箱雑記ブログ

色々まとめています

「THE MOMO-TARO」追記。

追記前に、今回の舞台の演出をされていた高梨さんのブログを。

TRAPPER高梨由:神保町花月公演終了!!

作り手さん側の感想というのはどんなものでも刺激的ですが、何しろどっぷりハマったお芝居について書かれているだけに、拝読していて感慨もひとしお。表立って演じているのは芸人さんでしたけど、脚本や演出など私達の目には見えにくい部分で重要な役割を担っている方々にも、当たり前ですが同じだけの、もしくはそれ以上のプレッシャーがあるのだなあと。
犬の心班、本当にいいチームだったんだなあ・・・とまたちょっと胸があったかくなりました。女性の演出家さんが芸人さんと一緒にポートボールしてるくらいだからよっぽどです(笑)あと、本当に公演中は(下手すると稽古中も)皆さん神保町花月に合宿状態だったのですね・・・(笑)あそこってそんなに布団と寝るスペースあるものなのか?(笑)


しかし高梨さんて私とほとんど年齢変わらないはずなのに、凄い人なのだなあ。
ブログを少し前の記事に遡ると、衣装などもご自分で手配して購入して運んでいらっしゃったのが分かるのです。きらびやかできっちりした衣装を見て「予算あるんだなあ」なんて思ってたのは結構な勘違いだったのかも。限られた予算、限られた期間の中で、どれだけのものを生かしてどれだけ理想に近づけて作り上げるか、多分その辺て見ているだけの私達には想像も出来ない困難があるんだろうな。


ちなみに脚本の堀江B面さんのブログを見たら、公演期間中にご結婚を発表されていた。めでたすぎます!楽屋裏ブログで、堀江さん作演出のトータル班の練習が土日は諸事情によりお休み、とありましたが、どうやら堀江さんご自身の結婚式でいらしたのかな。こんなところでなんですが、おめでとうございます。


「THE MOMO-TARO」については、私は本当に運がよかったとしか思えません。
たまたま初日が劇場にいける日だったのが運のツキとしか。後は転げるようにずるずるとこのお芝居にどっぷり浸かってしまったのですが、思うにこの10日間の私の様子は、端から見たら相当馬鹿馬鹿しかったか相当面白かったか相当無様だったか、どれかだったと思われます。或いはどれもだろうか。人が何かに急速にハマっていくのって、見ていて凄く面白くないですか?ハマっている当人は今の自分のなりふり構わない感じが相当無様なのを分かっていつつも、急速にハマるほどにその対象に打ち抜かれているから簡単には止められない。その「自分でも分かってはいるんだけど止められないのー!」という問答無用の勢いって、凄く面白いといつも思うのです。行動イコール愛の結晶ですからね、見ててもっとやっちゃえ!と私なんかは思う(笑)
ただ、自分が当事者となるとまた別です。お見苦しい点が多々ありましたことを、うっかりここを見てしまった皆様には平謝りしたいところです。


前振り長くてすみません。以下、どうでもいい自分の中だけの考察や感想です。盛大なネタバレとなっているので、ファンダンゴTVでの放送をお待ちの方はご注意ください。



初日と、それ以降との、台詞などの変化について色々。


一番大きいと思った変化は、李太郎の最期の台詞。「俺もきびだんご食べたかったなあ」は、初日と二日目にはありませんでした。これがあるのと無いのとでは、李太郎の最期の印象がだいぶ違いました。


