箱雑記ブログ

色々まとめています

落語色々。

久しぶりの更新がこんな感じですみません。4月から見られるんだったら見とけ精神で落語を見に行くようになったど素人の備忘録です。どうして見に行くとなると1週間単位で固まるんだろう。
ここを見てくださっている方の中にはずっと落語を見てます!みたいな人が私が想像するより結構いるんじゃないかと思ってるんですが、そういう方にとってはちゃんちゃらおかしいであろう感想がたくさん並んでると思います。読んでしまった際には私にもこんな時期あったわーくらいの感じで見下ろしていただければ。ついでに色々教えてください。今の私はとりあえず何見ても面白い時期です。




三越薫風寄席
たまたま見つけたら、たまたまナイツもいるし、いいじゃん!ということで、母を誘って見に行ってきました。三越劇場は初めてですが、見るからに格調高くてどきどきでした。プログラムに演題がびしっと書かれていたりして、いかにもです。昇太さんとナイツ以外はもちろん初めてみる方々ばかりでしたが、楽しかったです!
木久蔵さん、噂によくきく木久扇師匠の息子さんですけど、背がすっと高くていかにもいまどきのお兄さんで、でも話し始めると間違いなく木久扇師匠の血が感じられるおとぼけ具合で(笑)みんながにこにこ見守りつつ見てしまう感じが楽しかったなあ。
小ゑん師匠の『鉄の男』は鉄道男のリアリティとちょっと大袈裟なフィクションのさじ加減が絶妙で、鉄道のことをよく知らない私でも大笑いできました。自分が知らない単語をさも当たり前みたいに語る様だけでも楽しい。まくらで秋葉原は昔は今みたいなのじゃなかったんだーという話をされていたので、多分子ゑん師匠ご自身も何か深く熱中するものがある方なのだろうなあと。それくらいに鉄っちゃんの生態に説得力がありまくり。話の力もすごいのに、話口調にもぐいぐい引っ張られて、大笑いしました。すごかった!
中入り前の昇太さんは、袴姿でさっさか出てきてさっさかお辞儀して。上海万博から話題の芸能ニュースから、それはそれは好き勝手に話していた(笑)「若くて綺麗な女性と結婚した男が『キモイ』なんて言われてるとか聞くと、胸がすーっとします」とにっこり笑うんだからたまらない。結婚する気にならないのは先輩方の夫婦話を聞いてるからだと責任転嫁してみたり、ゴルフの貴公子が何からなにまで完璧すぎて非の打ち所がないからせめて将来結婚する相手くらいあちゃーというのだったらいい、そうしたら「胸がすーっと」(笑)そんな色々から始まって、『花筏』をやってくれました。落語を知ってから日が浅すぎて、古典だろうとなんだろうとほとんどが初めて聞く噺なんですが、これもめちゃくちゃ楽しかったです。登場人物当人にしてみたら切羽詰っちゃう状況だけど、聞いているこっちにしたらとってもほのぼのした笑い話を、昇太さんがことさらにわちゃわちゃしたり脱力したりで見せてくれるのが本当に楽しい。
ナイツは自己紹介したり野球ネタしたりと珍しくお行儀のよいラインナップ(笑)野球のクイズのネタは、そろそろ伝統芸能の粋に達しつつあるのではないかなあ。見てる全員が分かってても笑っちゃうあの感じ。
トリの円丈師匠は、いろんな本とか読んで、早く生で見たいなーと思っていた方の一人でしたので、嬉しかったなあ。新作で落語界を泳ぎきってきた方だと聞いていて、どんな感じなのかなあと思っていたのですが、佇まいといい、尖っているというか覇気を感じる方でかっこよかったです。ていうか今でも第一線で活躍されているベテランの落語家さんでかっこよくない人を探す方が難しい。必ず面構えというか、表情のひとつひとつというか、凄みを感じさせる男前でいらっしゃる。そのくせ円丈師匠はどこかとぼけた印象もあったりで、本当に素敵。
演目は小ゑん師匠作の「ぐつぐつ」という噺。プログラムに書いてあるので本当にありがたい。私はもう、おでん喋った!の時点で撃沈です。落語ってなんて自由なんだろう。この自由さが本当にいいなあ。何でもありなんだもんなあ。ぐつぐつ!って聞くたびににやにやしてしまってしょうがなかったです。おでんに感情移入してじわじわ笑うことなんて、多分この先もそうそうないだろうなあ。ところで後輩が作った新作を先輩が演じるというのはよくあることなんでしょうか。序列が厳しい世界というイメージがあるから、とても意外だったので。


