箱雑記ブログ

色々まとめています

しずるベストセレクションライブ"2003~ 2014"

しずるのコントの歴史を振り返るようなベストセレクションライブは、3時間で30本のコント(ショートコント×7も1本と換算)を超絶スピードで駆け抜けるというちょっとどころでなく前代未聞のライブでした。凄かったし、すごく面白かったしで、大変でした。
好きな芸人さんがこんなライブやってくれたらこんなに嬉しいことはないよね、ということで簡単ですが感想を書きたくなりまして出てきました。
DVDになることが確定していますので、以下ネタバレ等避けたい場合はお気をつけください。


(※タイトルは便宜上つけたもので、正確なものではありません。)
オープニングVTR
青春コント(視力検査)
消しゴム
カラオケ
これ本当にTシャツですか?
語り
びっくり先生
パンティ
ショートコント なんなの
  ボクシング
  ハイジャック
  ガソリンスタンド
  ジェットコースター
  ロシアンルーレット
  トイレ
  野球
田沼さんが転んだ
ブーブー
将棋部
再会
ルームシェア

能力者
(休憩)
清美と川口先生(学園祭後)
あいつのいない組体操

親友がクズ
同窓会
騙し合い
用心棒
素人クイズ選手権
フォークダンス
ムジナくん
組長と部下
Stranger
県大会決勝
シナリオ
冥土の土産
エンディングVTR(保っつぁんのイージュー・ライダー)

コントタイトルを全て羅列したものを見ているだけでくらくらするくらいの、とんでもない本数。1時間半で休憩をはさんで15本ずつ2セット。転換の時間も最小限で、できる限りのコントをここで見せたいという見せる側の熱量を感じました。とんでもなかったです。
3時間見ていてまったく長いとも思わず飽きもしなかったことがまず凄いです。ネタのタイプが多岐にわたっていることもあるし、そもそも30本のコントが全部面白くなかったら途中絶対ダレる時間があるはずなんですけど、捨ての時間みたいなものが一切ない、正真正銘のベストネタライブだなと思わされました。見ることを客席にいるこちらに強いる時間がなくて、ずっと楽しかったです。これがどれほど凄いことか。
その上で、その30本を3時間見せる中で、ほぼノーミスで走りきったしずるが凄すぎる。田沼さんが転んだの手袋のあたりとか、ちょっとだけ惜しい時間はありましたけど、ミスというほどのものでもないし、思い返してみてもそのくらいしか惜しいなと思うポイントは見つからず。テンションを落とすことなく30本をノーミス。実は見ている側は気づかないようなミスはあったのかもしれませんが、少なくとも私は気づきませんでした。実際に劇場で目の当たりにしていても、改めて考えるとちょっと信じられない気分です。ましてやルームシェアのネタは、多分セリフがほぼ完璧に流れていくのを生で見たのは、私個人としてはこれが初披露された2回目の単独も含めて初めてだったかもしれません。あれ、合わせるのも覚えるのも死ぬほど大変なネタだと想像するんですが。
そもそも、3時間で30本をやりきるということが物理的にどうかしてるな、と。普通の単独ライブって2時間やっても10本前後じゃないかと思うので、単純にそれと比較してもちょっと、どうやったらこうなるのかな、と頭がこんがらがります。で、それを実現させてる要素のひとつに転換の早さがあったと思うのですが、これが本当に早くて、暗転時間が短くて、裏どうなってるの!と思いますし、そこまでキャラの強いコントばかりではないにしても、演じてる側のしずる二人のメンタルも想像を絶します。今年春のシソンヌライブがその点ずば抜けて驚異的な早さで驚いてたんですが、それを思い出す暗転の短さでした。どれだけ計算しつくしてどれだけの人がひとつになってライブを作っていたんだろう、と思います。チームとして素晴らしいんだろうな、と。

しずるを見始めて8年になるので、昔のネタを見たりしたら感慨深くなったり思うところがあふれたり昔の記憶がよみがえって涙が出たりするのかな、と思っていたのですが、実際はもう泣いたり感慨を抱いたりする暇なんてまったく無かったです。最初から最後まで笑って笑って笑って終わってしまった。エンディングでしずるが出てきても、しずる二人のやりきったぴかぴかの表情を見て、めちゃくちゃいいライブだった!と笑顔になる以外のドラマチックな感情の揺れ動きはほとんどなかったかもしれないです。3時間ずっと面白くて笑ってたらそんな感傷に浸る余裕ないのですね。その当時以来で見るネタに、懐かしい!と思うことはあっても、思えば遠くへ来たものだ、なんてしんみり思うようなことはありませんでした。多分それは、結局昔を知ってようが何だろうが、今のしずるが一番面白いからなのだろうな、と。あの頃はよかった、にはならず、あの頃があっての今が一番、というだけの話なのかな、と。

