箱雑記ブログ

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独断と偏見の「この本公演がすごい」

先日観に行ったルミネtheよしもとの本公演が、物凄いテレビスターはいないけど自分にとって3公演同じ出演者で3公演同じネタを見続けたとしてもそれほどしんどくならずに楽しめる感じの出演者で、とてもありがたい本公演だなあと思って見てた。
それで、そういえば理想の本公演みたいなものを考えたこと無かった、と思いついた。理想のネタライブとかは過去いくらでも考えてきたけど、理想の吉本の劇場の本公演、という狭さ炸裂の妄想が、ちょっと楽しそうだなとなったのは私が最近本公演がとても好きだから。というのと、こんなのあまり考える人いなさそうだなと思ったから。



ちなみに先日私が観た「とてもありがたい本公演」は公演予定時間70分(実際は80分くらい)チケット前売り2,000円。おそらく各コンビ10分ネタ。香盤は下記のとおり。

・学天即
5GAP
・ダイアン
POISON GIRL BAND
あべこうじ
・ペナルティ
トータルテンボス
COWCOW

渋いといえば渋いけれど、見応えでいったら相当なもの。学天即やダイアンといった、東京ではタイミングが合わないと観られない、でも観たら確実に面白い芸人さんがいるのも嬉しい。

本公演を見ていると、好みの芸人さんでも寄席でのネタぶりは3公演見るのは大変だなと思うことがあったり、普段はそんなにハマらないけど寄席の10分は凄く好きだなと思ったり、普段良く見るネタライブなどとはちょっとだけ印象が違うことがある。
例えば一日3回公演を全部見ます(当然ながらこの見方は本公演側が想定していない特殊な見方)、全部同じ出演者です、皆さん10分ネタです、ネタは全公演同じ人もいれば全公演違う人もいます、となったとき、同じ10分ネタを3回観ても同じだけ楽しめる人がいて、しかもルミネtheよしもとだと複数いたりして、バケモノなのかな?と思ったりする。何故さっきも見たネタで今もこんなに笑っちゃうんだ?と。私は基本ポイズンを目当てで行っている客なので、ポイズンの10分ネタを3回全部楽しめるのは自分でも理解できるけれど、普段そこまで追いかけてない人たちの10分ネタを3回観ても笑える時はとんでもないな!となる。
もっととんでもないのは、3回公演全部でバチバチに爆笑をかっさらっていく芸人さん。バケモノなんてもんじゃない、魔王クラスのとんでもなさ。
公演が3回あれば当然のごとく3回ともお客さんは違って、客席の雰囲気は当たり前に毎回違う。軽い重いだけじゃなくて、なんだかつかみどころがなかったり、にぎやかに笑うのにへんなところでスンとなったり、本当に違う。そもそも本公演のお客さんは一見さんがほとんどで、観光ツアーの団体様がいたりと、いわゆる劇場の常連さんのような人は多分割合としてはかなり少ない。
そういう、普段からお笑いや劇場に慣れているわけではない一般のお客さんを相手にするのは本当に難しく、知名度のある芸人さんでも苦戦を強いられる場面に遭遇することだって少なくない。そんな中、物凄いテレビスターというわけではない芸人さんが3回ともガンガン爆笑を取っていくというのを見ると、笑いながら感嘆してしまう。信じられないなーと思う。そのくらい凄い。そういう、魔法みたいな10分ネタが結構な確率で見られるから、本公演の見所は多い。

本公演での吉本の芸人さんを余すところ無く観ているわけでは勿論ないけれど、現時点で、自分の中で2016年にこんな出演者の寄席があったら観に行きたいし是非観てほしいと思う、本公演の出演者を勝手に妄想してみた。妄想するにあたって下記のような条件を設定。

ルミネtheよしもとの公演予定時間70分の公演を想定、出演コンビは8組。*1
・吉本の劇場公演なので、選択できるのは吉本の芸人さんのみ。
・一日3回公演、全公演同じ出演者、ネタは同じだったり違ったり。
・3公演全て見るつもり。(当然劇場が想定していない見方。)
・テレビスターは選択できないものとする。(タカトシブラマヨ華大チュートウーマンとか選択できたら成立しないから…)
・通常のルミネ公演と同様、若手枠を必ず1つ設ける。
・この1年で私が本公演で遭遇できていない芸人さんは含まない。(なので笑い飯が入れられません、無念。)


