箱雑記ブログ

色々まとめています

映画三昧。

高崎映画祭というところで黒沢清監督の新作『LOFT』が国内初上映ということだったので、高崎まで飛んできました。
上映前・上映後それぞれに黒沢監督本人のお話が聞ける機会がありまして、監督曰く「『LOFT』はホラーを作りたい気持ちともう作りたくない気持ちが一緒になって混乱した内容になっている」とのことで、見てみたらそれは確かに・・・という印象(笑)
国内での公開は秋になるとのことなので、詳細は控えますが、映像に潜む底冷えするようなおぞましさは相変わらず。ただ今までと比べるとだいぶ分かりやすい怖さだったかな。
監督が上映後のトークで「不親切ですよねー」と笑っていたのですが、我が意を得たりで笑ってしまった(笑)でもだからこそ、私はその不親切さ、説明を一切省いた潔さとそれ故に迫ってくる切羽詰った印象や漠然とした恐怖や不安が好きなんだよなーと改めて思ったものです。
どうもやっぱり、お行儀の良くないものが好きだなあ。整わない、不安定なものが好きです。
安定感のなさ、足元の覚束なさ、不可解さを感じさせる映像を作らせたら、やっぱりこの人は素晴らしいなあ。
あと、黒沢監督は、見た目もダンディで素敵だと思った(笑)

ついでに、『LOFT』の前に上映していた『クラッシュ』も鑑賞。アカデミー賞を取った映画。
これが本当によかった・・・!
人種差別がメインの人間ドラマで、いろんな人や状況が複雑に絡んでそれがそれぞれの明暗を作り出して、何が良い悪いとかでなく、ただただ悲しくやるせなく、その中でそっと優しく美しい瞬間が見え隠れして、そんな様々なシーンがひたすら時間を追って描かれていく映画で。
ハリウッドでアカデミー賞を取ったなんて知ったらびっくりするくらい、派手さがなくて起伏も少なくて、説教ぽくもないし、役者も誰が突出しているわけでもなく、本当に脚本の力で一気に見せてくれる、人間の技術力で仕上がった映画という印象で、あまりにもハリウッドらしくないなあ、と思ったものです。
映画好きの友達が言っていたとおり、今年のアカデミー賞は地味だったのかもしれない(笑)でもこれは本当に良かった。見る価値は大いにあります。

そうそう、『LOFT』を見るにあたり、まだ見ていなかった『アカルイミライ』をレンタルしてきて今更ながら見ました。
前述のとおり不安を取らせたら抜群の黒沢監督だから、この映画での、現実から外れてしまって曖昧な存在となっている若者の、危なっかしさや何かがぽっかりと穴を開けて抜け落ちている感じが、おかしなくらいのリアルさで見えてきて、終始落ち着かなかった。いいなあ、これもとても好き。
外れた者同士が許し許される様が泣けた。切ない救いだなあって。

これと一緒にレンタルしてきたのは、どういうわけか映画『電車男』(笑)
どうしてもスーツ+メガネの蔵之介さんが見たかっただけです。
しかし中谷美紀は美しすぎるなあ。ドラマの電車男はほとんど見られなかったのですが、イメージ的には、完全に手の届かない存在・雲の上の美女!って感じの伊東美咲よりは、それよりほんの少し地味で透明感あって柔らかい空気の中谷美紀嬢の方が、エルメスのイメージに合ってるかも。
それにしてもあのビジュアルで「あんまりその気にさせないでください」「この方が自然ですね」なんて言われたら、そりゃ電車男じゃなくたって落ちるだろー(笑)女の私が見ていてさえ、あまりの可愛らしさに倒れそうだった(笑)