少し前に書いたネタバレ感想は、その台詞を聞く前から書き始めていたものなので、読み返してみると我ながら李太郎に関する印象にブレがあるなーと思いました。
「俺とお前、なんもかわんねーからな!」と言って死んで行くのを見たときは、李太郎のその複雑な気持ちの揺れ具合に涙しながら、李太郎は桃太郎をどうしたかったのかな、と素直に思ったのです。貶めたかったのか、愛されたかったのか。そのどっちもか、或いはどっちでもないのか。そのあたりを一人で悶々と掘り下げようとすることは、かなり面白かった。
でも、「きびだんご食べたかった」と言って死んで行くのを見ると、それだけで印象ががらっと変わって驚きました。この台詞があって、初めて(でもないのかもしれませんが)李太郎が、桃太郎の本当の仲間になりたかっただけで、でもそれがかなわなかった寂しい人なのだというのが一気に伝わってきて、ああそうだったのか、と気付いて泣けました。愛されたかっただけの人なのだなあ、と。もしかすると、李太郎が犬相手にあんな態度を取っていたのも、犬は鬼ヶ島の合戦以前からの桃太郎の部下で、きびだんごを貰って、信頼されて慕われて、色々桃太郎の意に染まない進言とかしてても結局桃太郎のそばにいることを許されているから、そんな様子が腹立たしくてならなかったのかも。
李太郎が、どうして桃太郎を篭絡するのにあんな非道な手段ばかりをとったのかが、目下私が一番気になっている点なのですが、なかなか難しい。人の子ではないから村人の誰にも愛されなかったと思っている、といのが根底にあるのだと思うのですが。人の子を信じない李太郎は、桃太郎にも同じように人の子を憎むように仕向けることで、自分の仲間を得たかった、ということかな。
ただただ孤独な人だったのだと思います。ひとりで寂しくて誰かに愛されたかったけれど、人の子は愛してくれない、でも同じような境遇の桃太郎なら、と思ったのかも。
ここらへん、演じていたあべさん本人がどんな解釈をされてたのかなーなんて余計なことまで気になるんですが、さすがにそれは突っ込みすぎかな。
そういえば、台詞の追加とは関係ない点かもしれませんが、あべさんの演じる李太郎は最初の方で見たときと後から見たときとではキャラクターがだいぶ違っていて、それにも驚きました。初日くらいのときは、無邪気さはあってももうちょっとふり幅は少なかった気がするんですけど、後半になって見てみたら、李太郎の口調や態度の軽さ、無邪気さに拍車がかかっていて、だから「試すか?」とか「クソ女か」のところの一気にひやっとした口調になる感じとかが際立って、酷薄な感じが子供のような口調で逆に浮き立つようになってたような気がします。最期のシーンの「もうちょっとだったのになあ」のところも、ただ単純に子供が自分のたくらみが上手くいかなかったことを悔しがるような、不思議なくらいの自然さに見えました。どちらも好きなのですが、後半の方がインパクトがあったことは確かかも。
そんな無邪気さの度合いがぐっと上がった李太郎だからこそ、「きびだんご食べたかったな」の台詞の、どこか幼児性を感じさせる響きがいっそう引き立ったように思えます。


あべさんの、演じるキャラクターの変化とは違って、押見さんの場合は演技そのものがぐいぐい上へ上へと上り詰めていく感じでした。公演途中でも書いた気がしますが、見るたびによくなっていくんです。あれにはただただ驚くばかりでした。スロースターターなのかな、と書いてしまうとちょっと意味合いが違ってしまうかな。初日から良かったんです。ただその次に見た時のほうが良かったし、さらにその次に見たときのほうがさらに良かったのです。また良くなってた、まだ良くなってる、と見るたびに驚かされて大変。
結局ずっと良くなるばかりの犬だったのです。このお芝居そのものと同じバイオリズムですね。さすが座長。日をおうごとに徐々に感情の幅が振り切れていく感じは、押見さんらしいな、とも思います。結局10日目が一番良かったと記憶しているので、これが11日12日と続いていたら、もっとよくなっていたのかな、と思うとちょっと恐ろしい。押見さんの場合ありそうで恐ろしい。
そういえば、公演期間中にカリカトークライブで、丑三つ時にカラオケ3曲熱唱している押見さんを見て、「明日の舞台で喉は平気なのだろうか」とひそかに心配していたものです。実際どうだったんでしょうね?


