箱雑記ブログ

色々まとめています

神保町花月「THE MOMO-TARO」(千秋楽)

行ってきました千秋楽。少し後ろの真ん中あたりの席で、そういえば私は後ろの真ん中で見るのって初めてだな、と思ったものです。座席の段差と舞台が高い位置にあるので、後ろでも思いのほか見やすいです、というか全体像は明らかに後ろの方が見やすいと思います、神保町花月
立ち見もいっぱいの満員御礼でした。



とにかくこの日は最後の公演ということもあって、演者さんの力の入り方がひときわだったのが見ていて明らかに分かりました。
殺陣が!殺陣が素晴らしかった!私は何回か繰り返し見に行ってしまったのですが、何回か見た中でこの日の殺陣は飛び抜けて抜群でした。決めるべきところは惚れ惚れするほど決まり、音響さんとのタイミングもばっちりだし、動きも綺麗だし。10日間連続公演で、皆さん絶対に体力的にきつかったはずなのに。李太郎vs犬のシーンと、桃太郎の一連の立ち回りは圧巻。初日の若干のおぼつかなさを見ているだけに、抜群の出来を見てそれだけで涙が出てきました。私は本当にどうかしてたと思う(笑)


演者さんも、気持ちの入り方がちょっと違うのが伝わるようで。それまでが入っていなかったわけではもちろんなくて、千秋楽ってやっぱり独特の雰囲気があるな、と思いました。お客さんもいっぱいでテンション高かったのもあるかもしれない。
それまでずっと安定したお芝居を見せてくれていたお美代ちゃん役の水野さんが、この日は最後桃太郎と抱き合うシーンで声を上げて泣いていたのがとても印象的でした。いつもはやるせない表情で顔を伏せるだけだったような記憶があったので。
李太郎の最期のシーンも、私は前の方の席で見ることはほとんど無かったので記憶は曖昧ですが、いつもは李太郎は泣いてはいなかったと思うんですけど、この日は「もうちょっとだったのになあ」と呻きながらあべさんが泣いているのを見て、もうそれだけで目もあてられないくらい号泣しました。
犬が桃太郎に呼びかけるシーンも、噛み締めるように叫ぶ犬の台詞がひとことひとこと胸に刺さってそのたびに泣けたし、猿の台詞も体全体から押し出されたような重さだし、キジの「桃ちゃんは一人じゃないよ!」は鋭すぎてかすれるような声で、それだけで大泣き。それに呼応するように李太郎から発せられる「兄貴!」の呼び声もいっそ悲痛なほどで、もう大変でした。鼻をすする暇もなかった。
何より、桃太郎が過去の台詞を反復して顔を歪ませて立ち尽くすシーン、あのときの池谷さんの表情は本当に凄まじくて、全身震わせながらいろんなものを堪えている様がとんでもなくて、見ているこちらは本当に泣くことしかできないという。池谷さんは、殺陣での悪い微笑みも本当に壮絶で、悪の桃太郎の暗い輝きでいっぱいでした。お美代と再会した後での立ち尽くす姿が凄かった。あのこわばった表情を見てうわーとなりっぱなし。
多分、複数回見に行っている私は、自分自身の思い入れもこのお芝居には山のようにあったので、その分泣けたというのもあるかもしれませんが、それを差し引いても、最終日の演者さんのお芝居は素晴らしかったです。断言。


千秋楽のちょっとしたことが二つ。
・犬、出トチリ。
・お美代さん、桃千代を「李太郎」と言い間違える。
特に押見さんの出トチリは豪快でした。びっくりした(笑)何度か見ているだけに、あそこは犬が出てくるところだ、と分かるので、いつになっても出てこない犬に心の中で「押見さん!押見さーん!」と叫び続けてました(笑)初見の方はどう思ったんだろう。
お美代さんの名前間違えは、その場はそれほど不自然な感じでなく水野さんが流していたのですが、カーテンコールで桃千代役のたいがくんがそれをいじるトークに(笑)菊地さんが「いじりまで出来るのか!」と感心してました(笑)