<好きだから枠>
POISON GIRL BAND
・千鳥
好きだから入れたい二組。人に全力でオススメできるかと考えたら、人には好みってものがあるので悩ましいけれど、少なくともこの二組は私が本公演を観に行きたいと思える、劇場に足を運ぶ一番の理由になる二組なので入れる。
毎回ばかすかウケるとは限らない、たまにスンとなったり客席そっちのけで楽しんだりしている二組なのだけど、好きだからそういうところも見たい、ましてや3公演全部見るなら、例えば2回目に綺麗にスベったとしても3回目に同じネタで取り返した!とかを目撃できたら最高に嬉しいと思える二組なので入れる。そして実際、この人たちはそれをやってのける。その時の、客席にいられてよかった!の気持ちたるや。
なのでここの枠は、観る人ごとの好きだから枠の芸人さんに置き換えていただくのが良い。ただ、今のポイズンは寄席でもあの人たちのリズムでもってがっちりしっかりウケるので、寄席でウケるイメージを持っていない人ほど観てほしいし、寄席だろうとなんだろうと二人で全力で馬鹿やって楽しそうな千鳥は好事家には一見の価値がある、ので大丈夫。ポイズンのガッツポーズのネタの、寄席での最強感、ちょっと震えることある。

<3回観ても笑っちゃう枠>
囲碁将棋
トータルテンボス
前述の、3回同じネタを観ても楽しめるバケモノみたいな人たち。囲碁将棋は好きだから枠でもあるけれど、寄席の囲碁将棋の楽しさは普段のネタライブと違う魅力に溢れていてワクワクするのでここに配置する。
囲碁将棋の本公演のネタはまず心理テストのネタで入ることが大半。心理テストのネタそのものが本当に面白いのは勿論だけれど、寄席や営業での心理テストはお客さんを巻き込んでのネタになって、その時その時の客席によって色んな結果になるのだけれど、その時の囲碁将棋の対応が見事で凄い。その時ごとのお客さんの反応が楽しくて、文字通り何度観ても飽きない。その場のお客さんとの関係性を見事に築いていくので惚れ惚れする。
トータルテンボスはテレビスター枠になるか微妙な気がしたけれどねじ込む。寄席のトータルテンボスの凄さは、3公演全部観た時に3公演全部違うネタをかけてくるところ。少なくとも私が観る時は大抵違うネタ。
実は本公演において3公演違うネタを持ってくる人はまず居ない、少なくとも私はほとんど観たことがない。毎回一見さんのお客さんばかりなのが本公演の特性なので、寄席に強いネタ1本を徹底してかけていくのはごく普通のこと。ネタを変えるのは芸人さんごとの事情や性質なんかも関係してくると思う、例えばマンネリにならないようにとか、飽きて嫌になる前に別のネタをするとか、新しい寄席ネタを鍛えるためとか…想像だけれども。基本的には3公演でネタがころころ変わる人の方が珍しい。
それが、トータルテンボスの場合は変わる、3公演全部違うネタをかける、まさに前述で挙げた本公演がそうだった。そしてそれぞれの公演でしっかりウケていた。凄い。事情は分からないから、単にトータルテンボスにとっては変える方が楽だとか楽しいとかあるのかもしれないけれど、他にやっている人がいないことをやれている時点でこの人たちの本公演は観る価値があると思う。
何度も言うように、普通の本公演のお客さんは3公演全部観たりしない。だからトータルテンボスが3公演全部違うネタをやっていることは、3公演全部観る変な客にしか伝わらない。もうひたすらかっこいい。
ここにレイザーラモンも入れたいけれど、ここはさすがにテレビスターかなということで断念。