新宿末廣亭5月上席
10日の、真打披露公演でしたか、それの最終日を、仕事終わりに立ち寄って見て来ました。夜公演の途中からでした。新真打のお披露目というのにも興味がありましたし、何より昇太さん見たさというのも正直なところ。
その昇太さんの高座で、ネタが付くという事件が(笑)昇太さんが恐らく『短命』をやり始めたんだと思うんですが(ど素人ゆえに自信がない)、しばらくすると前座さんが根多帳を開いて出てきて、それを昇太さんに見せて、同時に客席から「歌丸師匠がやってたよ」という声がかかり、人ってこんなに固まるんだってくらいにぴきーんと固まった昇太さんに、お客さんがどーんと笑うという、凄い場に居合わせました(笑)
立ち去る前座さんに「もっと早く教えてよ」と恨み言を言ったり、「この世界に入って28年(て言ったかな?)になりますけど、初めてです」と告白したり、汗かいて手ぬぐいで拭きまくったりしてたら、次の小遊三師匠が顔を出して何ごとか言って笑ったりで、平日で週始めだったからかそれほどお客さんは多くなかったんですが、もうすごい盛り上がりに(笑)
すでにまくらで意気揚々と調子よくたくさん喋っていたので、残り時間も少ない状態で、一度袖に戻って再び出直してきたところであと6分くらいしかない、となってからが凄かった。短いネタも持ってるんです!と言い出した昇太さんは、「古典なんてみんながやるネタをやろうとするからこんなことになる」「私には新作があるんです!誰もやらない噺が!」と宣言して、怒涛の勢いで「力士の春」フルスロットル。本当に面白かった!
後から出てきた小遊三師匠が「あんなことがあっても私らは家に帰れば大変だったわねと慰めてくれるかみさんがいますが、あいつは家帰ってやけ酒飲むしかできませんからね」と勝ち誇るところまでひっくるめて、抜群に面白かったです(笑)
しかしネタが付くというのはそんなにあることじゃないと思うんですがどうなんだろう。真打披露公演なのに縁起悪いとかにはならないのかしらと余計なことを考えたりしました。ペナルティとかあるのかなー。謎です。


真打襲名の口上というのは、先月のいつか、円楽師匠襲名をたまたま時間があるときに池袋に見に行ったことがあるんですけど、襲名披露の口上、なんて聞くと堅苦しい印象ですけど、実際は和やか〜に笑いを交えて進んでいくものなのですね。池袋で見たときにはぐだぐだもいいところで逆に面白かった記憶が。
新真打さんの襲名の口上もやっぱり和やかで楽しかったです。この日いらした新真打さんは春風亭傳枝さんと昔昔亭慎太郎さんで、それぞれのお師匠である鯉昇師匠と桃太郎師匠のお言葉がとても楽しくて、ついでに司会だった昇太さんもいじられて、めでたかろうがなんだろうが全部笑いにかえたれというのはどんな芸人さんでも一緒だなーというのがとても素敵だと思いました。
それにしても見るたびに桃太郎師匠の佇まいが気になってしょうがない。


志らくのピン〜古典落語編〜
たまたま行ける日で、たまたまお友達が協力してくれてチケットが入手できたので行ってきました。内幸町ホール、初めて行ったんですがとても見やすくて綺麗でいいところでした。
まくらの時点で、志らくさんが「25周年公演などであわただしくて、本来こうしてホームグラウンドに帰ってきたらほっとするはずが、この会はお客さんがどんどんマニアックになっていてとても厳しいので気が休まらない」と言うのを聞いて、これはもしやど素人の私は完全に浮いているのでは!と一気に緊張しました。気軽に志らくさんの古典だーなんてきゃっきゃしながら来てすみませんと恐縮。
ど素人な私にとっては、古典だろうと初めて聞く話のほうがダントツに多いので、ストーリーそのものにわくわくできます。今だけの楽しみ方かもしれないなあ。だから『道灌』も初めてちゃんと聞きました。『堀の内』は他の方のCDで聴いたのですが、それが他でもない談笑さんのものだったので、全然毛色が違った(笑)ていうかそもそも志らくさんの味付けがだいぶ強烈で、それだけでも面白く見ました。ネタの終わらせ方がとってもオシャレで、きっちりオチを言うんじゃなくて、笑いながら終わっていくんですけど(笑)それがとても好きで。余一会で見た『疝気の虫』もそういう終わり方。で、志らくさん曰く、「あれはアメリカンニューシネマを参考にした」ということで、なるほど!と。私、あれがとても好きです。とても洒落てて素敵。
3本目の『鼠穴』もすごかったなあ。私はこの演目の内容を知らなかったので、この先どうなっちゃうんだろうというハラハラ感をリアルに感じつつ、同時に兄の方のいくつも裏がありそうな得体の知れなさにびくびくして見てました。今思うと、あの兄についてこういう風に思わされた時点で私は手のひらの上なのだなあ。ストーリーが進むごとに、暗澹たる気分で見てました。悲惨さが痛々しいし、娘の覚悟がけなげすぎてつらいし、娘を売った金をすられた時の竹次郎の様があまりにも絶望的で、あの息苦しいくらいの八方塞っぷりに、見ててもしんどくてしんどくて、だから夢オチだったと分かったときには本気で客席でよかったーと胸をなでおろしました。私が単純な客だというのを差し引いても、こんな風に話に引き込んでしまうんだから、これはやっぱり志らくさんの力量がすごいとしか。
見終わった後もちょっと余韻を味わいたい気分になった会でした。またタイミングが合って、チケットが取れれば、見に行きたいなーと。


