしいな!と。その人達を呼んで吉田さんが漫才をするからこそ面白いという、このライブでしか見られない価値が爆発していて、見ている側に見に来た甲斐と見られた優越感(あまり良い言葉ではないと思うのですが、あえて。)を味あわせてくれるのだから、こんなに嬉しいことはありません。舞台に立って吉田さんと漫才をするそれぞれの人達にそれぞれの絶対的な価値を見出せるライブなのだな、と。
そうして困ったことに、このライブは過去2回もそうでしたが、面白ければ面白いほど、本来のコンビの漫才を見たくなってしまうという。その人の持つ魅力に気付いちゃうってことなのかなーと思うのですが、罪な話です。
ポイズンの漫才が大好きな私が、吉田さんと漫才をしてくれた他の皆様に魅了されてしまったように、皆様を見に来ていたお客さんが、吉田の作る物=POISON GIRL BANDの漫才に何かしら興味をひかれてくれたりしたら、最高なのにな!と思ったりもします。そういう素敵な想像を何となく思い描けるくらい、このライブは隅々まで面白かったなーと思います。
そういえば、今回は各漫才の前に、それぞれの相方についての印象やネタの見所などを吉田さんが語るVTRがあったりして、それもとっても興味深くて嬉しかったです。ルミネでのライブだとこういうことが出来たりもするんだなあ、と。
以下、漫才ごとに感想を書いています。


エリートヤンキー橘と漫才
吉田さん曰く、「トップバッターは後輩のツッコミで勢いをつけてくれる人にしている」とのこと。過去房野さんだったり江崎さんだったりしたこのポジションが、今回はエリートヤンキー橘さんでしたが、面白かったなー!ちょっと硬いかな?と感じていた客席が、漫才が進むごとにほぐれていく感じが本当に素敵でした。
漫才に入る前のマクラの部分*1でいつものエリヤンの漫才のようにボケに走る橘さんが可笑しい。冒頭に吉田さんがそれぞれのコンビとやるときは自分がボケなのかツッコミなのかを説明していて、橘さんとはボケをやる、と言っていたにも関わらず、橘さんがボケるからつっこまざるを得ない吉田さんに笑ったりしまして。
橘さんとの漫才は、今年やり残したこと、という若干トリッキーな入りから、サーフィンのやり方を教える、というもの。サーファー→反町→反町橘→どっちかっていうと竹之内?→サーファー亭たかしゆたか、という転がりすぎのボケがド頭で入ってくるのがすごい(笑)
サーフィンを教えるのにどうしても釣りをする、漁師になる吉田のしつこいボケにのっかりつつきっちりすぱっとツッコミを入れていく橘さんはとっても安心して見ていられるなーと。しつこい吉田さんのボケを邪魔せずでも存在感はあるツッコミ、という、橘さんらしさがたくさん堪能できたなーと。散々しつこいボケを放り込んで最後はサーファー亭に戻ってくるというオシャレなオチにおおーとなりました。
あと途中に落語のくだりが入っていて盛り上がっていたのがとても楽しく!橘さんは落語も聴かれるらしいし、うまいこと言うのも上手だし、もしかしてそういうのも意識して作られてるのかなーと思うと、仲がいいのがこういう形で生きたりするのも素敵だな、と思ったりしました。
事前のVTRで、吉田さんが橘さんの印象について「器用」「楽しそうに漫才をする人」と言っていて、エリヤンの漫才の楽しさがちゃんと伝わるべきところに伝わってる!と思って物凄く嬉しかったのを覚えてます。
ネタ終わりで、吉田さんが「やりやすい!」と。「ちょいちょい衝突してた感じがあった、いい意味でね!」それを吉田さんが素で「グルーヴ感」と表現してしまい、ダサい、となる一同(笑)


