箱雑記ブログ

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トップリード単独ライブ『二日坊主』

昨年は行くことがかなわなかったトップリードの単独に行ってきまして、これがもう本当に本当にたまらない単独でして、色んな意味で辛抱ならない状態になったのでとりあえず感想を書こうということに決めました。
以下、ネタバレ前提の感想となっておりまして、来年2月にDVD発売の予定があるとのことですし、今後コントのひとつひとつはライブ等でおろされていくのではないかと思われますので、ネタバレは困るという方はお気をつけください。個人的には、ぜひともネタバレなしでDVDを見ていただきたいなと思いますし、恐らく以下の感想も見た方にしか伝わらない(下手すると見た方にも伝わらない)中身になっているので、そのあたりをご了承いただけると嬉しいです。
前置き長すぎて自分でもどうかと思いますが、一応。そして例によって長いです。




※最初と最後のコントやVのタイトルは便宜上つけたもので、メモも取っていないので正確なものではありません。きっとそのうち新妻さんのサイトに公表されると信じてる。

オープニングコント
[VTR]オープニングVTR
役立たず
[VTR]スケジュール
タバコ
[VTR]ファッション誌取材
ラヴジャンクション
[VTR]ダイエット番組@お台場
ため息
[VTR]アニメ雑誌取材
おっぱい
[VTR]広島営業

[VTR]ワンワンワン収録
犬が嫌い
[VTR]エンディングVTR
エンディングコント


トップリードのコントは以前からごく普通にずっと好きでしたが、今年に入ってここ最近急激に「これは追いかけて見なきゃ駄目なんじゃないか」となったタイミングでの単独ライブだったので、私の思い入れに多少過剰なところもあるとは思うのですが、それにしても、本当にこの単独は素晴らしかったのです。大好きでした。最初から最後まで、大好きなものしか詰まっていなかったことが嬉しくてならないです。


コントそれぞれが持つ魅力もさることながら、今回の単独における全体の大枠テーマがそもそも好きすぎたのがいけない。現役の芸人さんが、芸人というかコンビの終わりとはじまりを描くということそのものが、ずるいなーと思うと同時に重いし熱いな、と。そこをテーマとして切り取るからには、そこに作り手もしくは演じ手の何かしらの哲学みたいなものが多かれ少なかれあるのだろうなと思ってしまうのは穿ちすぎなのかもしれませんが、それはそれとしてあの出発点と着地点は見ていて凄く刺さりました。
もちろんテーマだけじゃなくて、それを構成するためのライブの仕掛け自体もたまらない!という。全体の、芸人とマネージャーの単独ライブリハーサル、という形式を取った上で、最後の最後のエンディングコントに仕掛けとか、ネタばらしとか、色んな種類の情動をばーっと全部詰め込んで詰め込んで、見ているこっちの感情をこれでもかと揺さぶって、最後の最後にキュートでオシャレな仕掛けを見せてくれて、ラストでそれを軽やかに笑い飛ばして終わる、という。本当に馬鹿だなあと思うのですが、ラストの和賀さんの「ダサいな」の台詞と同時に暗転した瞬間に盛大に泣けてしまったのは我ながらどうかと思いました。ちょっと頭の中の思いのたけが飽和を通り越して溢れました。
トップリードの、とってもいい話、感動する物語をどこか照れを含みつつもすっきりとした笑いですとんと落としてくれるところ、大好きなのです。泣き笑いで終わらせてくれるのが本当に素敵だと思います。感動をするっと笑いに変えて終わる、そこにこの人たちのコントに対する了見と意地を両方見る、というのもやはり穿ちすぎな見方ですが。


大枠の話でいくと、新妻さん演じるマネージャーが、マネージャーとしてとことん出来ない駄目マネージャーだったのが面白かったです。スケジュールの組み方酷いわプロフィール捏造してタレント困らせるわ遅刻するわ二度寝するわ、それはもう最初から最後まで、マネージャーとして優れたところが何一つなかった!(笑)それが最終的にコント作れてモノマネできて演じ手としても抜群だった、みたいなそのドラマ性が本当に嫌いじゃなかった…仕掛けの一部ゆえにそうならざるを得なかったというのを差し引いても、なんだその振り幅!という。
そんなマネージャーにコンビ組んでください!と言われた、実は解散されてた傷心の芸人側が、そんな話を受け入れるのって普通に考えたらありえないけれど、それを「斬新だな」というたったひと言で説得力持たせるというのがまた好きで好きで。和賀さん中心、という話が最後の公演のエンドトークでも出てましたが、大枠を支える和賀さんの存在はどこまでも頼もしくて象徴的で、見ててかっこいいったらなかったです。


