箱雑記ブログ

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神保町花月『プリンス・オブ・サンタクロース』

何とか千秋楽だけ滑り込みで見てきました。
少女マンガや少女小説にうつつをぬかしまくりだった、かつての女子中高生であるところの私は、王子様という響きには結局のところ弱かったということかもしれません(笑)
以下ネタバレありの感想です。そういえばカメラが入っていたという話を耳にしないのですが、実際はどうなのかな。ないとしたら残念。



サンタクロースの国(空の上にあるらしい)のお坊ちゃんが、父親に反発して人間の世界に下りてきたぞ、というお話。まさしく超!ポップな少女マンガストーリーでした。
財閥の御曹司が自分の世界を飛び出して庶民の暮らしに触れて、好きでもなかった世界のごく普通の心優しい女の子に出会ってハートフルな展開が巻き起こり、精神的にも成長して反発していた自分の世界のことも考えなおし、最終的に「○○もいいもんだな・・・」とつぶやいてという展開は、昔読んでた少女マンガの超王道的な、というかもういっそ王道過ぎてベタ過ぎて最近ではなかなかお目にかかれない展開だと思います。なんとかコンツェルンという響きがもう懐かしい(笑)
それが悪いとかではなく、むしろそのベタさ加減がベタにしか出せないポップで楽しい味わいになっていて、やっぱり超王道というのは強いよね!と実感させられたのでした。ベタは望まれるからベタになるのかもしれない。
もちろん細かく見ていったら山のようにツッコミどころはあるんですが(個人的には、お父さんが息子をああいう場面で説得するんだったら、「サンタ界にはお前が必要なんだ」よりは「私にはお前(家族)が必要なんだ」って言ってあげてほしかったな、とか)、こういうのはちゃんと見るんじゃなくてざっくばらんに楽しんだもの勝ちってことなんだろう、と思いました。


主人公セシルのキャラクターがやはり超王道の王子様そのままであること、自然且つ本人は無意識であろうモテオーラ(笑)を放つ様が福田さんにがっちりマッチしていたことは、このお話が王道の少女マンガとして見事に成り立った大事な要因だったと思うのです。福田さん、ああいうのが似合っちゃうんだから、ずるい(笑)
ある日突然、普通の女の子であるヒロインの元に現れた謎の王子様、浮世離れしててちょっとすかしたところがかっこよくて、あまり回りに気を許していないような人がヒロインとだけは近しい存在である、というのは・・・胸キュンなシチュエーションだと断言せざるを得ない(笑)脚本てB面さんですよね。B面さんのような男の方がどうしてこれほどに少女マンガのツボを心得ていらっしゃるのか、それが一番の謎です(笑)
あと、この手の少女マンガでは、ヒロインがちゃんと愛せるキャラクターでないと見ている側はしんどいことになると思うのですが、そういう意味でもまゆみ役の岡田さんは抜群でした。可愛すぎた!本当にキュートで可愛らしくて素敵。


福田さんて実は少女マンガに出てくるかっこいい男の子像が違和感ない雰囲気の人なんだな、と気付かされました。「かっこいいけど無愛想で、ちょっと影があって、心に傷を持ってて、でも本当は優しくて素敵な男の子」という、まさに王道。女の子に興味なさそうな男の子が、実はひとりの女の子を特別に大事に思ってる、というシチュエーションは相当素敵です。逆にそういう男の子に特別に思われてる?という想像は女の子にとってはたまらないものがあるはず(笑)
福田さんのキャラクターにあのすかしつつも気持ちは優しいみたいなキャラクターがぴったりで、これは福田さんファンには最高のクリスマスプレゼントだろうと見ながら思ったものです。私も相当ときめきを覚えましたから(笑)


伊藤ちゃんは、すかしててかっこつけてて、熱い男の子役でしたが、すごくがんばってた!と微笑ましくなりました。ああいう奇抜なリーゼントスタイルも、元が悪くないのでしっくりくる。人柄が顔に出てるので、一生懸命かっこつけててもうまくいかない、みたいな愛すべき情けなさも程よく出ていた気がします。本当は、個人的な好みでくと、伊藤ちゃんにはにこにこ笑ってばかりのすごくいい人!みたいな役もありかなーと思うのですが、これはこれで、普段は見られない伊藤ちゃんが見られたのでとても楽しい。