3時間通して見ていて感じたのは、割と古めのネタを今の二人がやっていると、昔の記憶よりも面白く思えるな、ということ。これも当たり前のことなのかもしれませんが、あからさまにコントが上手くなっているしずるを再確認できたことが、とても嬉しかったです。特に語りと再会の上手さに痺れました。語りのコントのメタさ加減は、わざとらしすぎても淡々としすぎててもあざとくなるなあと思うのですが、二人のやり取りは絶妙でいちいち楽しすぎましたし、再会は散々馬鹿馬鹿しいことを全力で突っ走ってやりきってのオチの台詞をなんでもないトーンで放り込めるあの上手さに駆け出したくなるくらい痺れました。

3時間30本を見続けて、一番好きだったのはやっぱりシナリオでした。ネタの順番が後ろの方だったのもあるかもしれませんが、本当に面白いなあと。そもそも脚本がいいから文字に起こしてみても面白そうだし、そこに言いたくなるようなフレーズが乗っかって、池田さんの過剰なキャラが乗っかって、それを受ける村上さんの戸惑いっぷりが細かくてでも行き過ぎなくて、もう二人ともどこまで上手いのか。以前どこかで書いた覚えがありますが、このコントのオチが大好きです。ブラックだったりゾッとする感じで落とすのではなく、訳の分からない不条理なハッピーで落とすあのオチが、あらゆるコントの中でも5本指に入る勢いで好きです。
冥土の土産と県大会決勝もめちゃくちゃ面白い。初めてキングオブコント決勝に進んだときに、この2本で決勝に挑んでいたしずるが、当時の青春コントなパブリックイメージを絶妙な形で裏切ってのけたのが素晴らしかったですし、単純にこの2本の脚本も本当に面白い。
賞レースに持ち出していたネタは当然ですけれどどれも抜群に面白いです。囲碁将棋の発表会の時も思ったことですが、その年(あるいはその頃)の1番2番のネタで勝負するのだから、そりゃそうですよね、と。何度も見ているネタだけれど、何度見ても面白いし、ましてや今の最新のスキルでもってしずるが全力で見せてくれる強力コントですから、それはもう強烈に面白かったです。
Strangerも、元々大好きなコントですけど久々に生で見られて嬉しかったです。去年のキングオブコント準決勝、このネタで爆笑かっさらったしずるは決勝行ったんじゃ!と本気で思ったから、行けなかったと知ったときに思わず携帯を取り落とした記憶。なんて不条理でなんて面白いんだろう、とこの日見ててもやっぱり思いました。

素人クイズ選手権あたりは、逆になつかしのAGESAGEライブですこーんと滑った記憶が強すぎて、まさかこのネタをベストセレクションに持ってくることは想像もしませんでした。ネタが始まった瞬間「え!?」となるくらい予想外でしたが、これがちゃんとウケてたのが、たまらなかったです。単独と、単独直後のそのAGESAGEくらいでしか見た記憶がないせいで、これがどかっとウケてる記憶があまり無かったので。きちんと覚えているわけではないのですが、おそらくコントの内容はそれほど大きく変わってはいなかったように思います。それでもベストセレクションというツワモノコントぞろいの中で遜色なく笑いを取っているというのは、これもまさに今のしずるの力量だからこそ、ではないかと。

書き続けているときりが無いのでひとまず切ります。3時間で30本というボリュームをほぼミスなくこなしてのけたことが凄いのは勿論ですが、その30本がどれも面白く、等しく笑いをさらっていっていたことも同じくらい凄いと思います。このライブをこんな形で実現してくれた、コントへの膨大な熱量も嬉しい。このライブをこのクオリティで実現することが、どれほど大変で情熱を必要とすることか、想像することしか出来ませんが、多分、本当に、ものすごいことなんだろうなと。好きな芸人さんがこんなライブをやってくれたという幸運をただただかみ締めたいです。
エンドトークで、30本のうち15本は純粋に投票結果の上位から選んだコントだそうですが、残り15本はしずるセレクト、周囲の芸人さんやスタッフさんからの評判?意見?などにより決まった、とのこと。個人的には、そのしずるセレクトの15本の、選ばれた理由を知りたいです。どんな人がどのコントを推したのか、どんな気持ちでそのコントを拾い上げたのか。どんな思いでこのライブに臨んでくれたのか。

このライブを終えて、過去のしずるの棚卸しを完了しての、ここからのしずるが心から楽しみです。