箱雑記ブログ

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囲碁将棋単独ライブ『ALL SAMMER LONG』

囲碁将棋単独に行ってきました。前回見てあんまり面白いので参ったーと思ったのですが、今回も参りました。本当に全部面白かったです。何なんでしょうこの人達。
以下はなるべく気をつけつつも少しネタバレをしながらの感想です。今後他のライブでネタを見ることもあるかと思われますのでご注意ください。




ネタの流れは以下のような感じです。

昔の曲は名曲が多い→高校時代の同窓会であった女の子→海岸沿いのコンビニ→サプライズ…文田父・母のビデオレター→ビデオレターの返事→アンラッキーナンバー→北方領土→エンドトーク→ビデオレターの返事放映


相変わらず漫才らしくない漫才で、どこまでもただの若者の立ち話にしか見えなくて、ボケますツッコミますという分かりやすい気合いもあまり見当たらず、ただの男子のおばかな会話がそこにあるだけなのに、なんでこんなに面白いんだろう。今回も本当に面白かったです。もう訳が分からない。何がどう面白いのかをうまく言葉に出来ないんですが、ただただひたすらに面白い80分前後。60分じゃなかったです。面白かったので時間には全然意識が向きませんでしたが。
ネタの冒頭で、文田さんが「60分間ただただ喋るだけなんで」と言っていたのですが、これが別に自虐でもなければ誇張でもなく、本当に、ただ喋ってるだけなんですよね。やっぱり文田さんが目指すところはどこまでも「ただただ喋るだけ」の境地なのか、と思ったりしました。


それから、前回にもあった、エンドトーク終わりのどんでん返し、というかネタばらしも健在。ただ、同じことをなぞっているようでアプローチがまたちょっと違うところがさすがと言うか何というか。前回を見ている人にとってはパッケージがほぼ同じなので、インパクトはそれほど無いのかもしれないんですけど、それにしても仕掛けのクオリティはちょっと凄い。東京03が舞台上でVTRとって、それが次のブリッジ映像につながるっていうのやってましたけど、その場で取ったVTR公開とはまたよくやるなあと(笑)別にどうしてもやらなきゃいけないものじゃないと思うんだけど、それにしてもよくやるなあ。やりたかったんだなあ(笑)


前回を経験しているので、前回よりは冷静に見られた気がするのですが、とにかくフレーズ力が素晴らしいなあと!私の好みも大いにあると思いますが、全編通して外さないんです。それも、文田さんも根建さんもどちらもです。あらゆる言葉選びが秀逸すぎる。強いフレーズに対してさらに強いフレーズで返したりするからどんどん面白い。今回は根建さんの言葉選びにやたらと笑ってしまった気がします。いちいち面白いんです。あと得意ジャンルにおけるたとえや言葉選びの光り方が尋常じゃない(笑)野球然り、自動車然り。
ベンジャミンバトンのDVDを欲しがるくだりでの「数奇な運命体験させろよ」とか、何かを思い出そうというくだりでの「弊社はそれを思い出したいんです」とか、一生のお願いならぬ「今月分のお願い」とか、文田さんが選ぶ言葉もいちいち秀逸すぎる。もっといっぱいあるんですけど、全部ネタに絡むので書けない(笑)


好きだったのは、アンラッキーナンバーから北方領土に連なる後半怒涛の展開。他のネタももちろん面白かったんですけど、ここは前半と比べてネタとネタの継ぎ目も分からないような、ものすごくスムーズな流れでひたすらに二人が喋り続ける(ボケ続けて且つツッコミ続ける)のがとことん面白すぎました。アンラッキーナンバーのくだりは、根建さんのミスがどこまで台本でどこまでが本当のミスなのかがまったくうかがえないというのも凄かった(笑)ちゃんと回避してもミスしても成り立つ仕組みになってるところに痺れます。たまたまなのか、根建さん対策なのかは分からないけれども(笑)どっちに転んでも在る意味ドラマだなあと思わされる(笑)
北方領土のところは、ボケそのものがずっと大喜利的に連なっていく様が圧巻でした。囲碁将棋にしたら立ち話というより狭義の漫才色が強い部分だった気がしますが、どのボケも面白くて、どんとん発展していく様子も教科書みたいな面白さで、ことごとく裏切られていくのが気持ちよすぎました。すごく勝手な印象なんですが、それまではボケフレーズよりもそれ以外のフレーズが強くて笑えるみたいなところもあった気がするんですけど(自分がフレーズスキーだからそう思えたのかも?)、北方領土のくだりはボケからして真っ向勝負で面白いんで、また違った笑い方をしていたような気がします。なんていうか、漫才然、ネタ然としていたというか。漫才に対して漫才然て言葉もどうかと思いますけども(笑)