LLR福田と漫才
二人とも東京出身なんです、から始まって、東京のおすすめスポットを紹介していく漫才。としまえんを紹介し始めたら人が居ないだの30分で全部の乗り物乗れるだのと軽くバカにして、歌舞伎町の見所はホストのストリートファイトにホステスのキャットファイトだのと言い出すという、福田さんの基本何もかもを鼻で笑うぶりが生き生きとしていて魅力を大いに堪能できて面白かった。吉田さんの「何人敵にまわすつもりなの」というツッコミフレーズがたまらない面白さでぞっくぞくしました。
かと思えば「歌舞伎町の名物はスクーターくらい大きさのネズミ」と言い出し、以後の大きいネズミに纏わるボケの数々がどんどんぶっ飛んでいくのが凄い。途中からおすすめスポットが関係なくなるようなでっかいネズミシフトに、去年の3回目のポイズン60分漫才がちょっとだけ頭をかすめました。一つのフレーズからネタそのものが急カーブにつっこむ漫才、面白いなあ!巨大なネズミが終電終わったら中野までなら送ってくれる、という発想がたまらない面白さ。中野でネズミが並んで止まっている、というのを想像してグロテスクなのにどこか面白くて笑っちゃうような。
福田さんの福田さんならではの軽妙な悪意を転がしまくるような漫才で、吉田さんは福田さんの魅力をよく分かってるんだなーと思えました。この二人を並べて東京ってキーワードが出てくるあたりも、いいなあ、と。
ネタ終わりのトークで、福田さんが「練習中に吉田さんにスピード落とせって言われたんですけど、もう吉田さんを待てない!」と出だして、MC坂本さんに「前回ウーマンの村本さんも同じこと言ってましたよ」と(笑)吉田さんは福田さんについて「やりやすい」「悪い意味でなく、楽!」と。
事前のVTRで、吉田さんが福田さんの印象について「おしゃべり、すごいおしゃべり、芸人さんに言うことじゃないけどおしゃべり」ととにかくおしゃべりであることを押していたのが面白すぎました。あと二人とも声が高いからやかましい感じにならないように、とか(笑)そういえば漫才の冒頭でそれを受けた福田さんが「周波数落としていかないと」みたいなこと言ってておかしかったなー。あと漫才の最初の方に、東京出身=シティボーイズ、からの、「シティボーイズのセンターはきたろうさん」という一連の流れが最高に好きでした(笑)


東京ダイナマイト松田と漫才
事前のVTRで、吉田さんが漫才の見所として「ダサイ言い方をすると、『新感覚ハイセンス漫才』」と言っていて、冒頭でも「松田さんとの漫才は謎漫才」とも言っていて、どんなものが出てくるのかとわくわくしていたのです。あんまりVTRで「お客さんが振り落とされないように」みたいなことを言うから、期待してしまって、でもあんまり期待しすぎても勿体無いかな、なんて予防線みたいなものも感じてしまうくらいだったのですが、漫才が始まってみたらばもう、これが本当にとんでもなくルール無用の力技の面白さだったので、度肝を抜かれました。
自分達はボケとツッコミのハーフ=ボッコミである、として、ライバルはローラやトリンドルだと言い張るまではまだ良かったんですが、松田さんからの提案で「ボケとブッコミ」という形で漫才をやるぞ、となって、そこからはもう圧巻です。吉田のボケに対して、唖然とするほど脈絡のないフレーズを文字通りぶっこんでくる。その脈絡のなさに、あの松田さんが立ってるだけでにじみ出てくる人間の面白さみたいなものが完璧に寄り添ってしまって、信じられないくらい面白い。一発目、吉田さんの「一億」なる数字ボケに対して「俺は脱原発派だけどな」とさらりとぶっこんできた瞬間のお客さんのどっとなる笑いは凄かった!「ボケをいじってもくれないの!?」となる吉田さんに対して、「お前もやりかえせばいい」と言い出し、そこからはブッコミの応酬となるのですが、これが本当にすごくて、捨てフレーズが見当たらない怒涛のブッコミぶり。吉田さんのブッコミ「オス プレイの免許なら持ってます」に対する松田さんの「お前も持ってるの?」のかぶせには仰け反るほど笑いました。オス プレイ、オートマ限定免許(笑)そんな、普通であれば脈絡なさすぎて説得力なんてありえないフレーズを、松田さんがあの佇まいで堂々と放り込んでくるので、何故か異様な説得力が出てしまって、信じられない面白さでした。あのぶっとばしたフレーズで、あれだけ笑えるのは、松田さんの人としての存在の面白さが持つパワーとしか。
終始そんなやり取りを、中盤は吉田さんが止めてしまうも、最後の方は完全に止めずに怒涛のやり取りが見られて、本当にずっと笑ってました。吉田さんが何度も「気狂いの漫才だよ」「笑ってるお客さんも気狂いだよ」と言ってました。確かにその通りだーと思ってましたけど、考えてみたらそもそもこのネタ作ったのこの人じゃないか!(笑)
ネタ終わりのトークでは、松田さんにネタを提出したときに、絶対に怒る人じゃないけど、何これ?とか言われるかな、と吉田さんは思ったそうですが、実際の松田さんは「オッケーオッケー」とあっさり言ってきたと。MC坂本さんに「何でもいいんですか?」と問われた松田さんが、「何でもいける」と真顔で答えたのがかっこよすぎました。
ネタは覚えづらい(なんせ脈絡がなさすぎる)らしく、二人とも飛ばしてしまったとか。先に飛ばしたのが吉田さんだとも言ってました。飛ばした部分はてきとーなことを言っとけ、みたいなことになってたらしいので、私達が見た漫才のフレーズは、吉田さんの脚本にあったものもあれば、お二人がご自身でリアルタイムでぶっこんできたものもあったようで。でもそんなの分からなかったなあ、とにかく漫才そのものがどうかしてたので。本当に本当に面白かったです。あと松田さんが、吉田さんの方を漫才中見られなかったという唐突な告白も楽しかったな。「俺、大吾の顔好きなのよ」(笑)
ちなみに事前のVTRで、吉田さんが松田さんの印象について「何でもできる人」「Mr.パーフェクト」と言ってたのがとても印象的。