あと、面白かったのが、楽日に近づくにつれ、私の周囲では白井さん扮するキジへの注目度ががんがん上がっていったところ。私もその例に漏れず、だったのですが、回を追うごとに自分の中に余裕が出てきて見る範囲が広がった、というのもあるかと思うのですが、芝居のクオリティが上がっていって、終盤のシーンが見ている私の中でどんどん重いものになっていくにつれて、誰もが渋い顔、辛い顔、やるせない表情をしている中、程よく緊張感の抜けた口調で「よくわかんないけど、ジジイ優しいね」なんて言うキジの存在が目に優しく映るようになったのも道理なのかなあ、なんて思ったものです。
そういえば、キジも最後に地に伏した桃太郎に呼びかけるシーン、初日二日目まではもうちょっと長い台詞だったような気がしますが、中盤以降見たときには、「桃ちゃん一人じゃないよ!」のあの名ゼリフひとことだけ、になってました。長いセリフも凄くいいセリフだったと思うのですが、普段天真爛漫でふわふわしているキジが、あの瞬間だけ鋭い声を上げるのは、もう本気でずるいです。セリフ勝ち且つ演出勝ち、且つキャラ勝ち。
逆に、いつ見ても抜群の安定感と爽快な印象を残してくれていた菊地さん扮する猿も、すごいのだろうな、と思うのでした。猿は、キジと関わっていても、お爺さんと関わっていても、お美代さんと関わっていても、等しく「よき理解者」であるという説得力があって、どんなシーンにおいても必ず誰かをとても分かりやすく気遣っている感じが好きでした。犬が「私がついていながら」と桃太郎を変えることが出来なかった自分を悔いるシーンでの、「お前はようやったぞ!」というところがひそかにお気に入りでした。
そういえば、あのシーンでの犬の台詞も好きだったなあ。「所詮私は飼い犬です。忠犬なんていいものじゃない」とか、「信じ続けることしか出来ない私は桃太郎様には必要ないらしい」とか。本当に犬の台詞はいいものがたくさんあった。



その他、変わっていた点、日々のアドリブとか。


・お美代さんの火傷の具合。
22日に行ったときだけ体に火傷で、顔は無傷でした。初日二日目はかなり大きく両方の頬に傷。最終的に間を取って落ち着いたというところでしょうか。試行錯誤が伺えて良いなあ。


・謎の女の登場シーン。
初日だけ、お爺さんの家で「桃太郎を愛する者たちの、桃太郎を変えるための、桃太郎退治だ!」と犬猿キジ鬼×2が気合を入れているところに、「私もお供させてください」と出てきて、犬が「誰だ?」と問うてすぐ暗転、という演出。
2日目以降、謎の女に犬猿キジ一行が気付くタイミングがもっと後のシーンになりました。確かにこのタイミングの方がつじつまが合うんですよね。お爺さんの家で姿を現すと、そこで謎の女の正体を犬猿キジが気付かないのは結構不自然。戦いはじめる直前に気付けば、正体に気を取られる余裕はなくなるので。なるほどなあ。


・桃太郎とお美代さんのいちゃいちゃ。
恐らく池谷さんのアドリブなんだと思うのですが、「やん」と「ぷい」の2パターンを記憶してます。芝居の中での正義と悪のギャップとはまた違う、とんでもないギャップ(笑)
あと、2日目にて、このシーン、桃太郎が自分のことを「池谷やんやんは」と言った瞬間がありませんでしたでしょうか・・・(笑)あの時、するっと何事もなかったように先に進んでいったけど、見ている人は「ん?」ってなったような気がするんですよ。どうだったんだろう。
あれだけお話の中で芝居に入って自分が泣いたり客を泣かせられる人が、どうしてこんなところで自分の名前を出すなんてことが出来るのか!(笑)逆に池谷さんのことを凄いと思いました私は。底知れない(笑)


