箱雑記ブログ

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神保町花月『影ができるほどのタメ息』

佐久間班の神保町花月に行ってきました。まだ公演途中なのですが、ちょっとだけネタバレ気味に感想を。ストーリーに関しての記載はしてませんが、ご注意ください。



最初に謎めいた状況から始まって、途中もいろんな要素がからんでいって、最後どう収拾がつくのかまったく予想のできない展開のお話。お話そのものは嫌いじゃなかったです。むしろ結構好きだったかも。最後「お!」と思わせてもらえたのが嬉しかったです。途中、若干間延びした感もありましたが。間に挟まれるあんなシーンこんなシーンがなんとも不思議な様子だったりして、このあたりがあつむさんテイストなのかな、と思ったりもしました。
全体通して、ちょっとメリハリが足りない?ような気もしましたがどうなんでしょう。暗転がほとんどないお芝居なのですが、こういう演出って本当に難しいんだな、と改めて思いました。『クリープ』を見たときにも感じたことですが、場面転換のないままお話が進む場合、よっぽど会話をリズムよく進ませたり、舞台上の人の配置を動かしたり、お話の展開そのものに動きがあったり、とにかく何かしらの緩急が感じられないと、見ていてどうしてももっさりしてしまうんだな、と。『ソビエト』がワンシーンのみでだーっと進んでいくにも関わらず、見ていてそれほど停滞した印象を持たなかったのは、キャラや会話や話の展開において、とにかくメリハリがあって目まぐるしかったからなのかも、なんてことも今になって考えたりもしました。
それでも、お話がどう転ぶのか予想がつかなくてハラハラしたり、最後の方のちょっとした展開ではわくわくしたり、最後のオチでそうなるのか!と思ったりして、ずいぶん楽しめました。それだけに前半の平坦な展開はちょっともどかしい。


さっくんは、とにもかくにもさっくんでした(笑)さっくんファンの方が見てたら嬉しいであろうシーンもあったし、ちょっと情けないところと、いい感じで相手を出し抜く抜け目ないところとが見られるのがいいなあ。そしてどんなシーンでもさっくんさっくんなところが味といえば味なのかも。
ジェントルさんはかなり見所の多い楽しい役でした。最初振り回されまくってあわあわしてるところもいいけれど、後半気付けば完全に家族に溶け込んでいる様も可笑しい。まさしく奮闘という感じで、表情もころころ変わるし見てて楽しかったです。
竹内さんは珍しくスーツをびしっと着こなして、気の優しそうな役でした。何も分からず翻弄される様子とか、竹内さんにぴったりだったかもしれない。阿国ちゃんとのやりとりがとことん微笑ましいです(笑)
エドさんと出雲阿国嬢の女性陣は抜群の安定感。エドさんは上手いなあ。阿国ちゃんも元気で溌剌としてて素敵でした。
指圧野郎は見事なまでの家長の風格。衣装似合いすぎ(笑)とにかく声が良すぎるのでそういう意味ではお芝居向きだったりするのだろうか。
しずるの二人は、他の演者さんと比べて出番はだいぶ少ないながらかなりのインパクト。二人とも実はかなり美味しい役なのでは、と思いました。池田さんのサイコぶりに釘付け。へらへら笑いながら脅迫したりするシーンもさることながら、混乱して震えながら髪掻きむしって怒鳴る様は、いったい何のリアリティなのかと(笑)見ててどきどきさせられました。やっぱり実は出来る人です。とはいえ、池田さんならもっと怖く出来る気がするのですが。もっと思い切り怖がらせて欲しいとも思う。
村上さんはさらに出番が少ないのですが、唯一且つ一番の見どころではばしっと決めてくれる感じで。上手い人なのは何となく分かってましたけど、緩急というか変貌の鮮やかさはさすがなのかも。これまた、もっと思い切りやりきってくれてもいいのに、と思わなくもなかったですが。キワモノ演芸のときのあのぞわっと怖い感じでいいじゃない、なんて。
そういえばこのお芝居、竹内さんとしずるの二人以外は完全に出ずっぱりなのですね。かなり大変なのかもしれません。


ひとまずそんなところです。あくまで2日目の公演での感想なので、きっと回を追うごとにどんどん変わっていくんだろうな、と思います。