箱雑記ブログ

色々まとめています

贋作・罪と罰

NODA・MAP公演『贋作・罪と罰』を見てまいりました。
年始めと、14日昼と、今回は運よく2回見ることが出来ました。本当にありがたい。
以下若干ネタバレがあります。


私は野田芝居を見るようになったのは『オイル』からという新参者ですが、今までで一番好きだったかもしれない。
本家罪と罰を読んだことのない無学な私は、当然ながら人を殺した経験もなく、そんな観客にこれほどの息苦しさと重々しさを感じさせてくれるこの芝居は何だろう。
息苦しくて哀しくて、人を殺すものもまた人なのだという当たり前のことに恐るべき衝撃を受けてしまう。
このお芝居には何種類かの道を選ぶ登場人物がいて、「理想のために人を殺す者」と、「理想のためでも人を殺せない者」と、「人を殺さずに理想を殺した者」と、「人も理想も殺さずに殺される者」とがいるのですね。そうして、一度は理想のために人を殺す人間が、「理想に殺されるのは馬鹿馬鹿しい」と言うまでの、人であるが故の凄まじい心の破壊と再構築がそこにある、という風に見えました。
あの空気と、あの気迫と、あの崩壊の瞬間を、言葉で表すのは難しすぎる。
でも、それを松たか子さんが見事に演じていたなあ、と思ったのでした。素晴らしかったなあ。凛とした塾生の佇まいは品があって、それだけにその後の精神が追い詰められていく姿は壮絶で。
段田さんの静かな凄みにはぞくぞくしたし(隠れた狂気を覗き見るような気持ち)、宇梶さんの怪演も見事(もっと下品でもよかったくらいかも。笑)
何より、英と対峙する才谷役の古田新太はどこまでもゆるぎない存在感がたまらなかった。あの人本当にすごい人だなあ。才谷のあのキャラがあれだけ説得力があるというのがすごい。

劇中で一番好きだった台詞は、「殺してもいいと思う奴に出会ったことがないからだ」というやつ。
最後のあのカタルシスはもう、言葉にできないものがあります。見れてよかった!再演してくれてありがとう野田さん。もう一回くらい見たい気もする・・・。
感想がまとまらないから、後で追記するかも。そもそも感想が綺麗にまとまるようなテーマではないですけれども。

舞台美術と演出手法は相変わらずとんでもない美しさで魅了されてしまうし、何より衣装!この公演の衣装はやばいよー素敵すぎる。

しかし、これを見終わった後で改めて初演の配役を見てみると、死ぬほど見たくなりますね!
大竹しのぶの三条英・・・想像しただけで倒れそうです。
筧さんが才谷だったのかな。うわあ、見たいよやっぱり。


あ、元ジョビジョバ好きとしましては、久々に見たマギーさんが元気そうでよかった(笑)
走れメルスでは六角さんが出てて、六角さんを見たときは「あー舞台役者さんだなあ」と思ったけど、やっぱりマギーはコント役者だなあと思いました。笑いを取る絶妙な間とかがやたらと光ってたもの。