・犬と猿キジの再会。
前半の頃は、犬がキジにやらされるのは「お手」「おかわり」「ちん ちん」でしたが、後半では「お手」「おかわり」に付け加えて、キジが警官が警察犬にやるような、腕にクッション巻きつけて噛み付かせるみたいな、あれを犬がらされそうになって、猿が慌てて止める、という一連の流れが。
ワンワンと飛び掛りそうになった犬が、「ワンって言っちゃったよ」「言わないようにしてたのに」という(笑)私このシーンすごい好きでした。犬が可愛く見える数少ないシーンだったのと、キジの天真爛漫ぶりが楽しすぎるのとで。


・お爺さんの英語。
赤鬼青鬼と、猿キジに向かって、「あなた方も家族です。いつでも遊びにきていいんですよ。10年間寂しかったんですから」と言うシーンのこと。
最初は「ロンリー」と言っていたような気がしますが、後半は「アローン」と言うお爺さん、キジが「B' z!」と付け加えるという(笑)


・冒頭の黒桃維新隊の皆様の「別れろ」コント。
最初の方では、4人それぞれが携帯電話(マイム)を取り出して「“彼女と”別れる」ミニコント。後半は、ザコ殿の旅立ちを見送る3人、オチあり、のミニコント。後半は桃太郎が彼らのコントを仲間に入りたそうに見ていたり、ツッコミと同時に「俺も混ぜろ!」と言ったりしてましたね。楽しい。


・赤鬼青鬼を袋叩きするシーン。
お爺さんに止められながらも、猿とキジでこらしめてやる!ってなるシーン。
赤鬼をぼこぼこにするときのキジの掛け声には、「米倉 涼子みたいにしやがって!」「リア ・ディ ゾン意識しやがって!」などがありました。自分で書いておいてなんですが、この情報必要か?


・黒桃維新隊と九兵衛のノリツッコミシーン。
前半では、「ピーチ→ビーチボール」でしたが、後半は「ピーチ→ピンチ」、「固体の桃→期待の野茂」でした。期待の野茂は好きだったなあ(笑)後半になればなるほど、ツッコミ役の長田さんが生き生きしているように見えました。


・黒桃維新隊の皆さんのメイク他。
これはもう毎日のように変わっていたらしいので(笑)
そういえば千秋楽は、みんな頭や腕に文字を入れてたりしました。なかなかかっこよかった。松尾さんの頭が黒だったりピンクだったり黒とピンクの斑だったりと相当遊んでいたのが印象的。


・宴会シーンでの「空気を読め!」のくだり。
これも日替わりだったようです。猿に呼びかけるときのボケワード。
チンパンジー、ベイシングエイプ、北京原人サイヤ人、マントヒヒ、ワオキツネザル、霊長類、等々。好き放題ですね(笑)毎度臨機応変なツッコミの猿殿が素晴らしい。


・犬vsザコ殿。
最初の頃は、普通に「前々からアンタは気に食わなかったんだよ」と言うだけに留まっていたザコ殿、公演終盤になって、犬の顔至近距離にてやりたい放題の様相(笑)最終的に「ペロペロ」と口に出していたような気が(笑)我慢できず顔を背ける犬に頑張れ!と思った人は私だけではないはず。


・桃太郎&清美ちゃん。
桃太郎とお美代さんの愛の日々のイメージシーンで、抱き合うだけだったお二人でしたが、千秋楽はとうとう清美ちゃんが桃太郎さんの唇をゲット!(笑)カーテンコール時に「ちゅーすんなよ!」と抗議する池谷さんでした。振りほどこうと思ったらしいですが、思いのほか力が強くて振りほどけなかったらしい(笑)
清美ちゃん曰く、「このためにジャンプ運動*1してきたんです」とジャンプ運動を実演(笑)それほどに効果があるとは。


他にも色々あったと思うのですが、なかなか思い出せません。思い出したら追記するってことで。やっとなんか、満足しました(笑)

*1:稽古中から白井さんが清美ちゃんにやらせていた、謎の全身運動。詳しくは神保町花月の楽屋裏ブログを参照のこと。