トップリードのコントを見るたびに感じるのが、笑わせるという以外の要素の多さ、情報量の多さが凄いということで、見ていて本当に面白いと感じる以外の感情の種類がやたらと多くて、自分の内側の色んな部分が一斉に揺さぶられることばかりです。だから頭の中も胸の内も忙しくてしょうがない。それが単独ライブという形をとって、大枠はもちろんそれぞれのコントという枠においてさえ、あらゆる方向から問答無用にどどーんと揺さぶり攻撃を受けてしまってそれはもう降参するしかないのです。笑いながら泣いて、怒ったりハラハラしたりわくわくしたり、ちょっとした台詞で胸がぎゅっとなったり、驚いたり、感激したり、2時間弱の中でそんなものが隙間なく際限なく流れ込んでくるなんて、こんな経験はそうそうできるものじゃないと思います。単独を見ている間に私の表情がどれだけころころ変わったことか。
そうして最終的に、どうしようもなくあたたかく幸せな気分でいっぱいになって、それさえも軽やかに笑い飛ばしてもらって、終わった後もこうして極上の余韻に浸って、ああよかったなあ、すごくよかったね、本当に面白かったね、と繰り返して呟いてしまう、そういう単独でした。トップリードのそうした性善説的な人の良さに溢れてるコントが好きなのです。それこそ作り手としての哲学みたいなものなのかもですが。
終わってしまって寂しくてしょうがないですし、なんていいものを見たんだろうという思いでいっぱいです。


コントはどれもこれも大好きだったんですが、特に見ててわー!となったのは、『ため息』と『嘘』でしょうか。『犬が嫌い』はそりゃ好きだよ当たり前だよ、という気持ちもあるのでおいといて(笑)
『ため息』はもう、私が好きで好きでしょうがないトップリードの魅力がこれでもかと詰め込まれていて嫌になるくらい。まずもってため息をつくと幸せが逃げる、をああいう形で立体化する発想に唸った上で、その中での幸せの場面選択もさすがだなーと思うし、それの繰り返しなだけじゃなくてこの先どうなるの?という疑問を上回ってくれる展開が用意されているのに痺れるし、最後の最後、ちょっといい話をちょっとふざけた形で落とす、そのネタの収束の仕方まで、もうパーフェクト!って思いました。トップリードのコントには正しく起承転結があって、その起承転結がそれぞれ抜群に上質なのが凄い。ある意味お行儀が良いということなのかもですけど、お行儀のよさがかすむくらいにちゃんと笑いの要素ががつがつがつっと入ってくるところがたまらないです。そういう意味で、私はトップリード的ベタにとことん弱いのかもしれません。
『嘘』も大好き。癖で嘘がばれるという肝の仕掛けを最初に分かりやすく提示しておいて、それ使って後半の展開を捻っていくのとか大好きです。何か私この記事で大好きしか書いてないな。暑苦しくてすみません。でも他に表現のしようがない。妻の行動がどんどん訳の分からない様相になってきた際の夫の「楽しくなってきた」のあたりにくー!ってなるくらい痺れます。ああいうのを差し込んでくるのがずるい、だって絶対面白いじゃないかそんなの。かと思えばさらっと「愛していない」で嘘の癖が出る、みたいなのを、殊更に強調することなくさらっと入れ込んできて流してしまう技とかもさー!もうさー!好きに決まってるじゃないか!
トップリードのコントはすごくしっかりと仕掛けが施されているのに、それに頼り切らないところが本当にいいなあと思います。展開もあるけどそればっかりじゃない、物語として面白いけどそればっかりじゃない、何かしらの技に頼り切らない、あのバランスのよさって何だろう、ちょっとすごい気がする。このコントもオチが酷くて大好きです。多分この人たちはいい話をいい話としてまっさらにいい話な状態で提供することも出来るはずだと思うのだけど、それを絶対にしないというか、それだけに偏ることをよしとしないところがあるのかな、と思えて、そこに感じるプライドみたいなのがまー好きです。物語があるけれど、あくまでコントであろうとするプライドみたいなものが。あくまで勝手に感じてるだけですが。
全然関係ないですけど、新妻さんの女の人役の扮装において一番ツボに入るのは、タイツでもスパッツでもなくトレンカを着用している点です。そこのリアリティを忘れないってどういう心持ちなんだろうと毎度不思議。コント上の扮装でワンピースを重ね着してくる人って多分珍しい。と思う。