最初の名曲のネタ(壊れかけのレディオ)は、囲碁将棋お得意の歌ネタですが、歌ってだけで本当にいくつもよく考えるなあ。そして外さない。安定感抜群です。「少年から大人に変わるものをもっと具体的に」って、最初の目をつけるポイントの時点でもう面白い。それに対する肉付けがまた面白い。当たり前みたいにさらっとネタに入っていくけど、なんでそこに気付くかなーとそれがもうまずもって感心してしまうところです。
それを言ったら同窓会のネタもですけど、悪口を高級にするってどっからそれが出てくるのか(笑)多分見てるこちらも考えたことがないアプローチだから、本当にそうやったら実際どうなるんだろうっていうのが一切予想がつかないので、見てる側が予想できる領域がすごく狭いんです。だからどれも新鮮で面白い。逆に言うと、アプローチがちょっとひねりがきいてるので、そこが伝わらないともう最初から最後まで伝わらないまま終わっちゃうってことで、囲碁将棋を見てるとよく出くわす光景なのですが(笑)


アプローチの面白さで言うと、海岸沿いのコンビニの部分はザッツ囲碁将棋!という感じでしたけど、中身はまさかのクソコント*1仕様(笑)これやってみよう、という言葉だけはよく聞く展開でしたけど、やってみるための前提=「海岸沿いのコンビニに海パンで入るのは許されるけど、普通のコンビニに海パンで入るのは許されない、じゃあその境界線はどこなのかを検証する」というのがそもそも強烈に歪んでるし、前提が歪んでるから、やってみる際の流れもおのずと捻じ曲がるんですね。結果として、客として入ってくる側が水着じゃないと成り立たないというルールが発生して、着替えが必要となり衣装着用のクソコントの様相に(笑)着替えの時間も含めて、かなり長い時間をこのセンテンスにつぎ込んでましたけど、でもこのクソコントかなり面白かったです。私はかなり好きでした(笑)漫才の合間に出オチが2回って斬新にも程がある。


VTRの部分は、根建さんが文田さんのご両親に息子へのビデオレターをお願いしにいく、というもの。VTRの主旨そのものは、前回のやつが秀逸だったのでどうかなーと思ったんですが、とにかく文田さんのお母様が面白すぎたのでそんなのどうでもよくなりました(笑)VTRに写って第一声が「ウィッシュ!(ポーズ付き)」の時点で度肝を抜かれました。お母様凄すぎる。照れつつも渋いお父様も微笑ましいのですが、とにかくお母様のコメント力たるや凄まじいものが(笑)「調子に乗ったら私ガツントやりますんで!」って頼もしすぎる(笑)
ちなみにこのVTRは、根建さんが文田家の最寄駅から歩いて1時間半?くらいかけて山を二つ越えてひたすら緑と畑と山のみの景色の中を文田家までたどり着くまでの様子が、時々バンプかな?の曲に合わせてPV調に流れていったりする、というのが大部分を占める作りとなっているのがミソです。とにかく何もない文田家周辺、無人駅からさらに山二つ越えなくてはいけないような場所で、途中、結構な狭い間隔で不法投棄の看板が山ほど出てくるのを弄りつつ(笑)それを見ながら「地元こういういじりかたすんなよ!」と言う文田さんも面白いけど、不法投棄の看板の「懲役5年以上となります」的な文を読んで「うわー懲役5年つれー」と緊張感なく呟く根建さんも面白すぎます。それにしてもああいう土壌で文田さんの頭が育っていったのかと思うと心底興味深い。
あと大前提として、文田さんは実家に週5で帰っている、というのもあった(笑)だから別にビデオレターの必要性もなければありがたみもないし、VTR見てやせたなとかいう感想も一切無い、というあたりもおかしかったなあ。
で、これに対して返事のビデオレターをその場で撮影しよう、というのがあって、それが実際にエンドトーク後のVTRになるという素晴らしさ。そしてそのVTRにおいて、冒頭の文田さんの全力ウィッシュ以降は根建さん撮影のビデオカメラがアップに寄りすぎて文田さんの毛穴しか写らないという素晴らしきオチ。お見事だなあ(笑)


60分(実質はもっとでしたけど)の漫才のオチも美しかった。とてもとても好きでした。


エンドトークでは、エリートヤンキー橘さんが恒例の噛んだ回数カウントをしていて、文田さんは4回で、根建さんは11回でしたか?うろ覚えですが、とにかく初回のときの30回だかに比べたら成長した!と根建さんが喜んでおられました。あとは前説のバースが話をしたり。


で、ビデオレターオチがあった上で、再度登場しての告知が、8/18(火)の昼に北沢タウンホールで再び60分漫才やりますと。オール新ネタですと。この日の半券持ってれば無料で入れますと。
もうなんというか、あんまり粋で嫌になりました(笑)「ミステリーライブ」と銘打って出演者不明でチケットは既に発売されてるとか、そんな会社ぐるみでふざけさせてもらえるなんて、ちょっとすごいな囲碁将棋。ちょうど夏休みを貰っている期間なので、行けそうで嬉しいです。

*1:文田さん談。