<10割ウケる枠>
あべこうじ
佐久間一行
前述の、魔王クラスの強さを寄席で誇る二大巨頭、と私が思っている二人。奇しくもどちらもピン芸人なので、実際の香盤のバランスを考えたらどちらか一人にするべきなのかもしれないけれど、できない。それくらい凄い。例えば好きだから枠の二組が万が一スンとなってしまったときがあったとしても、それぞれ次の出番にこの二人がいたら絶対に取り戻せる。だから二人とも居てほしい。
本当に本当に本当に凄い、この二人の寄席での凄さは筆舌に尽くしがたい。どんなに重い客席でも、どんなに暗い雰囲気の客席でも、この人たちは出てきたら10割ウケる。しかもただウケるだけじゃない、必ずめちゃくちゃウケる。少なくとも私が観てきた中で、この人たちがウケてない本公演を観たことがない。スベってるのを観たことがないのではなく、ウケてないのを観たことがない。だから10割ウケる枠。本当に凄い。
さっくんは3回公演があると2回同じネタで1回違うネタ、ということが多い印象。勿論日によるのだろうけど、ネタを変えてきても同じだけウケる。本公演で観たことのあるさっくんのネタは、ぱっと思いつくだけでも3本ある。つまりさっくんは、ルミネの本公演で10割ウケるネタを少なくとも3本持っている。他にもめちゃくちゃウケるネタがきっとある。とんでもない。
あべさんの寄席での漫談は回数を観れば観るほど凄さを思い知る。勿論1公演だけ観たとしても、あべさんが客層関係なく10分間客席を爆笑させ続けるのに立ち会えるけれど、複数回観るとそれだけじゃない凄さを体験できる。あべさんは、漫談の中にあるいくつものエピソードを、公演ごとに違う順番で出してくる。10分1本のネタとして披露しているのではなく、無数のエピソードを公演ごとにその場その場で組み合わせて出してくる。1回目に冒頭で語られたエピソードが、2回目では最後の方に披露されたりする。全てのエピソードやくだりが、公演ごとにめまぐるしく入れ替わっていく。1回目2回目には出てこなかったくだりが3回目にぽんと出てきたりする。勿論出てきた全てのエピソードで爆笑を取る。
あべさんの本公演にはよく立ち会うのだけれど、何がどうなってあんなことが出来るのか、未だにまったく分からない。計算してやっているようには見えない、でも計算なしてその場その場の反射みたいなノリであんなによどみなく話し続けることが出来るのか。あべさんの頭の中はどうなっているんだろう。大笑いしながら、いつも信じられないなと思って観ている。説明が下手すぎてもどかしい。とにかく観てほしい。
あべさんとさっくん、自分が足を運ぶ本公演に居てくれたら一番嬉しいと思う人たち。ただ、この二人が同じ公演にいるとしたら、もうその時点でそれは行くべき本公演だ、と今書いてて気づいた。
ちなみにテレビスターでの魔王クラス筆頭は華丸大吉先生。

<コント枠>
・ロバート
ロバートはテレビスターだよ!と私も思うけれど、他に思い付かないので暫定で入れさせて欲しい。コントの魔王枠はロバートが今のところダントツ。ロバートの本公演は死ぬほど面白くて楽しくて夢みたいで最高なので是非観てほしい。
ジャンポケや天竺鼠やアキナは本公演では漫才しか観たことがないので入れられないのがもどかしい。シソンヌも本公演では観たことがない。次点を作るとしたらGAG少年楽団や犬の心が楽しい。あと前述の公演で観た5GAPが最高だったのでここも。
本公演のコントは漫才と比べると判断が少し難しい気がする。

<若手枠>
相席スタート or ゆにばーす
一組だけは選べないので必死でしぼってこの二組のどちらかで。
相席スタートの本公演は幕張で一度観ただけだけど、その一度がとっても素敵だったので忘れ難くて入れた。ネタに入る前の二人の自己紹介や客席とのやり取りでの、ケイさんの振る舞いが凄く良かった。家族連ればかりでお子さんも多い客席に向けて、ケイさんは「私たちお子様に一番向かない芸風なんですよー」と、それはそれはにこやかに軽やかに笑ってみせた。逆に笑いが起きて、客席にすっと受入れられていた。その振る舞いが堂々としていて、変な話だけれど安心感があった。その後に披露していたネタはいつも通りの男女の機微についてのケイさんの哲学を語るネタで、家族連ればかりの客席でちゃんとウケてて素晴らしかった。あの感じをルミネでも是非観たい。
ゆにばーすは、無限大ホールの若手で一番本公演に遭遇できている芸人さんかもしれない。あの芸歴でのあの場数の多さと安定感は同世代でも抜きん出ているコンビの一組だなと思う。少し前は相当ルミネでの戦い方の試行錯誤を目の当たりにしていた気がするけれど、最近は良いネタがちゃんとウケてるのを見られるので、さすがだなあ!となっている。少し前に、観たことのないネタを本公演でやっていて、それでめちゃくちゃ良いウケ方をしていて、びっくりしながら感激した。どうやら少し前に出てきた新ネタだったようで、新しいネタを本公演で仕掛けるバイタリティーも嬉しい。
まだまだ本公演で観られていない若手が多いけれど、現時点ではこの二組で。

以上の反則も含めた8組での本公演があれば、どうにかして観に行くし、観てほしい。本来のルミネ本公演だとテレビスターが入っていることが多いので、実際上記のようなラインナップが丸ごと実現する可能性は低いのだろうと思うけれど。ちなみにテレビスターは皆さん軒並み魔王クラスなので、結局は見どころしかない。
ピン芸人さんを1組にして、代わりに大阪の芸人さんを1組追加するのも良さそう。その場合は学天即やモンスターエンジンあたりが来てくれたら嬉しい。

満足、楽しかった。こんな自己満足記事なかなかない。

*1:ちなみにこの場合大抵の実際の公演時間は80分を越します。