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エリートヤンキー単独ライブ『俺達が死んだらサンパチの下に埋めてくれ…』

エリートヤンキーの単独や60分漫才には出来る限り足を運びたいと思っていて、ただ前回の60分漫才だか独演会だかは自分の怒涛のスケジュールが酷くて見に行くことが出来てなかったので、じっくり彼らの漫才を見るのは久々だったのですが、面白かったなあ!1時間がっつりネタを見て、終わった瞬間にもっと見たいのに終わっちゃったーと思ってやきもきしました(笑)以下若干ネタバレのある感想。今後どこかで漫才を披露することもあると思いますので、ネタバレが駄目だという方はお気をつけください。



・オープニングVTR
・漫才:ターザン/かっこつけてみたい/ヨイショされたい
[ブリッジ]水牛に制限時間内に何回「なんなんだよ」と言わせられるか
・漫才:狼男のホラー映画に出たい/アニメみたいな日常/野生動物を助ける映画に出たい
[ブリッジ]お互いの感謝の気持ちを伝えよう
・コント:旅館
・漫才:3分ドラマ


なんて映画に出たがりすぎる単独(笑)途中で西島さんあたりが「映画に出たすぎですよ」みたいなことを言ってた気がする。


エリートヤンキーの漫才は、漫才のネタやボケひとつひとつのパンチよりも、1本のネタ全体が放っている正しくポップでポジティブでパワフルな、ストレートな楽しさこそが私にとって何よりの魅力だったりします。見てて無性に楽しい!ってなって、もうずっと明るい気分になって、見終わったときにあー面白かった!となれる人達です。
だから、あくまで個人的な好みなんですけど、彼らの漫才はかっちりと余白もボケで隙間無く詰め込んでいくよりは、自由度の幅を持たせて漫才の中でのやり取りを見せてくれるほうが、見てて嬉しくなっちゃうし、いいもの見た!って思えるなあ、ということで、今回の単独はそういう意味でもすごく面白かったです。自由度高すぎやりたい放題すぎ、とも思いましたけれど(笑)、単独なんだからいいじゃない、と甘いことも言ってみる。きっちり見せてくれる漫才も好きなんですけど、それこそトータルテンボスの漫才みたいな、見ててただただ楽しくて気持ちいい、って感じも漫才の魅力なんだろうなあと思うわけです。


どの漫才も好きでしたけど、どの漫才も同じ感じではないのが面白い。最初に見たエリヤンの単独では、漫才がどれも似たような感じで、面白いのだけれど単調だなあと思ったのが嘘みたいな、バラエティに富みまくった中身でした。まあやりたい放題というのが原因なのかもしれないですが(笑)彼らのやりたい放題は、よっぽど行き過ぎなければ本人達が何より楽しそうなので見ていてこっちも楽しくなります。つくづく気分を上方向に引っ張ってくれる漫才だなあ。落ち込んでるときとかに見たらいいかもしれない(笑)


最初の漫才、ターザンの部分はエリヤンのフォーマットらしい中身で安心して見られました。鷲らしき生き物に頭を鷲づかみされてさらわれる橘さんで何度でも笑えます。
その後の、橘さんがかっこつけたことをする漫才は、これはもう、漫才云々というより、エリートヤンキーというコンビそのものありきのネタで、普通のネタライブにひょいと持っていけるネタではないことは確かなのですが、個人的には大好きでした。終始橘さんの奮闘具合が全部楽しいという仕上がりなのですが、地味にじわじわくるのは西島さんの容赦ないハードル設定だったりします。挙句、かっこつけたことを中断して舞台後ろで二人で不穏な密談をした挙句、橘さんの「かっこつけたこと断念及び謝罪宣言」で終わるという、世にも斬新な終わり方(笑)「またこの先私がかっこつけることがあれば応援していただきたい」みたいな、見事な選挙を敗退した候補者ぶりで、最高でした。あれを最後までブレずにやりきれる橘さんの頭がおかしい。
ヨイショされたいネタは、これも安心して見られるつくり。普通のネタライブに持っていけそうなネタの中では特に好きでした。西島さんのヨイショぶりがとにかく酷い。


