箱雑記ブログ

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パルコプロデュース公演『噂の男』

このお芝居関連で一番の衝撃は、購入したパンフレットにて山内氏と対談していたのが、アンナさんであったことに他ならない(笑)
山内さん、アナーキーすぎますよ、このチョイス!
アンナというお名前ではなく、「フェラおじさん」の名前での対談であったのは、要するに以前山内さんが審査員でいらっしゃった「世界キワモノ演芸」がらみのアンナさん招集であったからのようです。
あーびっくりした。そして山内さんプロデュースのアンナさん、俄然見たいんでぜひ実現していただきたい(笑)

そんなどうでもいい人にとってはとことんどうでもいい話を前置きにしてしまいましたが(笑)姉と見てきました、『噂の男』。
芸人さんとその舞台裏が題材の、笑いが歪に捻じ曲がって最後まで行き着いてしまうお芝居でした。内容の説明の仕方が分からない。
要するに、みんなが笑っている舞台と、その裏側での阿鼻叫喚とのギャップの恐ろしさと、それでも延々、脚本に笑いが絶えないことによる底冷えするような不条理さと歪み、人が死んで狂う場面の中でどうしても笑っちゃうお話と台詞、そういうどこまでも不安定で噛み合わない恐ろしさ、ってことでいいのかな。いや絶対違うか。
以下、まだ公演続いてましたっけ?分かりませんが、一応ネタバレ気味なので隠します。
 

一緒に見ていた姉曰く、「ザッツ昔の小劇場の芝居って感じ」とのこと。
みんなが第三舞台に続け!という感じでそのカタルシスみたいなものを競っていたころの小劇場のお芝居をかき集めて形にしたような舞台だった、ということらしい。
私はその頃はまだ中学生だったし、第三舞台も1つしか生で公演を見ていないのでよく分かりませんが、ああでも確かにそうかもなあ、と。
私はむしろ、DVDで見た『VAMP SHOW』をひたすら思い出してましたが。5人の男がいて、どんどん関係性が歪んでいって・・・みたいな感じが。
『VAMP SHOW』の堺さんはもっとマトモな役でしたが(笑)橋本さんも、ゾンビみたいだったけどあんなにいっちゃってはいなかった(笑)

本当にマトモな人がいないお芝居でした。
姉が堺雅人さんのこと心配してました。「マトモな役来なくなるよ」って、もうすでに来なくなってるんじゃあ・・・とは言えず(笑)
浮世離れした笑顔と佇まいと、あの声だから、変態やらせたらほんとに笑っちゃうほど光っちゃうんですよねえ。ご本人も、普通の人よりも壊れた人の方がやりやすい、みたいなことを以前言ってらしたですが、確かに以前見た『喪服の似合うエレクトラ』でも、頭の壊れた弟役をイキイキとやられてました。うん、そんな堺さん嫌いじゃないから、私はこれで問題なしです。しかしあそこまでホモ・変態役がはまって違和感がないのも、どうなのか(笑)
八嶋さんも普段明るいお兄さん然としている分、壊れた役がお似合いでいらっしゃる。この人もまた、意外に狂気が似合う人なのだなあとしみじみ。これまたイキイキしてらした。
山内さんの役だけが、このお芝居の良心であったかと・・・思うがどうですかね。そうでもないか?(笑)髪が無いかと思えばあったりして、もう意味が分からない(笑)
新感線のお二人はもう、見事という他ないです。橋本じゅんさんの演じ分けったら、もう凄みすら感じるってもんですよ。

5人の俳優さんの、共演というより、競演という感じでした。
そして、唯一女性で出てらした方が、もうあんまり上手くて上手くて、姉ともども顎が外れるかと思うほどびっくりしました。上手すぎるでしょ!誰あの人!有名な人?と終演後口々に言い合う我々。
水野顕子さんとおっしゃるんですね。無知で申し訳ないのですが、どんな方なのだろう。

あと、劇中にダブル橋本さんが漫才をやるシーンがあるのですが、うまい漫才だなあ、これも福島さんが書いたのかなあ、と思ってたら、むるさんの日記で判明。中川家の漫才だったのね!
見て気づくむるさんもすごいけど、役者さんも素晴らしい。多分、同じ漫才をちょっと漫才かじったくらいの超若手がやっても、あんなに上手く出来ないと思うんですよ。それを、いくら関西の、新感線の看板役者さんとはいえ、あそこまで自然に漫才を「演じる」ことが出来るものでしょうか。凄いわ。役者さんの「演じる」というスキルの凄みを目の当たりにしました。普通なぞったくらいじゃ出来ないことが出来る、それがイコール演じるということなのですね。

久々の大きな劇場でお金のかかったお芝居、堪能しました。
見事に何も残らないお芝居で、それはそれで私は嫌いじゃないです。