立川談春 アナザーワールド?
お友達と落語に行くのは初めてでした。成城ホールは駅から近くてありがたい。そして綺麗で見やすいホールでした。そういえば落語を見に行くようになると普段行かない土地や会場に足を運ぶことになるので、それも何気に楽しかったりします。
五貫裁き』と『宿屋の富』でした。どちらも知らない噺でしたがどちらもすごく面白かったです。終わってつくづくいいもの見たねえと話が盛り上がった。
『宿屋の富』のどこまでも馬鹿馬鹿しく笑える感じもとても楽しかったですが、どちらかと言うと『五貫裁き』の事態がころころ転がる面白さとか、お役所を巻き込んでるのに妙にのほほんとしてる感じとかが終始楽しくて、その上での大家さんの啖呵のところで空気がびしっと引き締まる様子とのギャップにおおっとなる緩急とかが、ひっくるめて本当にわくわくと楽しく見ました。
あとはとにかく、『宿屋の富』のマクラで語られた、博打の話が最高に面白かったです。競艇ですごい経験をした話だったのですが、とにかく信じられないような話なのに異様な迫力とリアリティがあるのが面白い。全てのオッズが表示されているはずの電光掲示板に4-6しか見えなくなる、トイレで顔を洗っていると耳元で「1着は4、2着は6」と老婆の声でささやかれる、というところも凄いけれど、もっと凄いのは本当に大金が取れるかもしれないという状況に至ったばくち打ちの方のメンタルの部分だった気がします。どう考えても、それを経験した人にしか出てこないような思考回路の連続で、本当に本当に面白くて夢中になりました(笑)
きっとこの先もいろんなところでお話になると思うので(こういうところも若手芸人さんのトークと変わらないなーと新鮮な気分に)今後聞けた人にどうだった?と聴いてみたい気分。
あとは立川流のお友達以下何人もVIPルームにつれていったときの大騒ぎの話も、おっもしろかったなー。要するに志らくさんご一行がやりたい放題だったという話がしたかっただけ、ということにしてもいいですかね(笑)
余談ですが、私達の席の近くでの会話の中にカリカとライスの名前が出てきたのをうっかり耳にして、にわかに興奮しておりました。やっぱり居るんだね!と思ってまったく知らない方相手に無駄に親近感と尊敬の念を抱いたりしてましたので、もしもお心当たりの方がいらっしゃいましたらぜひご一報を(笑)


池袋演芸場 5月中席
休日に昼席を見てきました。とりあえず生で柳家喬太郎を見たいという一心です。一心だったのだけれど、行ってみたらやっぱり面白い落語をたっくさん聴けたので、いいときに来たなあと嬉しくなってしまいました。
この日も相変わらず知らないネタばかりなので全編楽しく。古典落語って本当にとんでもない噺がいっぱいありますね。犬が人間になったり、目玉を犬の目玉と入れ替えたりする。若手芸人がコントでやったらシュールだブラックだともてはやされそうなストーリーが当たり前に転がっているのが凄い。古典だといわれなければ分からないような奇抜な設定の噺が盛りだくさんで、文字通り何でもアリなんですね。とんでもないなーとしみじみ思います。
喬太郎さんのは調べてみたら『たいこ腹』という噺。この噺のために喬太郎さんの噂の腹があるのかと思ったくらいです。初めて見る喬太郎さんの腹は大変に見事な腹で、私も大満足でした。落語はもう、なんというか、言うことないよなーと。よく分かりませんけど、なんとなくこの人の落語は、大人も子供も玄人も素人も保守派も改革派もいろんな人種をひっくるめて楽しませてしまうんじゃないかなーと思いました。どこか一点に寄せることなく、いや寄せることもきっとできるんだろうなあと思うんですけど、そんなことをしなくてもみんなが楽しく思えてしまうものをやれちゃう人だったりするのかな、と。そういう懐の深さを感じてしまったのですがどうでしょう。
あとは、お名前は耳にしていたのでずっと気になっていた、柳亭市馬さんがすごーく素敵だったので、これはもうメモしておこうと(笑)出てきて顔を見せてくれた瞬間から、私はもう釘付けです。親しみいっぱいの笑顔に、頼もしくも心の広そうな佇まいに、ちょっとお茶目さも感じさせてくれて、それだけでも素敵だーと感激しているのに、その上落語は優しくも楽しく私のようなど素人だってきゃっきゃと笑えてしまうようなサービス精神満載で、お歌まで朗々と歌い上げてくださって、またその声が渋くてよかったりするわけで、そんなのもう完璧じゃないですか。ここにきてにわかに「もっと見たい」病が発症です。渋い古典とか、是非聴いてみたいなあ。
あとはやっぱり、噂の川柳川柳師匠をこの目で目撃できたことで私は大満足であります。いい話といいお歌をたっくさん聴きまして、また客席がみーんな楽しそうなのが最高でした。
もうだいぶ日が経ってしまっているので、他にもたくさんいらしたのに、演目と一緒に覚えている人がまったく居ません。



5月に見た落語をざっくり書きました。本当に面白くて奥が深い世界です。
6月以降もちょっとずつスケジュール帳に落語の予定が増えているのが恐ろしい。