グランジは全員ひっくるめてずるかった!(笑)3人とも完全に脇に徹していたのですが、この人たちは脇に徹するとキャラが濃くなるのか・・・と笑ってしまった。父親役の大さんはまだしも、特別ストーリーにはかかわりのない遠山さんと五明さんは、ストーリーには関係ないにも関わらず、インパクトたるや凄まじいものがあります。当然ながら笑いも山ほど掻っ攫っていきましたし、お見事です(笑)
遠山さんはああいう野暮ったい気持ちわるい感じの役もあんなに生き生きとできちゃうんですね(笑)作りこみ方が半端ないです。入り込み方も全力なのですね。やりきってくれるから見てても気持ちよく笑えてしまうのです。
五明さんは、今までの器用なイメージから一変、力技とこれまた作りこんだキャラでとんでもないインパクト(笑)力技もできて小手先もできちゃうなんて、本当にさすが。
大さんは、そういえば今まで真剣で真面目なお芝居をしているところを見たことがなかったんだな、と、父親役を見ていて気付かされました。大さんの真剣芝居は、想像していたよりもはるかに迫力があってきっちりしていて、すごいすごいと嬉しくなりました。
今回の班では、グランジは個々のスキルがダントツに高いというのを改めて実感です。
そういえば、五明さんがやっと年齢相応?というかおじさんじゃない役をやってたんだね、というのを、終演後に友人に言われて気付きました。それすら気付かないほどの、あのインパクト(笑)


こりゃめでてーなはやっぱり上手いなーと改めて実感です。キザなキャラクターが思いのほか似合ってしまう広大さんはもちろんなのですが、大江さんはすごくできる人だった!と再認識。じいや役とでも言うのかな、それがセシルやラーディンに切々と考えを訴えるところ、ものすごく気持ち入っててじーんとしました。
オコチャさんは器用でした。生真面目役で弄られ役で、ああいうオコチャさんもなかなか新鮮。
セブンbyセブンのお二人も楽しかったです。玉城さんのおなかも面白かったけど(ベルトの位置が気になってしょうがなかった。笑)私は宮平さんのさりげない佇まいが何気に好きでした。
くすのきさんは、顔ちっちゃい!眼鏡のやぼったい感じが嫌な印象にならなくて、逆にいいなあというのも素敵です。しかし顔がちっちゃすぎて、遠山さんと並ぶと遠近感が・・・(笑)
トレンディエンジェルは美味しすぎました。私相当楽しんでしまいましたよ魔法のシーン。


お嬢様役の国崎さんは、もはや貫禄(笑)生で見るのは初めてだったと思うのですが、さすがのコメディエンヌでいらっしゃった。これまたストーリーそのものにはそれほど影響のない役柄なのに、その存在感ときたら凄まじいものが。
なんというか、見ていてかっこよくて惚れ惚れしちゃうのです。舞台上の芸人が総崩れで笑いそうになっているのとかが(笑)舞台芸人さんとしてのかっこよさにしびれました。
ボルサリーノのお二人は思っていたより全然よくて素敵でした。関さんのお母さん役は相当様になっていましたし、山田さんも出番は少なめですけど、いい感じの名古屋弁?でキャラ付けがされてるから印象に残るんです。
ヒロインまゆみ役の岡田さん、可愛すぎでした。けなげで可愛くて一生懸命で優しくて、私はああいうの大好きです。ともすればあざとくなりすぎる役柄だと思うんですけど、まったく違和感がないあたりは岡田さんの清純派な見た目とお芝居のなせるわざなのかな。制服を可愛く着こなしていたので羨ましいくらいです(笑)


そんなところでしょうか。クリスマスにクリスマスらしいお話を堪能できて満足です。誰かが言ってましたが、このところ人が死んでしまったりするお話が続いたから、一気に明るいコメディを見られてバランスも良かったのかもしれないです。
とにもかくにも福田王子に乾杯(笑)