箱雑記ブログ

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キングオブコメディ第1回単独ライブとあの頃を思い出す

少し前のことですが、2002年だか2003年からやっていたサイトが、プロバイダのサービス終了と共に消滅しました。
それを知ったときに一番最初に思ったのが、キングオブコメディの初単独の記事が消えちゃったな、でした。その次が、東京シュール5の初めての田所プロデュース公演の記事も消えちゃったな、です。
友人にWebArchiveにログが残ってないかと教えてもらい確認したところ、初期の記事は残ってました。田所プロデュースは残っていませんでしたが、キングオブコメディの単独記事は第1回と第2回が残っていました。
それをそのままバックアップとしてここに置いておくのもいいのかもしれないのですが、今読むとあまりにも文章がひどくてネタバレも大量で、とても人様の目に晒せるような代物ではなかったので、過去の記事を参考にして、ちょっとだけ記憶も掘り返して、単独とその当時のあれこれをメモしようと思います。
キングオブコメディの第1回単独は、シアターブラッツで確か3回くらいの公演回数があった記憶。チケットは完売していたので、ぎゅうぎゅうにお客さんを入れたら約300人前後があの衝撃的なライブを見ていたことになります。そういうおそらくほどほどに酔狂な人間の一人として、微力ながらキングオブコメディという超絶面白コンビのアーカイブの一端に加われたら嬉しい、と思ったのですが、書いてみたらとてもアーカイブになるような内容にはなりませんでした。とっ散らかった末、ただの思い出しメモです。あーあ!


キングオブコメディ第1回単独ライブ『ボッキ』。改めて見てもひっどいタイトル!笑
私が観に行ったのは2003年2月11日の昼公演です。サイトのログに残っていた記事、とても短いです。他のライブのメモがやたらと冗長なのに比べると、不思議なくらい短い。記事の冒頭は下記のとおり。

「とりあえずすごいものを見てしまった気がする。」
それと、
「頭おかしい」(注・誉め言葉)

これ、結局これ以降もずーっとキングの単独を観るたびに感じていたことです。ただ、それまでに彼らを見るという土台がないままぽんと観てしまった一回目の衝撃は特別に凄かった。なんせシアターブラッツです。あの地下の闇の深い劇場で、整理番号順に前の端からぎゅうぎゅうに詰められた客席で、ずっと「とんでもないもの観てる!」と思ってました。面白くて、どうかしてて、狂ってて、とにかく頭がおかしかった。狭くて真っ暗な劇場に座り込んだ客に、全部の要素が恐ろしい濃度で降りかかってきました。凄かったーとんでもなかった。
シアターブラッツってそういう劇場なのかも。シソンヌの初単独もブラッツでした。あの単独の濃厚さもキングの初単独に負けず劣らずでした。ブラッツは、そういう隠微な空気を増幅させる場所なんじゃないのか。だとしたら次にあの劇場で単独を観るのは空気階段しかないな。

開演前ステージに置かれたミロのビーナス像。
オープニング映像がどこかポップな印象なのに違和感。
最初のコントから無言でどつきあう二人。
すごい展開を見せる子供相談電話コント。
異様な空気の親子コント。
あったら怖いクイズ番組コント。
かと思えば顔面道場なるくだらないコントがあったり。
合間合間の奇妙なブリッジ映像はどこかアングラ風味。
最後はスタッフロールだけのシンプルなエンディング映像。
で終わりかと思えば最後の最後に再び出てきたミロのビーナス像を挟んで、「普通の言葉なのに響きがやらしい」猥談。

壊れてるなあ。キングオブコメディ

下手な箇条書きなのは、自分の興奮に追いつく文章が書けなかったからだと記憶してます。まったく書けなかったんです。
ブリッジがアングラ風味、と思ったのは、うろ覚えですが例えば「高橋と散歩」なるVTRが、黒の海パン姿で首輪と鎖をつけた高橋さんを飼い主目線で散歩させるという内容だったからです。海パン一丁の高橋さんが死んだ目で四つんばいで普通に外を這っていました。とんでもないな。その前には確か「今野とデート」というVTRもありました。今ではライブのブリッジVTRなどで良く見る芸人さんとのバーチャルデート映像のさきがけです。キス顔ありませんでしたっけ?よく覚えてないんですが。
「猥談」は、舞台中央にミロのヴィーナス像があって、それをはさんで二人が白シャツ黒ズボンで座って、ノート?本?を広げて交互に言葉を言い合う時間のこと。これ、結局この単独でしか観られなかったけど、死ぬほど面白かったんです。ずっともう一度猥談観たいんだよね観てほしいんだよねって友人達に言ってたんですけど。ちなみに言い合う単語、笑いすぎててほとんど覚えていませんが、最後の方のたたみかけで「すぐ書く」「三回書く」「左手で書く」みたいなのがあったことだけは覚えています。酷いなー!
異様な空気の親子コントというのは、多分はじめてのおつかいのコントです。「でんち!」のやつです。人形を奪われて発作がおきる息子と、人形を返されて発作が止まる息子を眺めて「……今日は軽い方ね」と言う母親のあれです。この単独で一番好きだったネタ。
顔面道場というコントは、今野さんの見た目を武器にした、この単独で唯一明るいネタでした。これに確かラバーガールの大水さんが出ていた記憶。
本当に本当に衝撃的に面白かったのです。

