箱雑記ブログ

色々まとめています

読書ブーム到来。

一人暮らしになってから、少々長めの電車通勤になりまして、しかも散々な満員電車なので、本を読んでやりすごすことが一番気がまぎれることが判明しました。
ので、ここ最近はすっかり読書熱が戻ってきています。

・「延長戦に入りました」(奥田英朗
姉から借りた本。一言で言うなら、アホバカスポーツコラムというか(笑)
独特の視線でいろんなスポーツの変なところや気になりどころを好き勝手にふざけた解釈や展開で書き続けてるのですが、どれも本当にくだらなくて面白い。なんて馬鹿なんだーと電車の中で噴出すのをこらえる始末。
レスリングのユニホームがなぜ乳首を見せているのか、とか、ボブスレーの2番目の選手は何をしてるのか、とか、そんなことを好き勝手につつくのです。ばっかだなあ・・・(笑)
五十音順の名前に関する考察と、頭の大きさに関する考察が最高です。昔足が速かった人の話なんか、他人事じゃない気分になってしまったり(苦笑)
少し昔の話題が多いけれど、なかなかどうして相当楽しんでしまいました。普段エッセイとかまったく読まないのですが、これはいいなあ。
ていうかこの人最近賞とった人でしたよね?いやはや、優れた作家さんは小説もコラムも抜群だってことですかね(笑)

・「メリーゴーランド」(荻原浩
年末年始のころ、姉の当時一番のお勧め作家が荻原氏。で、借りて読んだ「なかよし小鳩組」がなかなか素敵だったので、続けて借りた本。
途中までの展開における爽快感と、その後のリアルかつ息苦しい成り行きと、最後のやるせなさや切なさ、その中の小さな優しい空気と、ひっくるめてとってもよかった。
フィクションならではの気持ちのよい展開を見せてくれるくせに、現実のもどかしさとどうにもならなさも同じだけ味あわせてくれる。優しくないなあと思うのに、最終的に横たわってるのは美しい光景なんですね。なんだろうなあ、この感じ。
荻原氏という人は、絶妙のバランス感覚の持ち主なのではないかなあ、と思ってみたり。

・「明日の記憶」(荻原浩
今年の本屋大賞恩田陸さんの「夜のピクニック」だったそうですが、2位がこれだったんですね。(ちなみに昨年の1位は「博士の愛した数式」だそうで)
テーマは重くて、全体のテイストも他の荻原作品とはちょっと違った様子。でもこれが、本当に本当にすばらしくよかった。本当にもう、絶賛してしまいます。
テーマの重さに比べると展開は穏やかだけど、その代わり静かに恐怖ややるせなかさがじわじわ流れていて、そのバランスがなんとも・・・痛々しいのに惹きつけられる感じ。
終盤の展開の透明感が素晴らしくて、優しくてあたたかいのに切なくて悲しくてしょうがない。大泣きですよもう(苦笑)
世界はやっぱり非情でちっとも甘くなくて、でもそこに住んでいる人たちには愛と優しさが溢れかえってて、ああもう、書いてると思い出して泣けてくるのは本当にばかだなあと思うんですけどこればっかりはどうしようもない!(苦笑)
出会えてよかった本、2005年度版。

・「チルドレン」(伊坂幸太郎
軽く読める短編集。テーマもそれほど重くなくて、気持ちよく読める感じ。
伊坂さんの文章はとても好きだなあ。軽妙だけど品がある気がします。
お話も、意外な展開だけなら他でも読めるけど、その展開が示す結果がたまらなく素敵。
伊坂さんの描く少年像はとても魅力的という話(笑)

・「イン・ザ・プール」(奥田英朗
「延長戦に入りました」を読んで、あれーそういえばこの人ちゃんとした作家で直木賞とってなかったけ?と思い(笑)購入。映画化されてたのも気になった一因(だって松尾スズキですよ)
ぶっ壊れてる神経科医のぶっとんだ行動×4編。なるほど小説の作風もイカレてるんですね、奥田氏(笑)
やっぱりさらっと読める短編集ですが、「チルドレン」のような爽やかさはまるでなし!その代わり異次元を見ているような神経性の患者さんの行動と、それを上回るぶっ壊れっぷりの医者と・・・めちゃくちゃです。めちゃくちゃですが、面白いというか、結構爽快かもしれない。

今は伊坂氏の「アヒルと鴨のコインロッカー」をようやく買って読んでます。
できれば満員電車で片手で支えて読む本なので、文庫タイプが一番いいのですが。ハードカバーはつらくて手がぷるぷるします(笑)

本に関する各賞の中で、今個人的に一番お気に入りなのは本屋大賞かもしれないなあ。昨年のも今年のも、上位の本は一通り読んでみようかな。
恩田陸は姉が好きだから、あとでまとめて貸してもらおう。