そうか、忘れてましたがカーテンコールで挨拶があったのでした。うろ覚えも甚だしいですが、それぞれのお話で覚えている点だけ書き出してみます。


・押見さんはmixiでこのお芝居の感想を検索して見ていたらしい(笑)
・コンビで話を聞かれているときは、まだ泣かずにいたゆう太さん。押見さんに「泣いていいんだぜ、ひとりくらいそういうのがいないと」といやらしいことを促す(笑)
・黒桃維新隊と九兵衛のノリツッコミのシーンは、長田さんは毎回とても緊張していたらしい。
・押見さんが見つけた感想の中で、それぞれについては良かったと書かれていたところ、黒桃維新隊と九兵衛のノリツッコミのシーンについてだけ、「惜しい」と書かれていたらしい(笑)それを聞いてがっかりのマーさん。
・アンケートでも評判がよかったとご満悦の菊地さん。
菊地さんは、最後のシーンにて舞台で泣いてしまったそうで、袖に引っ込んでから次のシーンに登場するマーさんとすれ違う際に泣いているのを見つけられてしまったそう。マーさんはこれからコミカルなシーンってところだったのに、泣いちゃうだろ!と(笑)
・感想を聞かれ、「特にないです」と答える白井さん(笑)
20日にマーさんの代役として出演していたオコチャさんも登場。「今日は斧役だった」と斧の着ぐるみ?で。まったくウケない(笑)
押見「どうですか、この恥さらしな感じ」
・マーさんは公演が始まってからは家に帰らない状態だったそう。
・あべさん、泣き真似?と思いきや、本気の涙。
マー「あべちゃんこう見えてこういう人なの!」
・それを隣で見ていて、「だめだめだめ俺泣いちゃうから!駄目なんだからこういうの!」と見事に貰い泣きの池谷さん。
押見「お前が貰い泣きしたってまったく意外性ないからな」
・見れば後ろでこれまた見事に貰い泣きの松尾さん。格好に見合わない涙もろさにみんなが笑う。
・さっきまで我慢してたのにまんまと貰い泣きのゆう太さん。
・おかげでお客さんも貰い泣き多数、と見えましたがどうでしょう(私はしっかり貰いました)
・池谷さんの挨拶は、涙まじりで。池谷さんらしい真摯な言葉だったと記憶していますが、何しろ貰っていたので内容が記憶に残っていません。
・押見さんも、実はかなり涙を堪えていたように見えました。ああいうところで偽悪的になりきれないところが押見さんらしいなあ、なんて勝手に解釈。


ご回答いただいているアンケートなどを拝見していて思ったのですが(皆様ありがとうございます!)、私はどうやら他のお客様に比べて桃太郎に揺さぶられている度合いが極端に高いようです。最初からそうなのかなーと思っていましたけれど、改めて自覚しました。桃太郎にもそうですけど、池谷さんのお芝居そのものに打ち抜かれていた点が多々あったようです。普段の池谷さんのあの自然体とのギャップもあるかな。池谷さんのお芝居そのものは、きっとすごくシンプルで真っ直ぐなものなのかな、と思うのですが(桃太郎というキャラが真っ直ぐなキャラなのもありますか)、芝居の技術とか技巧的な上手さとか以上に、理屈でどうこう出来ない輝きっぷりと、あらゆる表情や立ち振る舞いが絵になってしまう凛とした存在感に、私はやられてしまったのだと思われます。池谷さんはきっと元々そういう素質が有り余っていて、今回桃太郎という悩めるヒーローを演じたことによって見事にそれがハマったということなのかな、と。普段池谷さんを見ていて、面白いなーとか楽しいなーとかいい人だなーとか思うことは多々あるのですが、あれほどかっこいい!眩しい!と思うことは無かったので、それは多分芝居をしている池谷さんだからこそ溢れる魅力なのかもしれないな、なんてことを思ったりもします。普段はそれが出てこない(出てるのかもしれませんが私が感じ取れない。笑)ところが池谷さんらしいというか(笑)
我ながら気持ち悪い絶賛ぶりだと思うのですが、こればっかりはごめんなさい、ということで(笑)


語り足りない点があるので、後ほどまた別で書きたいこと書きます。
もうクリープ始まってるというのに、いつまで引きずるつもりなのか私は。