もう10年以上前のライブなので、覚えていないことの方が多いのですが、あの日受けた衝撃と、シアターブラッツの鬱蒼とした闇と、息苦しいくらい濃厚な空気だけは、不思議なもので生々しく覚えてます。あれが無かったらその後バカ爆走に毎月阿呆みたいに通い倒したり、当時即完公演だった日曜昼のバカ爆若手日*1のために朝からFu-に並んだり、正月バカ爆をコンプリートしたり、立川トークに必死で足を運んだり、実家住まいながら三拍子とのトークライブ『マンオブザマッチ』を皆勤したりしなかったです。おかげでバカ爆走におぎやはぎが出ているタイミングにギリギリ間に合いました。キングを追いかけて色んな事務所ライブにも行きました。劇団ひとりがトリを勤める太田プロライブを観られたのも、バナナマンバカリズム(二人時代)が揃っているラママに行けたのも、全部キングオブコメディがいたからです。私のライブ通いの年表が、2003年2004年と人力舎及び他事務所ライブで埋まっているのは、キングオブコメディを追いかけまくった結果です。2004年の年末のM-1POISON GIRL BANDに陥落するまで、徹底して人力舎を見倒してました。勿論その後も細々とではありますが追いかけて、今に至っているわけですが。
だから私が2005年の3月に、バナナマンとかキングオブコメディとかポイズンとかインパルスとか南海キャンディーズとかがまとめて観られる!とわざわざ仙台の営業公演にすっ飛んでいったのも無理はないのです。ずっと好きだったキングオブコメディと、新たに好きになったポイズンが、同じライブにいるなんて!のやつです。
そもそも第1回単独に間に合わなければ、上記のようなことを全部スルーしていた可能性があります。

私が第1回単独ライブに間に合ったのは、直前にM-1グランプリ2002の準決勝でキングの漫才を観たからです。キングオブコメディ観ないと駄目だやばい面白い、となった一番最初のきっかけは、ランプの魔人の漫才でした。
今野「魔人、願いだ!」
高橋「なんだ」
今野「人に、やさしくありたい!」
高橋「……おまえ次第だ」
この高橋さんのツッコミ、ツッコミ?これ、未だに私の中の三大好きなツッコミのひとつです。
ちなみに三大のもうひとつは、POISON GIRL BANDの昔のお風呂でバレーボールのネタに出てきた、阿部さんの「風呂でレシーブしねえの?なんで?」に対する吉田さんの「サーブ飛んでこないから」です。どっちも天才。

ちょうどこの2003年2004年頃に、当時よく人力舎の芸人さんを一緒に観ていた友人と、笑い方には三種類くらいありそうだという話をしてました。理性で笑う、感情で笑う、本能で笑う、の三つ。当時の私の中で、理性で笑うのはラーメンズ、感情で笑うのはチャイルドマシーン、本能で笑うのはキングオブコメディが、それぞれの代表格でした。
本能で笑っちゃうのはたちが悪いです。どんなに体力の限界でも、面白いから体が勝手に笑ってしまうのです。もう無理疲れてる笑えない、と思っているのにおなかを抱えて爆笑してしまう苦痛といったらないです。当時カリカ家城さんのオールナイトトークライブ明けでキングの単独(第2回か第3回かどちらか)を昼夜と2公演観たとき、まさにこの地獄を味わいました。本当に、無理!ってなっているのに、それでも爆笑してしまって、気力体力を一滴残らず持っていかれました。劇場からの帰り道、重い体を引きずりながら、二度とオールナイトライブ明けにキングの単独は見ない!と誓いました。
本能を直接ぶん殴ってくるキングオブコメディの笑いへの耐性の無さは、第1回単独を体感してしまったことが一番の要因だろうなと思います。お笑いにおいてあれに並ぶ衝撃は、今の今まででも数えるほどしかないです。あれを体感してしまっているから、ここにきて今更どんな事件があったとしても、どうやら私の中の「キングオブコメディ面白い」は揺らいでくれないです。今回のことで揺るがないんだから、もう無理です。
キングオブコメディはもうずっと前から今の今まで徹底して面白かったのです。面白くて面白くて、大好きなんです。

ちなみに第2回単独「キングオブコメディは二度死ぬ」については、消えてしまったサイトに長大な記事が置いてありました。ボケとかほぼ書いてます。怒られるくらい書いてます。無駄に冗長だし、我ながら馬鹿になってるなと思いました。これを人様に見せられる形にするのはなかなか骨が折れそうです。

ひとつだけあまり関係ない思い出話。確かバカ爆若手日の前売が取れずに当日券のため朝からFu-に並んでいた時のことだと思うのですが、当時ラーメンズ大好きだった友達に、ディズニーランドでのお土産でマラカスを買ってきて渡しました。中身が分からないように袋に入れて、お土産だと言って彼女に渡し、中身を見る前に袋を振ってみてと言いました。袋を振った瞬間、聞こえた音で全てを察してくれた彼女が崩れ落ちて笑ってくれました。(何のことか分からない方はラーメンズ第9回公演『鯨』のDVDを是非。)
このときの、全部伝わった嬉しさとか彼女の一瞬でぱっと変わる表情とか、全部が最高で物凄く記憶に残ってて、今回の記事を書きながら何度も思い出しました。あれも確かキングを観るためのライブでの出来事。あの頃の友達、今でも遊ぶしライブにもたまに来てきてくれる。ずっと付き合いのある友達ばかりです。こういう当時の青春全部がキングとバカ爆走とBIG4に繋がっているんだよたまらないよ。

*1:人力舎の若い芸人さんと、他事務所の同じ世代の芸人さんだけが出演して、毎月1組がリーダー?になってネタと企画をやる、当時のバカ爆走の番外編のようなライブ。