箱雑記ブログ

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文夫の部屋 第2夜

たまたま見つけてたまたま一般でチケット取ったらたまたま取れた、という、今年の運を9割くらい使い果たしたのではというチケットで、見てきました。
ナイツの名前を見て脳髄反射的にチケットを取ろうと思ったのですが、他の出演者の方の名前が豪華すぎました。落語に無知な私ですら今をときめくと知っている立川談春氏に、イッセー尾形氏がトークゲストという贅沢ぶり。会場は表参道の小さなイベント会場。我ながら本当によくチケット取れたなーと思います。
内容にはなるべく触れない方向で、とりあえず私の感想のみをだらだらと書きます。すごく贅沢で且つ濃密な、本当に面白いライブでしたので、ちょっとだけでも書き残しておきたい欲が…。
ちなみにざぶとん亭風流企画さん*1のページの日記にて、各公演のレポートがありますので、詳細はそちらをご覧になっていただくのが一番のようです。ちなみに第1夜にザ・パンチが出演していて、そちらも本当に気になっていたのですが、相当面白かったみたいで、いいなあ見たかったなあ。




ナイツのネタが多分20分から25分くらい。終わった瞬間にもう終わり?と思ったのに時計を見たら20時近かったので、そんなに見てたのかーと驚いてしまったのでした。それくらい夢中で見てしまったわけですが、やっぱり面白いんです。いろんなテレビでネタを見てて、なんだったら見慣れてるくらいなのに、生で、20分間かぶりつきで見るナイツのネタは、テレビで見るどんな漫才ともまた趣が違った気がします。テンポはゆっくりめで、ネタは自己紹介から野球ネタも経て当然ながらヤホーでも検索しつつ。自己紹介のいい間違い漫才を初めて見たのですが秀逸すぎました。名前を言う、相方を紹介する、というそれだけのセンテンスに対して必ずボケが1つ、多いときは2つ、それに対して丁寧に且つ穏やかに訂正という名のツッコミが入る。本当に笑っちゃうほど手数が多い。あと下ネタも多い(笑)表参道のオシャレスペースなんですけどねーどうしても三本の指が入っちゃうんですよねー。
ゆったりしたペースだったせいかもですが、土屋さんのツッコミが本当に終始穏やかで献身的で、大変好みで嬉しかったです。そもそもナイツの漫才に引っかかった原因はそれなので。隣を見向きもせずに勝手にべらべらと話して間違えまくるボケに対して、まったく相手にされないポジションで一歩下がりつつ全部きちんと訂正していくという立場の妙と、フレーズの面白さが大好きなのです。あんなにほったらかしにされてるのに終始優しいまま訂正しまくりっていうのが面白いんです(笑)だからツッコミが優しければ優しいほどナイツの漫才は好きなのです。この日はそれを思い切り堪能しました。
ちなみに野球のネタの部分でどかどか受けてたあたりが、何となくこういうライブのお客さんだなーと思いました。年齢層も幅広かったですが、男性客がすごく多いのです。


イッセー尾形さんを生で見るのは初めてでした。まさか初めて生で見るイッセーさんが、一人芝居でもなく普通の芝居でもなく、トークゲストだとは(笑)我ながらおかしなことになってるなーとしみじみ。
あの高田文夫氏をして、終始リズムを崩されるというマイペースぶり(笑)自然体という言葉だけじゃ説明できないような、見てるこっちの背骨がくちゃっと曲がっちゃいそうなゆるい立ち振る舞いが可笑しすぎました。なんというか、独特のリズムで生きている方なのかなあ、という印象です。
ウクレレの弾き語りを2曲ほどやっていたのですが、上手いとか下手とか以前にこれまた
独特で、不思議な感慨が。すごく好きでした。ウクレレのどこかとぼけた音が、イッセーさんに合ってるのかもしれないなあ。新年のライブでよくやっているとか言ってたかな?もっと聞いてみたいなーなんてさっそく思ってしまいました。
とにもかくにも終始ほっこり、脱力系のトークで。