ホラー映画の狼男も好きでした。これも気持ちよく安心して笑えるネタ。その次のアニメみたいな日常のネタは、これはもう、西島さんの悪ふざけに満ちていて、好き勝手やってるのが非常に面白かった(笑)西島さんの気持ち悪いところが存分に出ていて、見てて嬉しくなる。
野生動物を拾う映画のネタも、大いなるやりたい放題で埋め尽くされてました(笑)特に橘さんの野生動物描写が面白すぎる。妙にリアルでどこかグロテスクなんですよね。なんのリアリティなんだろ。西島さんの言うことなすこと全部に全力で乗っかる様を見ていると、なんかもう、乗っからずにいられないみたいなそういう病気の人なんじゃないかと思えてくる(笑)それをいいことに野生動物をはるかに超える要求を次々に求める西島さんもどうかしてた(笑)漫才云々というより各々の芸人としてのポテンシャルを眺めるような気分。


最後の漫才の3分ドラマは、それまでのエリヤンの漫才とは明らかに違ったフォーマットで出てきたもので、なんとなくM-1とかそっち向けっぽいなあという内容。ボケとツッコミの役割が存在していなくて、ただひたすらに西島さんの繰り広げるコントに淡々と乗っかり続ける橘さんで構成されていて、エリートヤンキーの漫才のパブリックイメージとはだいぶ違った印象でした。すごくきっちり作りこまれていて面白かったです。それぞれのフレーズにいちいち笑っちゃう感じも楽しい。でもこれは、それまでやりたい放題できゃっきゃと楽しんでいる二人がいたからこそきっちり具合が映えたのかなーとも思う。あとは単純に、西島さんが噛みまくりだったので、頑張れ!と(笑)


唯一のコントは、おそらく橘さん作だったのでは。相変わらず最後にブラックなオチが待っているのはきっと見ていた人達がみんな等しく期待していたに違いない(笑)前回の学生のコントに比べて、今回はとにかく橘さんのキャラクターが鬱陶しくてだいぶ苛々させられました(笑)


VTR、というか、今回の単独前からはじめる企画が今回は秀逸でした。お互いの感謝の気持ちを伝えるために、それぞれが1ヶ月かけて相手のために何か物を作って持ってくる、というもので、橘さんの陶芸については以前やっていたと話を聞いたこともあるので納得なんですが、西島さんの編み物には衝撃を受けました。昭和の乙女の発想です。しかもそれなりの形のものを作って持ってくるんだから恐ろしい。ちゃんとパーツによって編み方変えたりして、どんだけだ。単純作業を継続することがあまり苦にならないタイプの人なのかもしれませんが、それにしても執念めいたものを感じるのは気のせいかなあ(笑)だいたい、普通のカップルにしたって手編みグッズは貰ったら重いと思うわけですが。なんかもう見ててちょっと怖くなりました私は(笑)
橘さんが作ったアイテムはサラダ皿で、ぱっと見る限りしっかり塗りもされてて見栄えもすごくいいものでした。当日に受け取ってきたんだそう。すごいな。
それぞれのメッセージは、うろ覚えですが、橘さんは「皿だけに、コンビ結成当時のまっさらな気持ちで」というもので、うまいこと言ってストレートな本音をちょっと回避する感じが非常に橘さんらしいな、なんて。
西島さんは、手編みのニット帽(ただし時間切れのため防災頭巾のような形に)だったので、「これをつけて年末の敗者復活戦にいられたらいい」というようなこと。こっちはこっちでまた粋だったりするからいいなあとニヤニヤです。


あとは、小ネタとしては下記のとおり。
・ネタの中で「クソみたいな客ばっかりか!」と吐き捨てた橘さんに対して、「福田イズムやめてください」とたしなめる西島さん。
西島「クソみたいな客ってちょくちょく言う、それが福田イズム」「だけど普段は優しい、それが福田イズム」
・映画に出たい、のくだりから、「関町もドラマに出ることだしね」という話が。
橘さんが、「どうするよ前田 敦子がブサイク好きだったら!」と言うと、西島さんがゼスチャーで、関町さんに馬乗りになって延々ぶん殴る様子を表現(笑)
橘「殺しちゃ駄目だよ」
西島「AKBファンの思いを背負って僕は殺します」
・西島さんの編み物を受け取っていろいろ見ている橘さんに、ところどころつなげているところ?があるから、と言う西島さん。
西島「余計なことしないでね」
橘「余計なことって言い方違うだろ」「そこは『気をつけてね』とかだろ!」
確かに(笑)


そんなところです。1時間の単独がこんなに短く思えることもなかなか無いなあと思いました。やっぱり彼らのライブは出来る限り見ておきたいです。