いい話だとか何とかを語っておいてなんですけど、そのくせちゃんと『ラヴジャンクション』みたいなのを持ってこられるのがにくいよなーと。だいたい地味めのお二人があの格好してあの喋り方でああいう形で出てきたらそれだけで面白いに決まってる!力技の使い方とその効果まで知ってるんだからずるい。このコントは端々がずるい面白さに溢れてて、もう手を叩いて笑ってしまったけれどこれはもうしょうがない。ショートコントのたびにネタの何が面白かったのかを説明するというところだけで馬鹿馬鹿しく面白い、その際に必ず和賀さんが「言うたげて」ってぼそって言うのもくだらなく面白い。あと、すごくミクロなポイントですけど、ネタの途中で無駄に水を被る新妻さん、も楽しいんですけど、その後でものすごくたっぷり間を使って和賀さんが水を飲んでるシーンがあって、それ見てて本当に笑えてしょうがなかったんですけど、未だにあの笑いの種類と笑える理由が分からない(笑)でも2回見て2回ともすごく笑ってしまったので、何だったんだろうあれは、と不思議でなりません。
『役立たず』の本当にくだらない繰り返しも好きなんですけど、薬田達也さんが社員を捕まえて何かを物申すたびに「はじめまして」を入れ込んでいく律儀さとかも楽しい。あと終盤の「え」と「ええ」と「えー!」だけで会話が成立して意味が通じる様とかも楽しくて、内容はつくづく酷いんだけど楽しいんですよねえ(笑)
『タバコ』はオチよりもそこまでの流れにおける日常風景の異様なリアリティとその中での笑いの数々が素敵だなあと。このコントに限りませんが、トップリードは徹底して地に足のついた初期設定でもって、身近な世界と言葉を扱っていくんだよなーと。入り口の日常風景が綿密で、その先に用意されているちょっとした非日常が鮮やかで、そのくせ説得力があるのが大好きです。もう大好きですの大盤振る舞いにも程がありますね。でも他に言いようが無い。
『おっぱい』は最初に見えてると思ってた仕掛けで最後裏切ってくれるのが本当に楽しい!で、それは置いといた上で、あの舞いと歌はなんなんだ(笑)二公演見てどちらも舞いも歌も違ったので、和賀さん発のあれこれなのかなと思っておきますがそれにしてもなんなんだあれは。素晴らしいな。なんでもありだな。


『犬が嫌い』は、少し前に書いたとおりあんなの好きに決まってるんです。お話の筋がこうなんだろうなーと思って見てても、それでも面白いし笑えるしほろっとします。理由は色々あるんでしょうけどやっぱり大前提の話ですけど上手いよなーお芝居が、お二人とも。このコントは新妻さん犬ですし台詞ほぼナシですけど、それはそれとして本当に上手い。だからお話として耐える仕上がりになるんだろうな、と。にしたって新妻さんは犬もトカゲも上手いとかどうかしてるな!
あと、和賀さんが本当に犬がお嫌いなんだろうな、と思うフレーズの数々が抜群に面白くて最高でした。「犬は噛む」「チワワは絶対に噛む」「全部噛むまでのフリだ」は、犬が嫌いじゃなきゃ絶対出てこないフレーズだと思います。しかもそれが凄く説得力がある。犬嫌いあるあるとして多分物凄く秀逸なフレーズなんだと思いますがどうかなあ。
あとこれは個人的な話ですが、新妻さんが犬に扮して出てきたのが分かった瞬間に「この人正気か!」と思ったのを覚えています。犬耳つけて気ぐるみ着ちゃうんだからもう怖いもの無いだろうなあの人。


VTRは全部が全部珠玉の出来だと思いました。大枠の流れにそった芸人とマネージャーのあれこれで、1本目のスケジュールがフリになってて、以降のVTRはそれぞれのスケジュールに対応したもので、しかもVTRで使われたフレーズが次のコントのタイトルになってて、面白い上に無駄が無さ過ぎて感心するしかないです。
ファッションを語る和賀さんもアニメを通しておっぱいを語る和賀さんもお椀を語る和賀さんも、全部面白かった…あの面白さって何だろうなー。和賀さんの存在力って舐めてかかったら大変なことになるんだろうなーという気分になりました。
VTRで一番好きだったのは多分広島営業のやつで、新妻マネージャーの駄目っぷりも和賀さんの怒りっぷりも、いちいち面白くて最高でした。バレバレの嘘をつきつづけてへこたれないマネージャーの駄目っぷりが酷いを通り越して愛おしくなりそうになって危うかった。


そんなところでしょうか。単独の大枠の感想、もっと色々感じたことがある気がして、もっと色々と書き足したい気分もあるのですが、うまく言語化できる気がしないのでとりあえずここらで一度終わらせます。思い出したことがあったら追記していく形で。ちょっと気持ちが先走りすぎて、うまく言えてないことが多すぎてもどかしいです。でも書きすぎると無粋になりがちな私なのでこの辺で留めておくのもいいかな、と。
普段からもっと自分が感じているトップリードのコントの魅力を書きなぐっておけばよかったなあと。そうしたらそれらを前提としてもっと色々感じた衝動を言葉に出来たかもしれないな、と思うと、やっぱりブログさぼっちゃだめだ!と思いました。


ひとつだけ、最後の公演のエンドトークにおける和賀さんの魂の叫び、「人一人が覚える台詞の量じゃねえぞ!」だけはメモしておこう。そもそもが和賀さんがメインになっているし、新妻さんは『犬が嫌い』に至っては台詞が無いし、という話をしてました。
DVDになって改めて見返すのが本当に楽しみです。そしてこれからのトップリードを見ていくことも楽しみでしょうがないのです。