犬の心本気ライブ

2013年一発目の犬の心本気ライブ、ゲストトップリードの回を見てきましたが本当に面白かった！ので、更新。
ネタについては若干ネタバレ気味でもありますのでご了承ください。

・作家のゴージャス村上さんよりライブ主旨説明
・[コント]犬の心：刑事の訪問
・[コント]トップリード：嘘
・[コント]犬の心：スケベだけどいい人
・トーク

犬の心の新ネタ2本、どちらもとっても面白かったです。ネタバレになると全部台無しになる系のコントなので詳細は省きますけど本当にくだらなくて馬鹿馬鹿しくて笑いました。あと何故そんなことをしていたのか、という見ている側が等しく感じるであろう疑問に一切答えることなくコントが終わっていくという不親切さ加減がすごく好きでした。絶妙な不条理っぷりが楽しいです。
2本目はお話の展開があった上でこれまたくだらないネタでこっちもとても面白くて好きでした。後半の流れが犬の心というか押見さんらしいなーと。池谷さんの無邪気な傍若無人さが相変わらず妙にしっくりきてて楽しいです。2本とも本当に面白くて好きだなあと思ったネタなので、またどこか別の機会で見られたらいいなあ。

ゲストのトップリードのネタは「嘘」で、単独直後に一度見て以来だったと思うのでとても嬉しい。新妻さんが骨折されてるというある程度ネタ選択に制限があるであろう中で、がっつり長尺の「嘘」を叩き込んでくれたことにテンション上がりました。元々大好きなネタだというのもあるのですが、このライブに対するトップリード側の心意気みたいなものを感じた気がします。
単独の記事でも書きましたけど、じっくりとフリが効いてて、でも見ている側はお話の真相に簡単に思い至れなくて、その上そこかしこに笑わずにいられないフレーズややり取りが仕込まれていて、お話全体はどこまでもほっこりと幸せで楽しくて、いろんな要素がびっくり箱みたいに詰め込まれた本当に良いネタだなあと。嘘をつくときの癖を指摘されて、ためしてみる奥さんが「私はあなたを愛していない」と言って嘘のくせが出る、というシーンが好きで、それを殊更につついたりせず何でもないことのようにさらっと流すのがさらに好きです。あそこ、普通はつつきたくなってしまうと思うんですけど、そうしない品のよさがたまらないです。

ネタもトークもひっくるめて、犬の心本気ライブっていつも本当に面白いのがすごいな、と。どんなゲストが来てどんなタイプの話題になっても、相手のペースでも自分達のペースでも、結局本気ライブ的な楽しさを見る側に与えてくれる犬の心のホストとしての頼もしさって素敵だな、と改めて。毎回見に行けているわけではないんですけど、少なくとも自分が見に行けた本気ライブはどれも面白く、どれもゲストの芸人さんが好きになれる仕上がりだったなーと思います。
それにしても、押見さんも言ってましたがまさかトップリードの回で過去最もエロ濃度の高い話になるなんて、誰も予想してなかったと思います。ごく真面目にコントづくりの話をしていたかと思えば、SだとかMだとかの話になり、ふと気付くとキングオブコントの話になり、しばらくするとS○X愛があるとかないとかの話になり、最終的に新妻さんがコントと愛のかかわりを演説なさる、という。なんという振り幅！見てて目まぐるしいくらいで、でもずっと面白くて隅々まで笑いっぱなしでした。しかもそのトークの相手がトップリードというのも、これまた振り幅がすごい。
何となくトップリードの二人もずっと楽しそうで、勝手ながらそれも嬉しく。新妻さん骨折してるのに椅子から立ち上がって大笑いしたりしてるのを見たときにはハラハラしつつもこちらも笑ってしまう仕上がりでした。あと、新妻さんがコントをつくる話でかなりたくさんおおっぴらに話をしてくださったようにも思えて、それにどきどきもしました。「愛を必ずひとつコントに入れようと思っている」という話を聞いたとき、自分がトップリードのコントに惹かれてしょうがない理由の一端が見えたような気がして、わっと目の前が開けたような気分になりました。これは本当に私の勝手な感想ですが。あの真っ直ぐにあたたかく前向きで幸せなコントの、その根底には新妻さんの思う愛が敷き詰められていたのかと。それはもう、どこまでも納得でしかなかったです。
それに対して押見さんが「考えたこともない」「すごいね」と言っているのを見たときに、我が意を得たりとも思ったり。トップリードの、ただ笑いを生み出すだけでなく、そこにさらにいくつもの胸を震わせるあたたかで明るい要素を入れ込んでくれるというコントは、本当に難しいことをやっているのだと思っていたので、押見さんの「すごい」には大いにテンション上がってしまいました。それをすぐさますごいと認める押見さんもすごい、と思うのです。
本当に濃いお話をたくさん聞くことが出来たなあとしみじみ感じました。膨大な情報量の1時間。見ることができてよかったです。

以下トークで覚えていることを箇条書き。

・犬の心二人でのトーク。新ネタについて色々と。押見さんが試行錯誤的な話をしていると、池谷さんが「僕はあれ好きですよ！」と。素直に照れてしまう押見さん。
・池谷さんは今押見さんが大好きなのだそう。
池谷「すごい頑張ってるからめっちゃ好きなの！今は一緒にお風呂に入れる！そのくらい好き。去年の後半まではほんとイヤだったんだけど」
どうして余計なことまで言うんだ、という押見さん。ごもっとも。
・トーク中急に、
押見「なんで顔に怪我してるの？」
池谷「娘に刺された」
端的すぎて笑ってしまう客席。娘さんに指でぷすっとやられてしまったそうで。
・池谷さんの奥様が病気で倒れてしまい、池谷さんが娘さんを連れてネタ合わせにきたそう。
ネタ合わせしてるんだけど、娘さんは元気に遊んでいるのが押見さんは気になってしまったらしく。そして床を掃除するコロコロで遊んでいた娘さんが、一箇所だけをコロコロできれいにしていたのを見て、「他のところに綺麗にしないと」と指導をかましたそうで。ブレな押見さん（笑）

