箱雑記ブログ

色々まとめています

しゃべれどもしゃべれども(佐藤多佳子)

やっと読んだ!すごく面白かったです。今のところ、私にとって佐藤多佳子に大きな外れはありません。この人の文章は、個人個人がそれぞれ抱えている悩みや鬱屈やもどかしさを、あまりウェットにならず悲観的にもならず、そのくせ小さいながらも切実な問題として、丁寧に言葉を尽くして書かれているところがとっても好きです。登場人物はみんな個性的で、癖があるのに憎めないし、台詞がひとつひとつ、大袈裟じゃないのにしっかり染み入る感じでとても良いなあ。白馬師匠の言葉がそれはそれは粋で素敵で、うわっとなりました。
佐藤多佳子の本は、買ったときは今すぐ読むぞ!と気合を入れるような感じじゃなくて、そういえば買ってたから読もうかな、これ読んでないから読んでみようかな、くらいの気持ちで読み始めるのに、一度読み始めたら最後、読み終わるまでどっぷり入り込めてしまうのも不思議。
しかしこれ、落語を知っていたらもっともっと楽しいんだろうなあ!これに関しては恥ずかしいほど無知なので、余計にそう思いました。すごく落語に触れたくなる本ですね。今年は一度くらい、落語を見に行くのもいいかもなあ。小三文師匠の落語聞きたいなあ(笑)
映画化が決まってるんでしたっけ。国分くん、なかなか合ってそうに思えるんですがどうでしょう。

で、こんな穏やかで優しいお話を読んだ次は、揺り返しのように重くて怖い本を読んでます。今更、桐野夏生の「グロテスク」。まだ上巻ですが、これがもう、寒気がするやら息が詰まるやら気持ちがどす黒くなるわで、夢中です夢中。

しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)

しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)