アンタッチャブル柴田と漫才
出てくるなり、完全にエンジン5速くらいまで仕上がってる柴田さんの熱が、圧が、もう冒頭から物凄かったです。「いいかげんにしろって言わないからね」と宣言して、「客前に出られる喜び!」「一年休んでんだ!」と吼える吼える。もう見てて漫才始まってないのにわくわくしかなかったくらいの柴田さんの立ち回り。センターマイクよりも前に出て、「マイクなんていらない」「これくらいのキャパだったら俺の喉はイージー」と宣言する、そして喉の二文字を噛む(笑)1回目で麒麟川島さんを見たときに、積んでるエンジン違いすぎる!と思ったんですが、柴田さんの場合はエンジンがどうのじゃなくて、もう出てきた瞬間から暴走しているんです。目まぐるしい熱気がすごくて面白くて、最初から見てて大変でした、興奮しすぎた!
ネタは、以前ある大会で一緒でしたね、から始まる、○-1グランプリボケ。大会そのものをボケていって、その内容をきれいにスカしながらボケていく吉田さんと、それに対して1を10に、10を100にする勢いでツッコミを重ねまくる柴田さん。柴田さんの留まるところを知らないツッコミにへらへら笑ってしまう吉田さんと、それを見咎めて「えへへって笑ってんじゃねえよ」「『柴田ツッコミ長えな』みたいな」と逃さない柴田さん。吉田に対して「いいかげんにしろこの背高ノッポが」とたまらないツッコミを入れる柴田さん。もう全部面白い全部。
そして最後、本来であれば終わるはずのタイミングで、本当に終わらせない柴田さん、○-1グランプリのボケを、アドリブで吉田に強要する流れを強引に作ってのけたのを見て、怖ろしい人だ!と思いながらも大笑いしました。そこをきっちり「S-1グランプリ」で跳ね除ける吉田さんも凄かったけど、対して「それ吉本さんの大会じゃねえか!」「Sが柴田のSだったらいいとこいくよ!」と痺れるような完成度のツッコミで打ち返す柴田さんもとんでもなかった。柴田さんはやっぱり凄い人だと思い知らされました、全然鈍ってないし全然やれるし全然楽しそうだし漫才大好きだし!
ネタ後のトークでは、吉田さんはもう感嘆。柴田さんは感想を聞かれて、「めっちゃ楽しかった」「こんなに扱いやすい人珍しい」とご満悦で、見てるこちらも嬉しくなってしまいました。
柴田さんにオファーをした理由は、制作さんが柴田さんはどうですか、と聞いてきて、「そんなのめちゃくちゃやりたいよ!でも受けてくれないでしょ」となった吉田さんが、ためしにオファーを出してみたらOKが出た、とのこと。柴田さんは「即オッケーだよ。なんだったら話くる前からオッケーのフリ出しといたよ」と(笑)
ネタは、実質2回くらい合わせただけだと。柴田さんは「あんまり詰め込みたくなかった」とのこと。柴田「隣のまんまるいおもちゃなくしちゃったから、吉田くんで遊びたかったの」吉田「相方をおもちゃにしないでください」(笑)
吉田さんが言った、「すごい怖いヤンキーの2こ上の先輩に文化祭で漫才やるぞって言われた感じ」があまりにも端的に柴田さんとの漫才を表してて、この人すごいなーと思ったりもしました。本当に、そんな感じで柴田さんに翻弄されつつボケていく吉田さんと、ごりごりに吉田さんにつっこんでいく楽しそうな柴田さん、という漫才。本当にいいもの見たーとなりました。
同時に2004年のM-1を見返したくなっちゃいました。トークでは、もしかしたらそれこそ2004年以来にちゃんとお仕事したかも、という話もしていて、それがこうして二人で漫才をする機会を得るのだから、素敵だなあ、と。