休憩を挟んで、立川談春さんの落語。私は本当に落語に関しては無知も無知で、さすがに何の予習もなく立川談春を見に行くのは不遜すぎると思い、せめてと思って「赤めだか」を読むことで心構えとしました。何も知らないよりはいいだろうと思って読みまして、これはすごく面白かったので後述するとして、読んでおいてよかったーと思いました。演目に入る前のお話で、立川一門の面白話が出てきて、普通に聞いても面白かったと思うんですけど、きっと読んでなかったらあんなに笑えなかっただろうなと。これは終わる前の全員でのトークのときにも思ったことですが。微妙にきわどい話などもありつつ(笑)それにしても談春さん、談志師匠の口調の真似がお上手だ(笑)
演目は「百川」というネタだそうです。もちろん分からなかったので後で調べました。このお話が有名なのかどうかも分からない…。古典落語なので、なじみのない物(例えば「四神剣」とか)の名前が出てきて最初は戸惑ったのですが、見ているうちにちゃんとあれはああいうものでそういうもので価値があって、とかが分かってくるようになっててとてもありがたい。
ちゃんとした場所でちゃんとした落語をちゃんと見るという経験がそもそも初めてだったのですが、ものすごく面白かったです。談春さんの腕によるところが大きいのだろうなあ。ネタの中身を知らなくても、落語を知らなくても、こんなに楽しめるものかと。百兵衛という人物が出てくるのですが、談春さんが見せてくれるこの百兵衛が、可愛いやら健気やら可愛いやらで、見てるだけのこちらの顔がどんどんにやにやとほころんでしまう始末。素朴で愛嬌があって、愛さずにいられないような可愛らしさで、古典落語に対してこんな言葉選びは我ながらどうかと思うのですが、キュンとなりました。小さな間違いがいろんな滑稽な間違いをころころと運んでくる様が、すごく派手なわけでもなく大盛り上がりというわけでもないけれど、なんともいえない味わいがあって、出てくる人物がみんな生き生きしてて、本当に面白かったです。
それにしても噺家さんてすごすぎる。登場人物が6人?もっと?いるというのに、全部に個性が見える。全部が愛しいなあ面白いなあと思えるって、とんでもないことなんじゃないかと。
また機会を作ってぜひ見てみたいなあと心から思いました。でも普通のお笑いのライブなんて目じゃないくらい、チケット取るのが難しいんじゃなかったかな、落語って。
そういえば、冒頭で談春さんは、ナイツがネタの中で二人とも名前がのぶゆきと同名だという話をしていたのを受けて、「私ものぶゆきというんです」と言って、ナイツのような噺を、と「百川」という言葉の聞き間違えによるネタに入っていく、という流れだったのですが、こういうのかっこよすぎる!噺家さんのこういう粋というのは、隅々までかっこよくて素敵すぎです。


最後は舞台上、というか高座?に高田文夫氏、イッセーさん、談春さんが並んでちょっとトークがありまして、高田氏も「イッセー尾形立川談春が並ぶなんてすごい」と言っていて、私みたいなもんでもその凄みみたいなものは何となく分かるような気になったりしてました。御三方のトークは相変わらず高田氏がイッセーさんのペースに笑ったり腰砕けたりしていて、それに談春さんが的確且つキレのあるツッコミを入れて見ているこちらを気持ちよく笑わせてくれる、というリズムでとても楽しかったです。談春さんのトークでの立ち回りとリズムがとても心地よかったです。噺家さんてのはこんなにスマートに普通のトークもこなしちゃうのか。恐るべし。
途中でナイツも舞台上に出てきて、だいぶ目が喜ぶ感じでした。
そういえばこの会場は1ドリンク制だったのですが、前日の第1夜に比べてカクテルなどのオシャレな飲み物がよく出てて、「談春師匠のお客様だからか」と前説の方が言っていたのですが、何となくそれに納得してしまいました。談春さんは見た感じも理知的で、でもちょっと近寄りがたいような怖いような空気も持っていて、色気というか雰囲気のある男前な人だなーと思って見てたので。


以上です。さくっと感想のはずが!長くてすみません。贅沢なライブでした。本当に面白かったです。他の日も行きたかったな。
ちなみに開演前、通路ですれ違ったお客さんが京極夏彦先生ではないかしらと思ったのですが、どうだったのかな。でもああいう場に居そうですよねあの先生。それでなくてもいかにも業界の方っぽいお客さんがあっちこっちにいたような気がします。さすがです。