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第二回サンシャイン単独ライブ『ギムレットには早すぎる』

サンシャインの二回目の単独が、いろんな意味で物凄くよかったのでブログを書きに出てきました。
以下感想です。ネタバレは極力しないよう努めていますが、気になる方はお気をつけください。


(※タイトルは便宜上つけたもので、正確なものではありません。)
・告白を目撃
[VTR]オープニングVTR
・募金
[VTR]フルマラソン大喜利<1>
・食堂の父と息子
[VTR]フルマラソン大喜利<2>
・男子100メートル
[VTR]お願いランキング「デブのキスにちょい足し」<1>
・結婚式のスピーチ
[VTR]お願いランキング「デブのキスにちょい足し」<2>
・彼女が死んで一年のバーで
[VTR]エンディングVTR

あくまでイメージですが、若手の人達の単独ライブの場合、二回目の単独ライブって、初単独の時の溜まりに溜まった「単独やるならこうしたかった!」を山盛りに詰め込んだ、得意技を情熱で加速させたような形から少し変化を加えて、普段なかなかやらないような、得意技よりは変化球を盛り込んでパブリックイメージとは違った面を見せる、こんなことも出来るよというメッセージを持たせる、みたいな印象があります。その場合、その意図が上手く昇華される場合と、なかなか伝わりにくい形になる場合と、勿論どちらにも転ぶ可能性があると思います。
サンシャインの単独も、そうした変化球、普段と違ったやり方を見せる形になったりするのかな、と勝手に思っていたのですが、実際は想像とは少し違いました。確かに普段はあまりやらなそうなことが盛り込まれていて、変化球でもあったのですが、それがいつもと変わったことをやっていると印象にとどまらず、もう一歩前に進めた感があって、「単独でしかやれないことを盛り込む」という形に見えました。音声を使った食堂を営む父と息子のコント然り、恋人を失った男とバーのマスターのコント然り。単独だからできる、単独でしか出来ないことを、単独だからこそ堂々とやりきっているように見えました。

要するに、「単独ライブ」というものの特別感を、強烈に感じる仕上がりでした。
無限大ホールの芸人さんの単独ライブで、面白い新作のネタを並べてめちゃくちゃ笑える単独はサンシャインでなくてもたくさんありますけど、「単独ライブ」という一つのパッケージとして、ぎゅっと詰め込んで作り上げられた空気の濃度だとか、ここでしか見られないという希少価値ぶりとか、ネタのひとつひとつの面白さ以上に単独ライブという一個の特別なライブの価値の高さ、大事さ、特別さ、みたいなものをここまで強烈に感じる単独って、同じくらいの若手の人達で見てきた単独ライブの中では群を抜いてたように見えました。

カリカが好きで、しずるが好きで、トップリードが好きで、POISON GIRL BANDの60分漫才に傾倒してきた私には、その、単独だからやれることをめちゃくちゃに詰め込んで単独というライブの価値を上げてのけるサンシャインの今回の単独には痺れずにはいられませんでした。ここでしか見られないもの、あの場にいる人達だけが共有できるもの、単独ライブって、どれだけ定期的に開催されても特別なものであるはずだしあってほしい。それを、4月から5年目のサンシャインの単独で、改めて思い知らされる、というこの嬉しさ。単独ライブは特別なんだよ!ということを、サンシャインで実感できたことが、何より嬉しかったです。

分かりやすいところでいくと、例えば今回披露されたコントの中の、「賞レースに持っていけそう」と思えるコントの少なさたるや!笑
食堂を舞台にした父と息子のコントは心の声をメインに据えたコントで、ネタの仕組みそのものは単純かもしれないけれどそれはもう面白くて見事だなあと思いましたし、結婚式のスピーチのネタは前回単独のお葬式に引き続いた形の信清さん無双のとんでもないパワーコントで最高でしたし。
最後のバーのコントに至っては、若手としては思い切った超長尺の中で、映像メインにちょっと変わった仕組みでがっつり笑わせてきて、その上で真っ向から胸を震わせる物語を見せてくれて、二人の行き過ぎなくらいのお芝居の力で涙が出そうな空気を作り上げて、で、落とす、という。
多分、単独ライブ以外ではどこにも披露できないし、単独ライブだから許されることもあのコントの中にはたくさん仕組まれてると思います。若手ほど賞レースという限られた機会をモノにするために4分間の研ぎ澄まされたネタを作り出そうと新ネタライブや単独ライブで試行錯誤する中で、いっそ潔いほどの、賞レースくそくらえ状態のコントの数々。ていうか他のコントも総じて尺が長い長い。元々長尺でじっくり振ってからどかんと取り返すその振り幅に惚れ惚れする人達ではありますけど、それにしたってどのコントも全力で長い、何が凄いってそれが見る側に冗長とは思わせない引力を持った異様な濃度の長さなのが凄いです。
そんな単独ライブへの物凄く良い意味でのエゴが、エゴにとどまらず抜群に面白く笑えて且つ見てる側の心を震わせてもくるという、サンシャインのコントが持つパワーの片鱗を見た気がします。大袈裟かもしれませんし贔屓目かもしれませんが、私にはそう見えたんだからしょうがない。

サンシャインのコントの魅力のひとつって、バカ笑いしながら妙に心を揺さぶられる真っ直ぐさやドラマ性だなと思っていて、例えば遭難する男女のコントとか、記憶喪失のコントとか、彼女の浮気のコントとか、キラーフレーズに彩られたパワフルなコントの中に、好きという気持ちの泥臭さやそれが生み出す疾走感に笑いながらやたらと胸を打たれてしまう、みたいなところがあります。それは恐らくサンシャインが根っこに持ってるサンシャインだけの魅力のひとつで、喉が裂けそうなくらいの叫びが、見てるこちらの心をガンガンに撃ち抜いていって、なんかもうたまらないんですけど!となる。
そういうサンシャインの特別な魅力が、今回の単独の最後のコントで爆発していて、そこが好きな私のような客は撃沈です。とんでもなく正しく、彼らは自分たちだけの魅力を手加減なしに発揮してみせてくれて、それは若手の芸人さんにはなかなか勇気のいることでもあるように思うのですが、おかげさまでもう、撃沈です。

単独ライブというパッケージの完成度が嬉しくて、ああこの人たちはここまで出来る人たちだったのか、と思い、勿論好きで追いかけてるので見くびっているつもりはまったくなかったのですが、ちょっと思い直さないと駄目だ、となりました。
面白い人たちだということはずっと思っていたけれど、単独ライブをこういう形で表現できるほどの人たちだったのだと思い知らされて、ちょっと恥ずかしくなり、俄然嬉しくなりました。サンシャイン、凄い人たちかもしれないぞ、と。

長くなりすぎたのでネタの詳細はやめときますけど、コントもVTRも、ひとつひとつとっても面白かったです、勿論。結婚式のスピーチのネタ、前回のお葬式のネタとなんら変わらない形なのに、なんであんなに新鮮に爆笑できるのか。信清さん凄いわ。相変わらずVTRではお二人ともがっつり体を張るのが好感です。
あと、とにかくお二人のお芝居が上手いのがいいなあと。信清さん上手すぎてちょっと凄い。坂田さんの見る側を揺さぶる力も凄い。お二人とも表情で空気を作ってのけるのが素晴らしいんだ。
コント6本やって1時間20分、長尺の魅力をこれでもかと味わっていたらあっという間でした。本当に面白かったです。