博多華丸大吉華丸と漫才
大先輩との漫才は、人生の先輩に聞きたいこと、という流れからの、いわゆる「娘さんを僕にください」を練習するというもの。松田さんの漫才のときも感じたことですが、華丸さんも本当に華丸さんという人の人間から出てくる存在力というか芸人力が面白すぎて、きっと同じことを別の人がやってもこんな味わい深い面白さは出てこないんだろうな、と思うような、そんな漫才だったことが本当に印象的でした。華丸さんのあの人間の面白さって、ベテランの落語家さんが持ってる愛くるしいフラのようなものにとても近い気がしました。出てきてちょっと表情を作って飄々とボケていく様そのものが、愛される面白さという、訓練とかでは出せないような人間の味というか、華丸さんという人の魅力としての面白さを、噛み締めるような漫才でした。噛み締めながら、勿論おおいに笑わせられてしまうので、ほっこりしてるのに忙しいんです。
娘さんを僕にください!とお願いする相手が、川平さんだったり、博多のおっさんだったりする。吉田さんは普通のおじさんで練習したいのに、どうしてもその二人のどちらかが出てきてしまう、という面白さ。華丸さんがずっと生き生きときらきらとしていて、そして止まらない(笑)吉田さんが止めても止まらないお父さんの面白さたるや!吉田さんの、「いったん落ち着いてください。そしてひとつひとつ拾わせてください」というもはやツッコミというより説得に近いフレーズが、華丸さんの楽しすぎる暴走ぶりを表している気がします。もう本当にずっとずっと面白かったです。そりゃそうだ、人が面白いんだから何を見てたって面白いよなー、と納得するしかないくらい、面白かったです。
ネタ後のトークで、吉田さんの第一声「すごい!すごいです本当に」が鮮やかだったなあ。華丸さんは、普段も大吉先生が作ったネタを大吉先生に従ってそのまま演じているので、曰く「従い慣れしている」そうで(笑)華丸さんは今日は思う存分やらせてもらったと。「大吉先生には『腹八分目でいいよ』とよく言われます」と言っていたのが楽しすぎる。「でも腹いっぱいくらい食わせたいでしょ!」と宣言する華丸さんが素敵すぎました。
事前のVTRでは、吉田は華丸さんについて「何でもできる人」と。オファーを出して受けてくれたときに、「何でもやりますよ」と言ってくれた、と話してました。それが嬉しかったしプレッシャーにもなったと。


エンディングで告知をする流れがあったのですが、吉田さんがポイズンの60分漫才を告知した際に、柴田さんが「60分だけなの?もう60分いこうか?」と腕をぐるぐる回しながら言い出したのがすごかった。橘さんもエリヤンの60分漫才を告知したときにも同じように「もう60分?」と言い出して、もう柴田さんのエンジンが全然緩まないのが見ていて壮観なくらいでした。


このライブでしか見られない類のものだったので、がっつりネタバレで書いてしまいました。本当に面白くて、ひとつひとつの漫才を反芻していってもずっとニヤニヤしてしまうし、フレーズの面白さには終始打ち抜かれたし、芸人さんの持つ人としての面白さみたいなものがいかにパワフルで偉大か、みたいなことも思い知ることが出来たし、こういう場面でも萎縮なんてせずに鮮やかに自分達の持ち味を出してのけた橘さんや福田さんにも頼もしさを感じられて、本当に素敵なライブだった、と思いました。
何より、それぞれ色の違う漫才をそれぞれに作ってきて披露して挑戦もしてのけた吉田さんの、言い方が難しいですが「漫才で遊ぶ」「漫才の可能性を探る」ような、そんな奥行きの見える面白さに、改めて頭の中をぎゅっと搾り取られるような衝撃と感激を覚えました。次回も心から楽しみです。

*1:MCアホマイルド坂本さん曰く「お通し」