・ゲストのトップリードとトーク。
吉本の芸人さんにバリア的なものを感じるという新妻さん。でもそんなバリアをものともしない芸人さんもたまにいる、と。
アルコ＆ピースの平子さんは、新妻さん曰く「ATフィールドをぶちやぶる」そう（笑）
・新妻さんはある程度分かるし会話もできる気がするけど、和賀さんが得体が知れない、という押見さん。
和賀さんはこのまんまです、と新妻さん。和賀さんも頷く。新妻「昔から和賀さんはずっと和賀さんです」
・新妻さんは、犬の心のお二人が楽屋で『仲のいい人としかしない挨拶』をしてきてくれたので、それが嬉しかったようです。
・コントづくりの話。押見さんは、トップリードのコントをちゃんと振って落として伏線があって回収して、と、そういうつくりがすごい、と。
押見「俺無理だもん、脳みそが違う！」
押見さんも昔はそういうコントを作ろうとしたりしたけれど、今は無理だと。
・コントの作り方について。トップリードは新妻さんが1から10まで作って、和賀さんにメール。和賀さんがそれを添削して送り返して、そうやって作っていくと。曰く「作家と編集者」。
新妻さんは修正されてもあまり異論は唱えないそうです。どうしてもこだわりがあるところは別として。
・犬の心は完全に押見さんが一人で。押見さんは手書きの台本。昔から手書きでやっていたので、4分のネタだったらこのくらい、という分量なども手書きなら分かっているけれど、今更パソコンなどにはいけない、いきたいけれど、とのこと。
押見「俺だって消しゴム使いたくないよ！」
池谷さんによると、ノートに消しゴムのカスが挟まってたりするらしい（笑）
・新妻さんから質問、「（ネタが）頭に浮かんでくるスピードに書くスピードが追いつかないことありません？」
押見「……それは脳みそが若い」（笑）
・KOCのネタの話とか。押見さんはKOCの映像も繰り返し見ているそうで。
押見「KOCとか見てて、トップリードとかは台本が頭に浮かぶけど、鬼ヶ島とロバートは分からない、特にロバート」
・新妻さん曰く、決勝に行かなくても分かるものがあるし、決勝に行くことで分からなくなったことがあったりする、と。
押見さんは、でもそれは決勝に行ったからこそ分かったことで、決勝に行けた人だからこその意見だと。
・KOCに対して本気になるライブなので、KOCを意識したネタを作るという押見さん。
決勝は芸人審査だから、芸人が好きそうなネタとかも意識すると。「芸人てくだらないの好きでしょ。あとエロいの」。
・どういう経緯か、SかMかという話に。本当にどういう流れだったのかまったく思い出せません！
トップリードはMとMのコンビだそうで。和賀さんのMは押見さんとしては意外だったみたいです。
新妻さんがドMだと言うと、ドMというのはそんなレベルではない、と押見さんが例に出したのはノブコブ吉村さん（笑）
押見「吉村はどうされたいかって聞いたら、『ノコギリで腹を切ってほしい』って言ってた」「あっぱれ！って言ってやった」（笑）
・ネタについて。池谷さんは今は押見さんの台本には何も口を出さず、一言一句間違えずにやるそう。
昔は色々言ったり台詞変えたり追加してもらったりしたけれど、それをやってもウケたりうけなかったりは変わらないので、だったら自分では何もせずに演じることに徹したほうがいいと思ったそうで。責任も軽くなるし…と（笑）
押見さんも、長くやっているので台本の段階で池谷さんの台詞は池谷さんの言い回しで書くので、と。
・逆に和賀さんは、新妻さんが書いてきたツッコミ台詞をそのままでは絶対に言わないのだそう。
それについては押見さんは「ツッコミでしょ？だったらそうだよ」と。そうなのか。とても興味深い。
・愛あるS○Xについて。…なんでこんな話になったんでしたか！
押見さんは、愛のないSEXはしたことがない、と断言。そこに心がなければ楽しくない、でしたか、気持ちよくない、でしたか。なんだかそういうニュアンスが。
新妻「でも、例えば愛のない二人が一緒にテレビを見てて、何かの拍子で同じタイミングで顔が向き合った瞬間に、キスするとか、そういうのいいと思いません？」
押見「それ、顔向き合った瞬間に愛が生まれてない？」
新妻「……！」
和賀「スガ シカオか何かなんですか？」（笑）
・トーク時間も終わりというところで、新妻さんが、コントに愛を入れるって考えたことがあるか、という問いかけを。
新妻「僕は愛を必ず一個コントに入れようと思ってるんです」
タクシーのネタは？と問われて、タクシーは親子愛だと。羊のネタにも愛はあるし、邪魔のネタは人類愛、いらない人なんていないというコントだと。
押見「考えたこともなかった、すごいなそれ」
コントに愛を入れたいんです！という新妻さんの高らかな主張に、お客さんが大拍手。
和賀「帰りに壷買わされるんじゃないの？」（笑）

他にもあったような気がしますけど、こんなところで。
深い話がたくさんありました。犬の心の話にも、トップリードの話にも、聞いたことのない話も、とても興味深い話もあって、勿論笑いも山ほどあって、本当に有意義でその上で抜群に面白かったです。
犬の心本気ライブは今年も出来る限り足を運んでいきたいライブだな、と改めて思いました。